イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル) は、T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、ARM(R) Cortex(TM)-A5 アプリケーション・コアと ARM Cortex(TM)-M4 マイクロコントローラ・コアを統合したフリースケール・セミコンダクタ社の 「Vybrid」 コントローラ・ソリューションをサポートしたことを発表します。ARM(R)プロセッサの中でも、低コストで最もエネルギー効率が優れた ARM Cortex-A5コアと、μITRON と互換性の高い T-Kernel 拡張版リアルタイムOS「eT-Kernel」 を中核にもつ eCROS を組み合わせて利用することで、低コスト、短期間でのアプリケーション開発を実現できます。さらに、車載機器、人工衛星、FA・産業用機器、デジタル家電など、幅広い分野での採用実績が実証する、eT-Kernel の高いリアルタイム性と信頼性を、Vybrid コントローラ・ソリューションを使用するシステムに取り入れられます。Vybrid 製品向け eCROS の発売は、2012年第3四半期を予定しています。
2012年6月18日(月)より21日(木)まで、アメリカ テキサス州サンアントニオで開催される 「Freescale Technology Forum Americas 2012」 のイーソルブース (ブースNo.1014) にて、Vybrid コントローラ・ソリューションに対応した eCROS のデモ実演を行います。
Vybrid 製品は、従来複数のプロセッサで実現されることが多かった、ヒューマン・マシン・インタフェース (HMI) やマルチメディアなどのリッチなアプリケーション機能とリアルタイム制御機能の両方を、ワンチップで実現できる非対称型マルチコアプロセッサです。イーサネットやUSBを含む豊富な通信インターフェースや、ディスプレイコントローラ、OpenVG GPU など、さまざまな周辺機能が内蔵されています。ビル・オートメーション、FA・産業用機器、医療機器、スマートエネルギー向け機器などをターゲットにしています。Vybrid 製品は、同じARM 32ビット・アーキテクチャを採用したフリースケール社の i.MX アプリケーション・プロセッサや、Kinetis マイクロコントローラとのソースコード互換性を考慮して設計されています。
今回 eCROS がサポートしたのは、Vybrid 製品に統合された ARM Cortex-A5 コアです。μITRON の性能とアーキテクチャを引き継ぐ eT-Kernel により、ARM Cortex-A5 コア上で高度で複雑な処理を行うマルチメディア・アプリケーションでも、優れたリアルタイム性と信頼性を実現できます。また、eT-Kernel は、Linux との高い互換性を持つPOSIX仕様準拠リアルタイムOSを含む、4つのスケーラブルなプロファイルで構成されているため、アプリケーションの規模と機能に合わせた最適なものを選択できます。アプリケーション開発には、eT-Kernel と密に統合された開発ツール 「eBinder」 を利用できます。eBinder は、ビルドから、デバッグ、システム検証までの一連の開発工程をカバーする、ARM純正コンパイラを含む豊富な開発ツールと機能を提供します。リアルタイムOSを使ったソフトウェア開発に特化した eBinder を利用することで、高品質のアプリケーションを効率的に開発できます。eCROS には、リアルタイムOSと開発ツールに加え、各種ミドルウェアと定評のあるプロフェッショナルサービスが含まれます。
eCROS は、i.MX アプリケーション・プロセッサをサポートしています。また、Kinetis 向けには T-Engine フォーラムが無償で提供している μT-Kernel をイーソルが移植し、μT-Kernel for Kinetis 用パッチをイーソルのウェブサイト (www.esol.co.jp) にて無償で提供しています。このため、フリースケール社の ARM コアベースのプロセッサを利用する際には、リアルタイムOSを中心とするイーソルのソフトウェアソリューションをシームレスに利用することができます。イーソルは、今後市場ニーズに合わせて、Vybrid 製品のARM Cortex-M4 コアや内蔵デバイスのサポートを行い、Vybrid コントローラ・ソリューションを使うソフトウェア開発者を強力に支援していきます。
フリースケール・セミコンダクタ・インク インダストリアル&マルチマーケット・マイクロコントローラ・ディビジョン セグメント・マーケティング&オペレーション・マネージャ ジョン・ワイル 様のコメント 「イーソルは、Vybrid 製品のエコシステムにおいて、戦略的に重要なリアルタイムOSベンダです。TRON 資産の流用が容易で、リアルタイム性と信頼性の優れた eT-Kernel は、開発者の多様なニーズに対応できると期待しています。さらにイーソルは i.MX シリーズと Kinetis もすでにサポートしているので、フリースケールの ARM コアベースのプロセッサを使った製品ロードマップを設計している開発者は、ソフトウェアを共通化し、高い投資効率を実現できます。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「eCROS は、ARM Cortex-A9 MPCore、Cortex-A8、ARM 11/9など、これまで様々な ARM コアをサポートしています。イーソルは、これらの経験から得た ARM コアに関するノウハウや技術を生かし、Vybrid コントローラ・ソリューション向けの eCROS を開発しました。eCROS を使うことで、ARM コアの特長を最大限に活用した、リアルタイム性と信頼性の高いアプリケーションを開発できます。今後もイーソルは、フリースケールとの緊密な連携のもと、Vybrid を使うソフトウェア開発者を、強力に支援していきます。」
<補足資料>
■ eCROS について eCROS は、イーソルのコア技術を注入したリアルタイムOSをベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROS により、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートする T-Kernel 拡張版 「eT-Kernel」 と μITRON4.0 仕様準拠 「PrKERNELv4」 を中心に、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROS は、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。
■ eT-Kernel について eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、メモリ保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、および POSIX に準拠した 「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。
■ イーソル株式会社について イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirect はイーソル株式会社の登録商標です。 * eCROS、eT-Kernel、PrCONNECT、PrFILE、PrUSB、PrMTP はイーソル株式会社の商標です。 * OpenVGは、Khronos Group Inc.の商標です。 * TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 * ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 * μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 * TRON、ITRON、T-Engine、T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 * 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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