イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル) は、T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、ARM コア搭載のフリースケール・セミコンダクタ社製 「i.MX25x」 マルチメディア・アプリケーション・プロセッサに対応したことを発表します。eCROS の利用により、i.MX25x ベースの高機能なマルチメディア機器に、eCROS の中核をなすリアルタイムOS 「eT-Kernel」 がもつ優れたリアルタイム性と、車載機器、人工衛星・探査機を代表とする様々な分野での採用実績が実証する、高い信頼性を付加できます。さらに eT-Kernel は、μITRON の後継OSである T-Kernel がベースなので、μITRON 資産を再利用しながら、低コスト、短期間でシステムを開発できます。
i.MX25x プロセッサは、最大400MHzの高いパフォーマンスを持つ ARM926EJ-S を搭載し、大量のデータ収集や、タッチパネルなどを利用した対話的な処理が必要な、コンシューマ機器、産業機器に最適化されたマルチメディア・アプリケーション・プロセッサです。リッチなマルチメディア体験を可能にする高い性能に加え、長時間のバッテリ動作が可能な低消費電力性能と、様々な通信規格やメモリカードをサポートするなど、他機器とのコネクティビティが重視されています。マルチメディア系ではLCD、タッチスクリーンや CMOS センサ、コネクティビティの面ではイーサネット、CAN、USB 2.0 OTG、USB 2.0 Host、MMC+、SD、SDIO などの機能がサポートされています。また、-20℃ から 70℃、もしくは -40℃ から 85℃ の温度範囲に対応しているため、コンシューマ機器だけでなく、産業用途でも問題なく利用できます。
今回 i.MX25x をサポートした eCROS は、eT-Kernel に加え、開発ツール、TCP/IP プロトコルスタックと FAT ファイルシステムを含むミドルウェア、プロフェッショナルサービスが統合されています。イーサネットドライバや、SDメモリカードドライバも開発、統合済みです。このため、プラットフォーム構築に工数を掛けずに、最終製品の競争力を左右するアプリケーション開発に注力できます。eT-Kernel は、今回 i.MX25x をサポートした、小さなフットプリントと特に優れたリアルタイム性が特長の 「eT-Kernel/Compact」 から、POSIX 仕様準拠リアルタイムOSまで、システム規模と用途にあわせて選択できるスケーラブルな4つのプロファイルがあります。また、マルチコアプロセッサ対応リアルタイムOSとして 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 を用意しています。このため、機能拡張やシステム統合などの理由で将来使用するプロセッサを変更する場合などにも、最適なOSを選択し直し、i.MX25x 上のソフトウェア資産を共通化することができます。また eT-Kernel に特化した開発ツール 「eBinder」 は、リアルタイムOSを使うシステム開発のためにゼロから設計された開発ツールです。リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決できるため、開発者の負担を軽減し、開発効率を向上させることができます。
今回 eCROS が対応したボードは、i.MX257 プロセッサを搭載したアットマークテクノ社製 「Armadillo-440」 です。コンパイラは、ARM 社製純正コンパイラに対応しています。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社 プロダクトマーケティング本部 ネットワーキング・マルチメディア・グループ製品部長 岩瀬 肇 様 のコメント 「イーソルの T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、i.MX25x プロセッサをサポートしたことを歓迎します。特に日本やアジアにおいては、組込みシステムの様々な分野で広く普及している μITRON のソフトウェア資産を再利用できる環境が強く求められます。また、i.MX25x プロセッサを使った産業用途の機器では、リアルタイムな応答性が必要とされます。リアルタイムOS 「eT-Kernel」 をベースとする eCROS は、このようなニーズを満たせる、i.MX25x プロセッサに最適なソフトウェアプラットフォームのひとつです。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「i.MX25x は、タッチパネルを備えたマルチメディア・アプリケーション・プロセッサとして、民生用途だけではなく、業務用端末やシステムの操作パネルといった産業用途にも採用が見込まれています。特に高い信頼性が求められる車載機器や人工衛星をはじめとする幅広い分野で採用実績がある eCROS を利用することにより、産業用途にも耐えうる高い品質と信頼性を実現できます。また eT-Kernel は、これまでに ARM Cortex-A9 MPCore、Cortex-A8、Cortex-M3/M4、ARM11、ARM9 を含む様々な ARM コアをサポートしています。このたびリリースした i.MX25x 対応 eCROS は、これらの経験とノウハウが詰め込まれているため、ARM コアの性能を最大限に引き出すOS環境を実現します。イーソルは、i.MX25x プロセッサを利用するマルチメディア機器向けのソフトウェア開発を包括的に支援します。」
▼ eCROS 詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/ecros.html ▼ eT-Kernel 詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html ▼ eBinder 詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html
<補足資料>
■ eT-Kernel について eT-Kernel は、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内で SMP 型プログラムと AMP 型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、および POSIX に準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。
■ eBinder について eBinder は、T-Kernel、μITRON をコアとするシステム向けの開発スイートです。従来の T-Kernel/μITRON ソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinder は、C/C++ コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。
■ eCROS について eCROS は、イーソルのコア技術を注入したリアルタイム OS をベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROS により、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートする T-Kernel 拡張版 「eT-Kernel」 と μITRON4.0 仕様準拠 「PrKERNELv4」 を中心に、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROS は、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。
■ イーソル株式会社について イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
* ARM は ARM 社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、 RealView、NEON は ARM 社の商標です。 * eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、 イーソル株式会社の登録商標です。 * eCROS、eT-Kernel、PrCONNECT、PrFILE、PrUSB、PrMTP はイーソル株式会社の商標です。 * TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 * ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 * μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 * TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 * 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
|