イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル) は、国際標準規格の UDS (Unified Diagnosis Services、ISO14229) および Diagnostics on CAN (ISO15765) に準拠した、車載診断プロトコルスタック 「eSOL Dr.CAN」 と ECU リプログラミングサービスモジュール 「eSOL Dr.Repro」 を開発したことを発表します。両製品のリリースは、2012年第3四半期を予定しています。自動車に搭載される電子制御ユニット (ECU) を開発するサプライヤは、eSOL Dr.CAN と eSOL Dr.Repro を採用することにより、信頼性の高い車載診断アプリケーションを、短期間で開発できます。イーソルが eSOL Dr.CAN と eSOL Dr.Repro を使って車載診断アプリケーションを開発した際、使わない場合と比べて、開発期間を二分の一から五分の一に短縮できた実績があります。また国際標準規格に対応しているため、特定の自動車メーカーだけでなく、複数の自動車メーカーに納品できます。
明日開幕する 「第15回組込みシステム開発技術展 (ESEC)」 (会期:2012年5月9日(水)~11日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京都江東区)) のイーソルブース (ブースNo.西6-14) にて、両製品を紹介します。
自動車の走行性能や安全性、快適性のさらなる向上や環境負荷の低減など、高まり続ける厳しい要求に対応するため、車載電子制御システムの高機能化と複雑化が進み、車両一台にネットワーク化された多数の ECU が搭載されるようになっています。これに伴い、ECU 本来の制御機能と合わせて、車載診断機能の実装が不可欠になっています。車載診断機能の実装により、開発や製造段階で ECU 内部の診断データを確認して不具合や故障発生を未然に防ぎ、市場投入後には、工場やディーラーの店舗で迅速に故障原因を把握して適切な対応ができるようになります。また、車載診断機能のひとつである ECU リプログラミング機能を使うと、高いコストがかかる部品交換をせずに、ECU ソフトウェアをその場で書き換えて不具合修正や更新ができます。車載診断機能は、大規模化する ECU のソフトウェア品質の確保に有用です。
一方、車載診断アプリケーション開発では、従来、納品先の自動車メーカーや車種、ECU の種類などによって異なる通信仕様に合わせた車載診断プロトコルを個別に開発する必要があったため、開発コストの高さが課題でした。さらに、従来のサプライチェーンが柔軟になり、ECU サプライヤがグローバルに、複数の自動車メーカーに ECU を納品する機会が増えています。国際標準化機構 (ISO) で規格化され、各国で普及している UDS および Diagnostics on CAN に準拠した eSOL Dr.CAN と eSOL Dr.Repro を採用することにより、ISO 仕様の理解に時間を取られずにこうした課題を解決できます。
eSOL Dr.CAN は、ECU 本来の制御機能のパフォーマンスと信頼性に影響を与えずに、CAN 経由の診断通信機能を実現するプロトコルです。OSがないシステムでも利用できます。ECU 制御プログラムから一定周期で eSOL Dr.CAN の関数を呼び出すだけで、ISO 仕様で定義されたタイムアウト管理を含むプロトコルの挙動を意識せずに、容易に診断サービスを起動できます。ECU サプライヤは、CAN ドライバと各診断サービスアプリケーションを作成するだけで車載診断機能を実現できます。また、eSOL Dr.Repro は、開発、製造、市場投入後の各段階で利用できる、ECU ソフトウェアとキャリブレーションデータを書き換える、リプログラミング機能を実現します。
eSOL Dr.CAN と eSOL Dr.Repro は、日産自動車の多数の ECU に採用実績がある前バージョンをベースに、UDS に対応する形で開発されたため、その信頼性と品質が確保されています。イーソルは、eSOL Dr.CAN、eSOL Dr.Repro の提供に加え、車載制御システム開発の高い技術と豊富なノウハウをもとに、各種プロフェッショナルサービスをあわせて提供します。eSOL Dr.CAN、eSOL Dr.Repro の実装や、車載品質要求に沿ったテストの受託開発、ISO 仕様を満たしたテスト結果報告書の作成サポートなどが含まれます。これにより、さらに短期間で車載診断機能を実現し、ECU の制御プログラムの開発に注力できます。UDS 対応版に加えて、前バージョンの eSOL Dr.CAN、eSOL Dr.Repro も引き続き提供します。
イーソル株式会社 執行役員ソリューションエンジニアリング事業部長 徳永 太 のコメント 「急速に進展する車載制御システムの電子化に伴い、車載 ECU ソフトウェアの複雑化、大規模化が進んでおり、信頼性とパフォーマンスに対する要求がより一層高まっております。すでに多くの日産車のパワートレイン系、シャシー系、ボディー系など多種の ECU で採用実績がある eSOL Dr.CAN、eSOL Dr.Repro が今回新たに国際標準規格の UDS に対応したことにより、より多くの ECU サプライヤ様に高品質の車載診断ミドルウェアをご提供していきます。イーソルが強みとするプロフェッショナルサービスと組み合わせることによって、ECU 開発現場の負担軽減と品質向上に大きく貢献することをお約束します。」
<補足資料>
■ イーソル株式会社について イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
* eSOL Dr.CAN、eSOL Dr.Repro はイーソル株式会社の商標です。 * 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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