イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル) は、T-Engine フォーラムがオープンソースで公開している μT-Kernel を ARM(R) Cortex(TM)-M4 コア搭載のテキサス・インスツルメンツ (以下TI) 社製 「Stellaris(R)」 マイクロコントローラに移植し、μT-Kernel を Stellaris マイコンで動作させるためのパッチの無償提供を開始したことを発表します。デジタル信号制御市場向けに開発され、高い演算精度・高効率な信号処理・低消費電力が特長である ARM Cortex-M4 コアが搭載された Stellaris マイコンは、モータ制御、産業用機器、医療用機器、家電製品など、制御機能やセンサー機能などを実現するシステムに適しています。こうした多機能で高性能な Stellaris ベースのシステムで μT-Kernel を利用することで、開発効率やシステムの信頼性の向上だけでなく、ITRON / T-Kernel 資産を再利用してコストを削減しながら、優れたリアルタイム性および省メモリを実現できます。Stellaris マイコンへの移植が完了しているため、マイコン向けソフトウェア開発者はすぐにマイコンや試作プログラムの評価を開始することができます。イーソルはこの μT-Kernel に加え、サポートやデバイスドライバの開発、カスタマイズなどのプロフェッショナルサービスを提供します。
今回 Stellaris マイコンに移植した μT-Kernel は、オープンソースの Eclipse をベースとする TI 純正の組込みプロセッサ向け統合開発環境 「Code Composer Studio(TM)」 に対応しています。これにより従来からの TI 製品ユーザは、使い慣れた TI 純正の開発環境で Stellaris マイコンを使ったシステムを効率的に開発できます。μT-Kernel の Stellaris マイコン向けパッチは、本日より、イーソルウェブサイトのダウンロードサービスを通じて取得できます。 ▽ μT-Kernel無償DL詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/mcu_solution.html#dl_info
μT-Kernel は、T-Engine フォーラムが仕様とリファレンスコードの開発を行ったオープンソースのリアルタイムOSです。MMU (Memory Management Unit) を持たない CPU/マイコンを利用した小規模な組込みシステムでの使用を想定しているため、機能を絞り込み、省資源化と優れたリアルタイム性が実現されています。また、T-Kernel と互換性があるため、ミドルウェアやデバイスドライバなどの ITRON / T-Kernel 向けソフトウェアの再利用が容易です。現在、T-Engine フォーラムのウェブサイトで無償提供されている μT-Kernel は、ARM Cortex-M シリーズには未対応です。ARM Cortex-M シリーズを搭載したマイコンの普及が加速し続ける中、それに対応した μT-Kernel の需要が見込まれています。
今回イーソルが μT-Kernel をポーティングした Stellaris ARM Cortex-M4F マイコンは、ARM Cortex-M4 コア搭載マイコンとして、初めて 65nm プロセスが採用され、電源確保が厳しい状況や省メモリが求められる状況で、より一層の低消費電力化、高速化、大容量メモリ化の実現を容易にします。
さらに開発者は、無償の μT-Kernel ではなく、携帯電話、デジタルカメラ、カーナビなどのデジタル家電を始め、車載機器、OA機器、FA機器といった幅広い分野で採用され、その高い品質と信頼性が実証されている、μITRON4.0 仕様準拠リアルタイムOS 「PrKERNELv4」 を選択することもできます。PrKERNELv4 のメンテナンスや製品保証は、イーソルが責任を持って行います。
リアルタイムOSの提供に加えて、イーソルは35年以上にわたる経験と実績で培った、確かな技術力と豊富なノウハウをベースとする充実したプロフェッショナルサービスを用意しています。プロフェッショナルサービスには、μT-Kernel のサポートに加え、ポーティングやカスタマイズ、性能チューニング、その他の受託開発や技術者派遣などが含まれ、様々なニーズをカバーしています。これらを利用することで、開発者は商品の付加価値を高める機能やアプリケーション開発に専念できます。
また、マイコンと上位の高性能プロセッサを同時に利用する際や、将来マイコンから高性能プロセッサやマルチコアプロセッサに移行する際には、イーソルの T-Kernel 拡張版リアルタイムOS 「eT-Kernel」 を提供します。μT-Kernel 上に構築したソフトウェア資産を容易に再利用できるため、ソフトウェアを共通化した開発がスムーズに行えます。車載機器や人工衛星、様々なコンシューマ機器をはじめとする多数の実績を持つ eT-Kernel は、小規模システムから大規模、高機能なマルチコアシステムまでをカバーするスケーラブルなラインアップと、優れた信頼性と品質が特長です。eT-Kernel は、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク、ファイル、USB、GUI などのミドルウェア、プロフェッショナルサービスと統合されたソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 として提供されます。
イーソルは、今後ニーズに応じて、μT-Kernel の ARM Cortex-M3 などその他のマイコンへの移植や、各種ミドルウェアやドライバの開発などを進め、マイコン向けソフトウェア開発を支援します。
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 営業・技術本部マーケティング統轄部 組込みプロ セッサ・コネクティビティ マーケティング MCUチーム マネージャ 井﨑 武士 様 のコメント 「イーソルの μT-Kernel が当社の Stellaris マイコンに対応したことを歓迎します。Stellaris は ARM Cortex-M マイコンで初めて 65nm プロセスを採用したマイコンで、高性能を維持しながら、クラス最高の低消費電力を実現しています。ARM Cortex-M4F コアの浮動小数点演算性能、拡張された信号処理命令に加え、高機能なアナログおよび通信周辺回路の搭載により、ネットワーク機能をはじめとする高度な機能を多数実装できます。お客様はイーソルの μT-Kernel を採用することで、開発効率やシステムの信頼性向上を実現できると同時に、開発コストを削減することが可能でしょう。イーソルのような組込み向けリアルタイムOSで実績のあるパートナーと共に、クオリティの高いサービスを、我々の顧客向けに提供できることを期待しています。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「モータ制御、産業用機器、医療用機器、制御機能やセンサー機能などを実現するシステムに最適な、ARM Cortex-M4 コア搭載 Stellaris マイコンに対応した μT-Kernel 用パッチの無償提供を開始しました。これにより、マイコン向けソフトウェア開発者への支援をより強化します。Stellaris マイコンは今後大きな市場への成長が見込まれる HEMS 端末にも採用された実績があります。将来、高性能プロセッサやマルチコアプロセッサに移行する際に、効率的な移行パスをご用意できるのがイーソルの強みです。イーソルは、マイコンから、高性能プロセッサ、マルチコアプロセッサまでをカバーする、リアルタイムOSを中心とするソフトウェア製品のラインアップと、充実したプロフェッショナルサービスで、組込みソフト開発者をトータルに支援します。」
<補足資料>
■ eT-Kernel について eT-Kernel は、リアルタイムOSベンダであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内で SMP 型プログラムと AMP 型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」 、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近いPOSIX APIを実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。
■ イーソル株式会社について イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirect は イーソル株式会社の登録商標です。 * eCROS、eT-Kernel、PrCONNECT、PrFILE、PrUSB、PrMTP はイーソル株式会社の商標です。 * TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 * ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 * μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 * TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 * 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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