2011年5月27日
イーソル株式会社

イーソルが、独自アルゴリズムを取り入れた高画質/高音質で高速なコーデックの取り扱いを開始

~ 高品質・低消費電力のマルチメディア機器開発が短期間・低コストで可能に ~

イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル) は、高品質・低消費電力を特長とする、株式会社テクノマセマティカル (本社:東京都品川区、代表取締役社長:田中 正文) のコーデックをはじめとする同社製品の取り扱いを開始したことを発表します。イーソルは、コーデックの販売とあわせて、リアルタイムOS、コーデックと一緒に動くミドルウェア、開発環境、コーデックの移植を含むプロフェッショナルサービスなどを統合化し、ソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 として提供します。プロフェッショナルサービスでは、他社製OSを使用した開発も支援します。すべてのソフトウェアの動作検証が済んだ状態で提供できるため、開発者はアプリケーション開発に専念することができ、高品質・低消費電力を実現しながら、短期間・低コストで開発できます。カーナビゲーション、カーオーディオなどの車載情報機器、デジタルカメラ、携帯メディアプレーヤーなどのデジタル家電、そして監視カメラなどのセキュリティ機器を含むさまざまなマルチメディア機器に最適です。

テクノマセマティカル社は、数学の専門家とエレクトロニクス技術者が結集したアルゴリズムのスペシャリスト集団です。同社のコーデックは、数学的手法を取り入れた独自のアルゴリズム「DMNA(注1)」を用いて開発した高画質/高音質・高速・低消費電力のエンコーダ/デコーダで、映像や音楽を扱う多くのデジタル機器に活用されています。低ビットレートでも画質の劣化が極めて少ないオリジナルコーデック「DMNA-V2」は、高圧縮率・高画質が要求されるアミューズメント分野ですでに採用実績があり、高い品質と同社の技術力には定評があります。そのほか、市場でのニーズが高まっているフルハイビジョンに対応したH.264/AVCコーデック、最新規格であるH.264/SVCコーデックや、監視カメラや携帯電話など屋外で使用される機器で有効な風雑音低減機能をもつ音声コーデックなど、多様なラインアップがあります。組込みで主要なCPUをサポートしており、中でもARM Cortex-A8/A9の場合はNEON(注2)に対応済みで、NEONを使用しない時と比較すると約2~3倍の優れたパフォーマンスを発揮します(注3)。さらに、優れたアルゴリズムで効率よく圧縮・伸張を行うため処理が軽く、ARM Cortex-M4のようなマイコン上でも動作します。これまでCPUの性能不足によりコーデックの搭載が難しかった環境でも十分なパフォーマンスを発揮できるため、結果として、消費電力の低いシステムを実現できます。国内のベンダーなので、日本語による充実したサポートが受けられることも大きなメリットです。

マルチメディア機器で動画のストリーミング再生や逆戻し再生、動画と音声の同期処理などを行うには、絶えずデータのエンコード/デコード処理を続ける必要があり、リアルタイム性が不可欠です。イーソルのコア技術であるリアルタイムOSは、車載機器やデジタル家電から人工衛星まで、幅広い分野で多数の採用実績があり、そのリアルタイム性と高い信頼性は実証済みです。eCROS には、ファイルシステムや USB プロトコルスタックなどのミドルウェアが含まれているため、マルチメディア機器に必要な機能をすぐに取り入れることができます。また、eCROS に含まれるプロフェッショナルサービスを利用することで、ソフトウェアプラットフォームの構築やポーティングなどに時間をかける必要がなくなります。eCROS の導入により、結果的に、開発期間の短縮とコストの削減を実現しながら、高い信頼性と競争力を持った製品を開発できるようになります。さらにイーソルは、eCROS とコーデックの提供のほか、システム設計段階で最適なコーデックやシステム構成を提案するなど、マルチメディア機器の開発を最初から最後まで、トータルに支援します。

このたび取り扱いを開始したテクノマセマティカル社のコーデックは、すでにイーソルの T-Kernel 拡張版リアルタイムOS 「eT-Kernel」 上で動作実績があります。また Linux や WindowsCE など、他社製OSを利用した開発も強力に支援します。

注1) DMNA:Digital Media New Algorithm. 因数分解、折り返し演算、階層化処理等の数学的手法を用いて、演算の負荷を劇的に削減する新アルゴリズム。
注2) ARM NEON テクノロジー:ARM Cortex-A シリーズのプロセッサに対応する128ビット SIMD (Single Instruction, Multiple Data) メディア処理拡張命令セット。ビデオ・エンコード/デコード、2D/3Dグラフィックス、オーディオ/ボイス/スピーチ処理、画像処理などのマルチメディア/信号処理アルゴリズムを高速化する。
注3) H.264 Baseline Profile デコーダ QVGA/15fps の場合。


株式会社テクノマセマティカル 代表取締役社長 田中 正文様のコメント
「イーソルがテクノマセマティカルのコーデックの取り扱いを開始したことを歓迎します。イーソルは、コーデックが動作するプラットフォームやプロフェッショナルサービスの提供など、マルチメディア機器の開発を包括的にサポートできるため、当社のコーデックを活用することにより、お客様が競争力のある製品をいち早く市場に投入するための強力な支援ができるパートナーになると期待しています。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「マルチメディア機器の高画質/高音質化が進み、ソフトウェアの規模が増大するのに伴い、短期間・低コストで製品を市場に投入するための開発者の負担は増す一方です。また、環境への配慮やバッテリーの持ちへの対応などから、低消費電力への要求も高まりつつあります。ソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 とテクノマセマティカル社のコーデックをあわせて導入していただくことにより、開発者はアプリケーション開発に専念することができ、短期間、低コストで低消費電力のマルチメディア機器を開発できるようになります。イーソルは、テクノマセマティカル社と協力し、マルチメディア機器の開発をトータルに支援していきます。」



<補足資料>

■ 株式会社テクノマセマティカルについて
株式会社テクノマセマティカルは、2000年6月に東京都品川区に設立、2005年12月に東京証券取引所 マザーズ市場に上場しました。東京大学 客員教授で工学博士の田中正文氏によって設立された、数学の専門家とエレクトロニクス技術者が結集したアルゴリズム スペシャリスト集団です。同社は、数学的手法を駆使した革新的アルゴリズム 「DMNA」 を使用して開発した差別化技術で、低消費電力、高速、高画質、低遅延、高音質の圧縮伸張ソリューションを成長著しいモバイル機器や各種デジタル機器等に提供するほか、それらの差別化技術をシステムとして総合的に応用しデジタル関連分野であらゆる可能性に挑戦することで、お客様の成功を実現、夢と感動を与え続けることをミッションとしています。

テクノマセマティカル社 ホームページ



■ eCROS について
eCROS は、イーソルのコア技術を注入したリアルタイム OS をベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROS により、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートする T-Kernel 拡張版 「eT-Kernel」 と μITRON4.0 仕様準拠 「PrKERNELv4」 を中心に、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROS は、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。

「eCROS」 詳細



■ eT-Kernel について
eT-Kernel は、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内で SMP 型プログラムと AMP 型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、および POSIX に準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。

「eT-Kernel」 詳細



■ イーソル株式会社について
イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。

イーソル会社情報へ


* ARM は ARM 社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、
RealView、NEON は ARM 社の商標です。
* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、
イーソル株式会社の登録商標です。
* eCROS、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARD、
PrMTP はイーソル株式会社の商標です。
* TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
* ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
* μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
* TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
* 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。




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