イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル) は、μT-Kernel を ARM(R) Cortex-M4 コア搭載のフリースケール・セミコンダクタ社製 「Kinetis」 マイクロコントローラに移植し、マイコンを利用する組込みソフトウェア開発の支援を開始したことを発表します。イーソルは、この μT-Kernel に加え、サポートやポーティング、カスタマイズなどの充実したプロフェッショナルサービスをあわせて提供し、産業用機器、家電製品、自動車やネットワーク機器などの制御機能やセンサー機能などを実現する、マイコンを利用するソフトウェア開発を包括的に支援します。
本日2011年3月3日(木)午後、目黒雅叙園 (東京都目黒区) で開催される、フリースケール社主催 「Freescale MCU Summit 2011 in Tokyo」 で、Kinetis 上で動作する μT-Kernel と開発環境 「RealView MDK」 のデモを展示します。
μT-Kernel は、T-Engine フォーラムが仕様とリファレンスコードの開発を行った、小規模な組込みシステム向けのリアルタイムOSです。機能を絞り込み、資源を有効に使える機能を搭載するなど、小規模な組込みシステムに最適化されており、省資源と優れたリアルタイム性が実現されています。さらに、T-Kernel との互換性を考慮し、T-Kernel とインタフェースが統一されているため、デバイスドライバやミドルウェアをはじめとするソフトウェアの再利用が容易です。
イーソルは、マイコン上で μT-Kernel を利用するソフトウェア開発者向けに、35年以上にわたる様々な規模の組込みソフトウェア開発で得た経験と実績をベースとするプロフェッショナルサービスを提供します。プロフェッショナルサービスには、μT-Kernel のサポートに加え、ポーティングやカスタマイズ、性能チューニング、その他の受託開発や技術者派遣などが含まれ、様々なニーズをカバーしています。これらを利用することで、開発者は低コスト・短期間でマイコン用ソフトウェアを開発できます。
マイコンと高性能プロセッサをひとつのシステム内で組み合わせて利用する際や、将来マイコンから高性能プロセッサやマルチコアプロセッサに移行する際には、イーソルの T-Kernel 拡張版リアルタイムOS 「eT-Kernel」 を提供します。μT-Kernel 上に構築したソフトウェア資産を容易に再利用できるため、ソフトウェアを共通化した効率的な開発ができます。車載機器や人工衛星、様々なコンシューマ機器をはじめとする多数の実績を持つ eT-Kernel は、小規模システムから大規模、高機能なマルチコアシステムまでをカバーするスケーラブルなラインアップと、優れた信頼性と品質が特長です。eT-Kernel は、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク、ファイル、USB、GUI などのミドルウェア、プロフェッショナルサービスと統合されたソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 として提供されます。
今回 Kinetis をサポートした μT-Kernel は、開発ツールとして ARM社 RealView MDK に対応しています。今後ニーズに応じて、ARM(R)Cortex-M3 などその他のマイコンへの移植や、TCP/IP プロトコルスタックや USB スタック、ファイルシステム等のミドルウェアやドライバの統合などを行う予定です。
ARM株式会社 セールスバイスプレジデント 内海 弦 様 のコメント 「イーソルが ARM Cortex-M シリーズマイコン向け組込みソフト開発の支援を開始したことを歓迎します。イーソルは従来 ARM Connected Community の主要なパートナーの一社として、ARM Cortex-A9 MPCore、ARM Cortex-A8 などに搭載するハイエンド機器向けのソリューションに加え、様々な規模の多様なシステム開発向けのプロフェッショナルサービスを提供するイーソルの技術力には定評があります。イーソルが Cortex-M シリーズマイコン向けソフトウェア開発の重要なパートナーとなることを期待しています。」
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社 プロダクトマーケティング本部 マイクロコントローラ・ソリューションズ・グループ製品部長 武藤 功二 様 のコメント 「今回、イーソルが μT-Kernel を Kinetis マイコンに対応させたことを歓迎します。特に ITRON が普及している日本では、ITRON 資産を容易に再利用できるOS環境が不可欠です。μT-Kernel はそれを満たし、さらに T-Kernel のスケーラビリティにより、上位のプロセッサに移行した際のソフトウェアの再利用性も備えています。イーソルが提供するソリューションにより、Kinetis 向けソフトウェア開発のコスト削減につながることを期待しています。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「マイコン市場で注目されている ARM Cortex-M4コア を搭載する Kinetis に、μT-Kernel のポーティングが完了し、μT-Kernel とイーソルの技術力を生かしたプロフェッショナルサービスの提供を開始しました。カーナビや人工衛星機器など様々な分野で採用されている 「eT-Kernel」 と開発ツールを中心とするソフトウェアプラットフォームで、上位のプロセッサやマルチコアへの移行時のパスを用意できるのがイーソルの強みのひとつです。マイコンから高性能プロセッサ、マルチコアプロセッサまでを網羅する、幅広いソリューションのご提供を通じ、組込みソフトウェア開発をさらに強力に支援します。」
▽ 「Freescale MCU Summit 2011 in Tokyo」 詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html ▽ eT-Kernel 詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html
<補足資料>
■ eT-Kernel について eT-Kernel は、リアルタイム OS ベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内で SMP 型プログラムと AMP 型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系 OS の市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。
■ イーソル株式会社について イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、 イーソル株式会社の登録商標です。 * eCROS、eT-Kernel、PrUSB はイーソル株式会社の商標です。 * TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 * ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 * μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 * TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 * 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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