プレスリリース

Arm® TrustZone®を活用した機能安全対応OS統合ソリューションを提供

~ミックスド・クリティカルシステム*1において、従来のType 1 ハイパーバイザと比較して高度なセパレーションとCPU時間の効率的なフル活用を実現 ~

報道関係者各位 
イーソル株式会社
Virtual Open Systems SAS



イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)とVirtual Open Systems SAS(本社:フランス・グルノーブル、以下Virtual Open Systems社)は、Virtual Open Systems社が開発したArm TrustZoneによって高い安全性が必要なアプリケーションの保護を行う仮想レイヤ「VOSySmonitor」に、イーソルのPOSIX仕様準拠スケーラブルリアルタイムOS「eMCOS® POSIX」が対応したことを発表します。Arm TrustZone搭載マルチコアプラットフォームにおいてLinuxなどの汎用OSとリアルタイムOSの同時実行を可能にし、セキュアレベルの異なるミックスド・クリティカルシステム・アプリケーションの確実なセパレーションを実現します。またeMCOS POSIXの空き時間に汎用OSが実行されるため、ヘテロジニアス/ホモジニアス*2なハードウェア構成のマルチコアシステムのCPU時間を効率的にフル活用できます。このソリューションは、一つのシステムで異なるセキュリティ要件が求められる、自動車を含む次世代モビリティ機器やエネルギー・電力プラットフォーム、IoTエッジデバイス、および産業機器をはじめとしたミックスド・クリティカルシステムにおいて高い安全性および信頼性を付与することが可能となります。Virtual Open Systems社は、システム全体に及ぶセキュリティの確保を実現するための安全性に関わる専門知識を持っており、安全性が重視される分野で最高水準の安全性確保を保証します。


「Embedded World 2019」(会期:2019年2月26日(火)~28日(木)、会場:Exhibition Centre Nuremberg・ドイツ)のイーソルブース(ブースNo.4-506)にて、eMCOS POSIX on VOSySmonitorによるIVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)システムとインスツルメントクラスタのミックスド・クリティカルシステムのデモを展示します。

◆ eMCOS POSIX on VOSySmonitorの特長
・マルチコアプロセッサ上でeMCOS POSIX(リアルタイムOS)とLinux(汎用OS)の共存により高い信頼性と機能性を実現
・eMCOS POSIXの空き時間に汎用OSが実行されるため、CPU時間のフル活用が可能
・Arm TrustZoneテクノロジにより、メモリやペリフェラルなどのハードウェアリソースを確実かつ安全に分離
・eMCOS POSIXの優先度は汎用OSよりも高く、汎用OSからの干渉を防止


VOSySmonitorは、Arm Cortex®-Aシリーズに搭載されているセキュリティ技術「Arm TrustZone」を利用して、Armマルチコアプラットフォームをハードウェアレベルで分離するシステムパーティショナーです。セーフティクリティカルなリアルタイムOSと複数の汎用OSを、マルチコアプラットフォーム上で統合したヘテロジニアス環境を構築する機能を提供します。VOSySmonitorは、実際の路上を走行する自動車において機能安全規格ISO 26262 ASIL D(自動車向け)の認証を取得できるよう設計・開発されています。高い信頼性を持つセーフティクリティカルなアプリケーションを実行させる保護されたSecure Worldと、Automotive Grade Linux、AndroidなどリッチなOSディストリビューションを動作させるNormal Worldの2つの領域にシステムを分離でき、従来の商用Type 1 ハイパーバイザソリューションと比較して高いレベルのセキュリティ、信頼性、およびパフォーマンスを実現する、ミックスド・クリティカルシステムを可能にします。

eMCOS POSIXは、POSIX 1003.13 PSE 53に準拠し、マルチプロセス/マルチスレッド、ローダブルプロセス、共有ライブラリを完全サポートした、本格的なPOSIX仕様準拠リアルタイムOSです。Linuxのソフトウェア資産の活用が容易で、自動運転システム用オープンソースソフトウェア(OSS)「Autoware」の動作実績があります。すべての各コアにマイクロカーネルが配置される「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」により、ヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートするスケーラビリティを実現します。またeMCOS POSIXのベースとなるeMCOSは、独自のスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許第5734941号 、5945617号取得)を持っており、リアルタイム性を保証しながら、CPUのスループットを最大限に引き出すことができます。優先度が高いスレッドをコア数分抽出し、指定された各コアを占有して実行するスケジューリングにより、リアルタイム性を保証します。ハードリアルタイム性を必要とする処理には、動作コアを固定する機能もサポートしています。 

eMCOS POSIXは、機能安全規格ISO 26262(自動車)が定めた開発プロセスに準拠して開発されており、最高の安全度水準(ASIL D)のプロダクト認証の取得を計画しています。また、イーソルのリアルタイムOS製品の開発プロセスは、医療機器向け安全規格IEC 62304に準拠していることが認証されています



イーソル株式会社 常務取締役 上山 伸幸 のコメント

「仮想化技術で優れた専門知識を持つVirtual Open Systems社と、セキュアなアプリケーションとノンセキュアなアプリケーションの安全な分離と混在を可能にするソリューションの提供に向けて、協力できたことを光栄に思います。すべての各コアにマイクロカーネルが配置されるeMCOS POSIXの分散型マイクロカーネルアーキテクチャは、コア数やハードウェア構成を問わず、eMCOS POSIX一つですべてのコアを制御します。イーソルはeMCOS POSIX on VOSySmonitorの提供により、ミックスド・クリティカルシステムにおいて、Arm TrustZone搭載のArmマルチコアプラットフォームの性能を最大限に引き出し、安全なシステムセパレーションの実現に貢献します。」


Virtual Open Systems SAS President Daniel Raho のコメント

「リアルタイムOSのトップレベルの技術と知見を持つイーソルのeMCOS POSIXが、VOSySmonitorに対応したことを歓迎します。eMCOS POSIXとVOSySmonitorの組み合わせにより、優れたリアルタイム性および高いスループットを確保し、汎用OSと共有されたCPU時間のフル活用を実現できます。またVOSySmonitorに搭載されたArm TrustZoneにより、強力にハードウェアリソースを分離し、安全が求められるセーフティクリティカルなアプリケーションの適切かつ確実な実行が可能になります。」




1 ミックスド・クリティカルシステム:求められる信頼度および安全性能が異なる機能が混在しているシステム
2 ヘテロジニアス/ホモジニアス:ヘテロジニアスは異種の、ホモジニアスは同種のコアを複数混在したプロセッサ

■補足資料 

イーソル株式会社について


イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業の、組込み・IoT分野のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。


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Virtual Open Systems SASについて


Virtual Open Systemsは、自動車、コネクテッドカー、IoTエッジデバイスなどの組込み機器で、複雑なミックスド・クリティカルシステムの実現を可能にする、オープンな仮想化ソリューションとカスタマサービスを提供するハイテクノロジ ソフトウェアカンパニーです。コロンビア大学と共同でArmコアにKVM(Kernel-based Virtual Machine)を移植した最初の企業で、オープンソースの仮想化環境におけるまったく新しい道を切り開いています。また、自動車用電子部品における仮想化を促進する、Automotive Grade Linux Virtualization Expert Group (EG-Virt)を設立し、リードしています。Virtual Open Systemsは、主力製品のVOSySmonitorを中心に、自動車、産業、IoT、エネルギー、ドローンなど、様々なバーティカル市場セグメントにおいて、仮想化テクノロジを必要とするミックスド・クリティカルシステムを実現します。Virtual Open Systemsは、Arm®およびIntel®プロセッサ用の高性能なユーザ空間仮想スイッチであるVOSySwitch、および再構成が可能なハードウェアアクセラレータ用の仮想化テクノロジであるvFPGAmanagerを提供するNFV(Network Functions Virtualization)およびネットワーク仮想化分野で活躍しています。


>> Virtual Open Systems SAS ウェブサイト


* イーソルおよびイーソル株式会社は、イーソル株式会社の日本における登録商標です。またeSOLは、イーソル株式会社の日本および米国における登録商標です。
* eMCOS®およびエムコス®は、日本および米国におけるイーソル株式会社の登録商標です。
* その他、記載された社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。


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