プレスリリース

ザイリンクス社のZynq UltraScale+ MPSoC ZCU102 評価キットをイーソルのリアルタイムOSベースプラットフォームがサポート

~ビジョンガイド機械学習システム向けフレームワーク「reVISION™スタック」との連携により、OpenCVやCNNを活用した信頼性の高いコンピュータビジョンシステムの評価開発を容易に~

報道関係者各位 
イーソル株式会社

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、シングルコアプロセッサからマルチ・メニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートする世界初の商用リアルタイムOS「eMCOS」およびTRONベースリアルタイムOS「eT-Kernel」をコアとするソフトウェアプラットフォームが、ザイリンクス社のZynq® UltraScale+™ MPSoC ZCU102 評価キット(以下MPSoC ZCU102 評価キット)に対応したことを発表します。ザイリンクスの次世代ビジョンガイド機械学習システム向けフレームワーク「reVISIONスタック」と連携したイーソルのリアルタイムOSプラットフォームをMPSoC ZCU102 評価キットと組み合わせて利用することで、OpenCVやCNN[*1]を活用したコンピュータビジョンシステムに高いリアルタイム性と信頼性を取り入れた評価開発が容易にできます。

「組込み総合技術展/Embedded Technology2017(ET2017)」(会期:2017年11月15日(水)~17日(金)、会場:パシフィコ横浜)のザイリンクス社ブース(ブースNo.D-56)にて、MPSoC ZCU102 評価キットを使ったZynq UltraScale+ MPSoC(以下MPSoC)対応eT-Kernelベースプラットフォームのデモを行います。

MPSoCは、Arm®コアとFPGAを統合したプログラマブルSoCです。最新のArmv8アーキテクチャを採用したArm Cortex®-A53クアッドコアプロセッサと、Armv7アーキテクチャのArm Cortex-R5デュアルコアプロセッサが搭載された、ヘテロジニアスマルチコア構成です。Arm Cortex-A53クアッドコアプロセッサは、32ビットまたは64ビットのデータ幅に対応しています。従来のZynq-7000 All Programmable SoCから、Arm Mali™GPUやH.264/H.265ビデオコーデックが新たに統合され、高品位なグラフィックスやビデオ処理の性能が強化されています。

eT-Kernelおよびその統合開発環境「eBinder」などを統合したイーソルのソフトウェアプラットフォームは、機械学習ベースの画像認識アルゴリズムを容易に活用できる開発キット「reVISIONスタック」に統合されたMPSoC向け開発環境「SDSoC」と連携しています(※)。SDSoCのプロジェクトをeBinderにシームレスにインポートできるため、reVISIONスタックに含まれるFPGAアクセラレーションされたOpenCV高速コンピュータビジョンライブラリやCNN を、Armコア上で動作するeT-Kernelベースのアプリケーションから、専用のライブラリを追加開発することなくすぐに利用できます。MPSoC ZCU102 評価キット上で、MPSoCがターゲットとするADAS[*2]やインダストリアルIoTなどの幅広い組込み機器において、コンピュータビジョン技術を取り入れた評価開発に手軽に着手できます。

eMCOSおよびeT-KernelをコアとするイーソルのリアルタイムOSベースプラットフォームは、多数のArmコアのサポート実績を持ち、Arm純正コンパイラを統合しています。eMCOS/eT-Kernel、eBinder、各種ミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。車載機器や産業用機器、航空・宇宙分野、コンシューマ機器、OA機器などで採用実績があります。eT-Kernelは、機能安全規格ISO 26262 ASIL D(自動車)およびIEC 61508 SIL 4(産業機器)の認証を取得しています。またイーソルのリアルタイムOS製品は、医療機器用ソフトウェアの開発と保守に関する安全規格「IEC 62304:2006 Medical device software-Software life cycle processes」準拠が認証された開発プロセスで開発されています。 

イーソルは今後、eMCOSにオープンソースのロボット制御フレームワーク「ROS[*3]」を対応させたMPSoC対応「ROS on eMCOS」を開発し、MPSoCを使った組込みシステムへのロボット技術の適用支援を視野に入れています。eMCOSは、分散コンピューティングを前提に設計されているため、ROSを利用したシステム開発に最適です。イーソルは様々な分野へのROS/ROS 2適用の開発実績をベースとしたエンジニアリングサービスを提供しています。 

※eMCOSのreVISIONスタックおよびSDSoCサポートは2018年第2四半期を予定。


*1 Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク
*2 Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム 
*3 Robot Operating System


ザイリンクス株式会社 マーケティング部 シニア マネージャー 神保 直弘 様 のコメント


「イーソルはMPSoCを含むAll Programmableソリューションにおけるザイリンクスの重要な戦略的パートナーです。reVISIONスタックと連携したイーソルのリアルタイムOSベースプラットフォームをMPSoC ZCU102 評価キットと組み合わせて利用することで、信頼性が高く、かつ、インテリジェントなコンピュータビジョンシステムの迅速な評価開発が可能になります。MPSoCがターゲットとするADASやインダストリアルIoT市場へのビジネス拡大に向けて、今後もイーソルとの協力関係を強化してまいります。」


イーソル株式会社 常務取締役 上山 伸幸 のコメント


「近年、自動運転システムや産業用ロボットなど、ロボット以外の組込み機器でROSを利用した研究開発が進められており、その需要が高まっています。今後イーソルのROS適用技術を注入したROS on eMCOSをMPSoCと組み合わせて提供し、資源が限られた組込み機器で高いリアルタイム性や信頼性を確保しながら、ROSの豊富な機能を活用した開発効率化を強力に支援します。」


■補足資料

eMCOSについて

eMCOS(エムコス)は、シングルコアからマルチ・メニーコアプロセッサまでをサポートした商用では世界初の組込みシステム向けスケーラブルリアルタイムOSです。従来のリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用することで、コア数の違いに加え、マイコンやGPU、FPGAなどアーキテクチャが異なるヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートするスケーラビリティを実現しています。さらに、イーソルの独自技術「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許 第5734941号、第5945617号)を搭載することで、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性を両立しています。また、シングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用した、従来の方法でアプリケーションを開発できます。

eMCOS詳細

eBinderについて

eBinderは、リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を提供するEclipseベース開発スイートです。シングルコアからマルチ・メニーコア、マルチCPUまでサポートするスケーラブルリアルタイムOS「eMCOS」および機能安全認証TRONベースリアルタイムOS「eT-Kernel」と緊密に統合化されています。シングルコアプロセッサ上でのデバッグと同じ感覚で、マルチ・メニーコアシステムをデバッグできます。多機能なシステム解析ツールによりリアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。機能安全規格ISO 26262(自動車)およびIEC 61508(産業機器)で規定されている要件を満たす手順で開発を行っている信頼性の高い開発環境です。

eBinder詳細

イーソル株式会社について

イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています

イーソル会社情報へ


*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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