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イーソル株式会社

イーソル株式会社（本社：東京都中野区、代表取締役社長：長谷川　勝敏、以下イーソル）は、組込みシステム向けにオープンソースのロボット制御フレームワーク「ROS（Robot Operating System）」を適用するエンジニアリングサービス事業を開始したことを発表します。これにより、車載機器や医療機器、ヘルスケア製品、家電製品、娯楽機器など、ロボット以外の市場においてロボット技術の適用を容易にし、製品化および市場への製品投入期間の短縮に貢献します。イーソルは、従来UNIX系OSを標準環境としていたROSを、μITRON仕様準拠リアルタイムOSやメニーコアプロセッサにも対応したリアルタイムOSに移植した実績をベースに、豊富なノウハウや知見を積み重ねてきました。ユーザが小規模な組込み機器でROSの豊富な機能を利用できるように支援します。

イーソルが開催する「eSOL Technology Forum2016『IoT時代のソフトウェアプラットフォーム』」（開催日：2016年9月27日、会場：東京コンファレンスセンター・品川）にて、組込みシステムへのROS移植事例をデモを交えて紹介します。

ROS on MCU ARM® Cortex®-Mシリーズ対応μITRON4.0仕様準拠 リアルタイムOS「PrKERNELv4」上にROS環境を構築	スケーラブルリアルタイムOS「eMCOS」の自動運転プラットフォーム適用事例 eMCOSおよびLinux上にROS環境を構築し、その上に自動運転システム用OSS「Autoware」を構成する機能群をROS nodeとして実装

ROSは、アメリカのWillow Garage社が中心となって開発したオープンソース（OSS）のロボット用アプリケーションフレームワークです。UNIX系OSのUbuntuが標準環境です。ノード同士の通信機能や、シミュレーション・経路計画・可視化・ロギングなどの開発ツール、豊富なロボティクス向けライブラリ、ユーザコミュニティによるエコシステムが提供されるため、ロボット向けアプリケーション開発にすぐに着手できます。ロボット制御に最適な分散システムの構築に適した設計で、アルゴリズムの変更を柔軟かつ容易に行えます。

近年、自動運転システムや産業用ロボットなど、組込み機器でROSを利用した研究開発が進められており、その需要は高まっています。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）による「2035年に向けたロボット産業の将来市場予測（国内生産量）」（※）では、医療や介護・福祉、ヘルスケア、物流、レスキューなどのサービス分野において、ロボット市場は2015年の3千7百億円から、2035年までに4兆9千億円に成長すると予測されています。しかし、ROSはPC環境を想定し標準OSがUbuntuであるため、組込みリアルタイムOSと比べてオーバーヘッドが大きくリアルタイム性の確保が難しい、OSSゆえに品質保証が商用と比べて十分でない、など組込みシステムへの適用には課題も多くあります。

イーソルは1975年の創業以来40年にわたり、リアルタイムOSプラットフォーム技術を中核とする、組込みシステム向けのエンジニアリングサービスを提供しています。数多くのノウハウや知見をベースに、車載機器開発環境におけるCANドライバ対応やPoint Cloud（点群）の補正・フィルタ処理、ROSが提供するrviz、rosbagツールのカスタム、産業用ロボット実験環境の構築に向けたWindows®搭載PCとROSのブリッジ機能、ヒューマノイドロボット技術に関する調査の中で実施したROSとOpenRTM-aistのシミュレータ連携など、様々な分野での開発実績があります。またイーソル製μITRONベースリアルタイムOS「PrKERNELv4」上にROS環境を構築し、小規模な組込み機器で豊富なROSの機能の利用を可能にしました。さらに、2015年11月に開催された「あいち ITSワールド 2015」でデモ走行を行った自動運転車に採用された自動運転プラットフォームは、商用では世界初のシングルコアからメニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートするイーソル製リアルタイムOS「eMCOS」にROSを対応させた「ROS on eMCOS」を搭載し、その上に自動運転システム用ソフトウェア「Autoware」を組み合わせて実現しました。eMCOSは、分散コンピューティングを前提に設計されているため、ROSを利用したシステム開発に最適です。

※　出典：2035年に向けたロボット産業の将来市場予測（2010年4月、NEDO発表）
　　http://www.nedo.go.jp/content/100080673.pdf