2010年11月25日
イーソル株式会社

ARM Cortex(TM)-A9 MPCore(TM) 搭載マルチメディアプロセッサ EMMA Mobile/EV2 をマルチコア対応リアルタイムOS 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 がサポート

~ 高機能・高性能なマルチメディア機器が低コストで開発可能に ~

イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル) は、マルチコア対応リアルタイムOS 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 を核とする T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、ARM Cortex(TM)-A9 MPCore(TM)マルチコアプロセッサを搭載したマルチメディアプロセッサ 「EMMA Mobile/EV2」 をサポートしたことを発表します。本製品のリリースは、2011年1月を予定しています。今回 eCROS が対応したのは、EMMA Mobile/EV2 を搭載した京都マイクロコンピュータ社製の評価ボード 「KZM-A9-Dual」 です。これまでの ARM Cortex-A9 MPCore ボードは、実際の開発に使うには高価でしたが、eCROS がこの低価格なボードをサポートしたことにより、ARM Cortex-A9 MPCore を使った高機能・高性能な機器を低コストで開発できる環境が整いました。グラフィクスやオーディオ、ネットワークのような高機能を搭載するマルチメディア機器の開発に最適です。

12月1日より開催される Embedded Technology 2010 / 組込み総合技術展 (日程:2010年12月1日~3日、会場:パシフィコ横浜)のイーソルブース(ブース番号:B-24)と、12月15日より開催される TRONSHOW2011
(日程:2010年12月15日~17日、会場:東京ミッドタウン) で本製品の実演デモを行います。

EMMA Mobile/EV2 は、ARM Cortex-A9 コアを2個搭載したルネサスエレクトロニクス社製の高性能プロセッサで、HDコンテンツ再生とグラフィックス処理機能の高機能化と低消費電力化を追求した次世代マルチメディアプロセッサである EMMA Mobile EV シリーズの一ラインアップです。3Dグラフィックスを搭載しているためリッチなユーザインタフェースを容易に実現できます。また業界トップクラスの低消費電力化を実現しており、携帯型音楽プレーヤーなどのポータブルマルチメディア端末への搭載が見込まれています。今回 eCROS が対応した、EMMA Mobile/EV2 を搭載した 「KZM-A9-Dual」 は、SD、USB、Ethernet、LCD、Video、Camera など豊富なペリフェラルが搭載された高機能評価ボードです。低価格で高機能なため、ARM Cortex-A9 MPCore を用いた開発に手軽に着手できます。また eCROS は、同じ ARM CA9 デュアルコアを搭載する車載向けプロセッサ 「EC-4350」 にも対応しています。

2つの CPU コアを搭載する EMMA Mobile/EV2 においても、eT-Kernel Multi-Core Edition を使うことで、対称型マルチプロセッシング (SMP) 型プログラムと非対称型マルチプロセッシング (AMP) 型プログラムを混在させることができます。eT-Kernel Multi-Core Edition の 「ブレンドスケジューリング」 技術により提供される4つのスケジューリングモードを利用して、SMP型スケジューリングを使いつつ、AMP型プログラムを動作させる、といった柔軟なシステム設計が可能です。これにより、CPUコアのアイドル時間を削減し、マルチコアプロセッサ全体の性能を最大限に活用できます。また、シングルコア用に開発されたソフトウェア資産を再利用できるため、ソフトウェア開発の短期化、低コスト化を実現できます。

さらに eT-Kernel Multi-Core Edition のシステム保護技術 「eT-Kernel Multi-Core Edition Memory Partitioning」 により、異なるレベルの信頼性をもつプログラム間のメモリ破壊と、OSの中核であるカーネルの破壊を防止できるため、高い信頼性をもつマルチコアシステムを構築できます。

eT-Kernel Multi-Core Edition は、4つのスケーラブルなプロファイルから構成される eT-Kernel を中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスで構成される eCROS の一コンポーネントです。イーソルは、統合化されたソフトウェアプラットフォーム eCROS により、EMMA Mobile/EV2 向けソフトウェア開発をトータルに支援します。eCROS の開発ツール 「eBinder」 は、マルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発で重要なマルチプログラミングを強力にサポートします。そのほか、KZM-A9-Dual に搭載されたコントローラをサポートした、ネットワークや USB 関連のドライバ、ミドルウェアも順次対応予定です。

また、プロトタイピングに適した新ソフトウェアプラットフォーム 「eT-Kernel SDK」 も EMMA Mobile/EV2 搭載ボードをサポートする予定です。

▼eT-Kernel Multi-Core Edition 紹介ページ : http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel_multicore-edition.html

京都マイクロコンピュータ株式会社 東京オフィス ゼネラルマネージャ 辻 邦彦様 のコメント
「京都マイクロコンピュータ製評価ボード 「KZM-A9-Dual」 にイーソル社の eCROS が移植され、周辺機能のドライバ、ミドルウェアが提供されることを歓迎します。また今回 eCROS の開発環境 「eBinder」 と京都マイクロコンピュータの PARTNER-Jet が連携してデバッグすることが可能となり、マルチコア対応の RTOS の採用へのハードルが下がり、マルチコアの市場が広がることを期待しています。ルネサス社の EMMA Mobile/EV2 搭載の評価ボード 「KZM-A9-Dual」 と JTAG ICE 「PARTNER-Jet」、そしてイーソル社の eCROS を活用いただくことで、低コストで、高機能な組込み機器を開発できるようになるでしょう。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「eCROS は、車載機器やマルチメディア機器など、多くの分野で多数の採用実績があります。今回 eCROS が、入手しやすい価格の ARM Cortex-A9 MPCore マルチコアプロセッサ搭載ボードをサポートしたことにより、マルチコアプロセッサを搭載した高機能な組込み機器の開発が加速することを期待します。SMP と AMP を混在させることが可能な 「ブレンドスケジューリング」 技術やシステム保護技術など、イーソルの強みである優れたOS技術、様々なマルチプログラミングツールを備えた開発ツールの提供を通じ、ARM Cortex-A9 MPCore をはじめとするマルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発を強力に支援していきます。」



<補足資料>

■ eT-Kernel について
eT-Kernel は、リアルタイムOS ベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、および POSIX に準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。

「eT-Kernel」 詳細



■ eCROS について
eCROS は、イーソルのコア技術を注入したリアルタイムOS をベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROS により、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートする T-Kernel 拡張版 「eT-Kernel」 と μITRON4.0仕様準拠 「PrKERNELv4」 を中心に、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROS は、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。

「eCROS」 詳細



■ eBinder について
eBinder は、T-Kernel、μITRON をコアとするシステム向けの開発スイートです。従来の T-Kernel/μITRON ソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOS を使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOS を最大限に活用できます。eBinder は、C/C++ コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」 詳細



■ イーソル株式会社について
イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。

イーソル会社情報へ


* ARM は ARM 社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、RealView は
ARM 社の商標です。
* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirect は
イーソル株式会社の登録商標です。
* eCROS、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARD、PrMTP
はイーソル株式会社の商標です。
* TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
* ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
* μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
* TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
* 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。




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