イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、マルチコア対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」を核とするT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」が、ARM Cortex(TM)-A9 MPCore(TM)マルチコアプロセッサをサポートしたことを発表します。eT-Kernel Multi-Core Editionを利用することで、対称型マルチプロセッシング(SMP)と非対称型マルチプロセッシング(AMP)を混在させたソフトウェア設計・開発ができます。これにより、ソフトウェア開発の短期化、低コスト化を実現しながら、ARM Cortex-A9 MPCoreマルチコアプロセッサに搭載された4つのコアを効率的かつ最大限に活用できるようになります。さらにeT-Kernel Multi-Core Editionのシステム保護技術により、信頼性の高い堅牢なシステムを構築することができます。車載機器やコンシューマ機器をはじめとする、低消費電力と高いCPU能力を必要とする高性能・高機能な組込みシステムに最適です。
本日より開幕される第26回トロンプロジェクトシンポジウム TRONSHOW2010(日程:2009年12月9日~11日、会場:東京ミッドタウン)のイーソルブース(ブース番号:S-17)で本製品の実演デモを行います。
今回eCROSが対応した評価ボードは、USBやEthernetなど各種ペリフェラルが搭載された京都マイクロコンピュータ社製ARM Cortex-A9 MPCore評価ボード「KZM-CA9-01」です。eCROSには、4つのスケーラブルなプロファイルから構成されるeT-Kernel Multi-Core Editionを中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスが含まれます。eCROSとKZM-CA9-01を入手後即座に、ARM Cortex-A9 MPCore向けのアプリケーション開発に着手できます。
eT-Kernel Multi-Core Editionの最大のメリットは、イーソル独自の「ブレンドスケジューリング」技術により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させることができる点です。これにより、プログラム処理の負荷を複数コアに分散させ高いスループットを達成できるSMPのメリットと、リアルタイム性能の保証ができるAMPのメリットをひとつのシステム内で両立できます。AMPではシングルコアと同様の環境を実現できるため、シングルコア向けのソフトウェア資産をそのまま再利用でき、ソフトウェア開発を効率化できます。eT-Kernel Multi-Core Editionは、T-KernelのAPIに加え、POSIX仕様準拠のAPIを提供します。さらに、システム保護技術「eT-Kernel Multi-Core Edition Memory Partitioning」により、異なるレベルの信頼性をもつプログラム間のメモリ破壊と、OSの中核であるカーネルの破壊を防止できるため、高い信頼性をもつマルチコアシステムを構築できます。また開発ツール「eBinder」は、マルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発で重要なマルチプログラミングを強力にサポートします。
京都マイクロコンピュータ株式会社東京オフィス ジェネラル・マネジャ 辻 邦彦 様 のコメント 「マルチコア向けOSとして優れた技術を搭載し、定評のあるeT-Kernel Multi-Core Editionが、ARM Cortex-A9 MPCore評価ボード「KZM-CA9-01」をサポートしたことを歓迎します。KZM-CA9-01をターゲット・ボードとして、マルチコア対応の高性能JTAGエミュレータであるPARTNER-Jetとイーソル様のeCROSの組み合わせにより、ARM Cortex-A9 MPCoreマルチコアプロセッサを評価し、アプリケーション開発に着手できる環境を即座に構築できます。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「eCROSは、ARM11 MPCoreマルチコアプロセッサにすでに対応しており、採用実績があります。今回、英ARM社、京都マイクロコンピュータ社との協力のもと、その経験と豊富な技術ノウハウをベースに、ARM Cortex-A9 MPCore向けeT-Kernel Multi-Core Editionの開発を行いました。SMPとAMPを一システム内に混在できる「ブレンドスケジューリング」技術やシステム保護技術など、イーソルの強みである優れたOS技術をコアとし、ARM Cortex-A9/ARM11 MPCoreをはじめとするマルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発向けに、さらなる製品開発、サービス提供を継続していきます。」
補足資料
■eT-Kernelについて eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「メモリパーティショニング」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。
■eBinderについて eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。
■イーソル株式会社と「eCROS」について イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。 日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。
*ARMはARM社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、RealViewはARM社の商標です。 *eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは イーソル株式会社の登録商標です。 *eCROS、eT-Kernel、PrUSBはイーソル株式会社の商標です。 *TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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