2009年10月28日
イーソル株式会社

T-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」がNECエレクトロニクス社製モバイルAV機器向けマルチメディア・プロセッサ「EMMA Mobile 1」をサポート


~Linuxカーネルと同等の機能を提供しながら、T-Kernelの特性を生かした高速化・省メモリ化を実現~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、NECエレクトロニクス株式会社(以下、NECエレクトロニクス社)製モバイルAV機器向けマルチメディア・プロセッサ「EMMA Mobile(TM) 1」を、T-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」がサポートしたことを発表します。eCROSとEMMA Mobile 1を組み合わせて利用することで、T-Kernelの特性を生かし、モバイルAV機器の起動時間や処理全体の高速化と省メモリ化を実現できます。さらに、μITRONの次世代リアルタイムOSであるT-Kernelでは、μITRON資産を容易に再利用できるため、短期間、低コストでのソフトウェア開発が可能になります。

eCROSは、T-Kernel拡張版「eT-Kernel」を中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスから構成される組込みシステム向けソフトウェアプラットフォームです。eCROSを選択することにより、T-Kernelのもつ優れたリアルタイム性とコンパクト性を利用した、高速起動や高速処理が可能なモバイルAV機器を、小さなフットプリントで実現できます。さらにeCROSでは、Linuxカーネルとほぼ同じレベルのOS機能もサポートしています。eT-Kernelは、μITRONと同等の機能をもつ「eT-Kernel/Compact」や、POSIX仕様に準拠し、ほぼすべてのPOSIX APIをサポートする「eT-Kernel/POSIX」を含む、スケーラブルな4つのプロファイルで構成されており、システムの要求仕様にあわせて適切なプロファイルを選択できます。また、μITRONとLinuxのソフトウェア資産やエンジニアリソースを容易に再利用できるため、効率的なソフトウェア開発が可能になります。eCROSでは、EMMA Mobile 1に必要な統合化されたソフトウェアとポーティングやカスタマイズ、サポートを含むプロフェッショナルサービスを一元的に入手できるため、開発者はソフトウェアプラットフォーム構築にかかる作業とコストを削減し、上位のアプリケーション開発に集中できます。

EMMA Mobile 1向けeCROSソリューションでは、音声や動画像などのマルチメディアデータ処理を行うモバイルAV機器に必要となる、一連のソフトウェアが揃っています。EMMA Mobile 1には、ARM1176JZF-S(TM)、マルチメディアデータのデコード(伸張)を行う高性能DSPコア、画像処理アクセラレータ、USBやSDなどの各種インタフェースなど、マルチメディアデータの再生に必要な機能が搭載されています。eCROSには、USBスタック、SDメモリーカードドライバを含む、EMMA Mobile 1用の各種ミドルウェアとデバイスドライバが含まれています。


イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「eCROSによるEMMA Mobile 1サポートにより、EMMA Mobile 1ユーザに、小型・軽量で高速性を保ちながら、Linuxカーネルとほぼ同等の機能を提供できる高機能なソフトウェアプラットフォームの選択肢を提供できるようになりました。従来のT-Kernel/μITRONユーザに加え、機器の高速性を重視するユーザにとっても有益な選択になると考えています。eCROSはマルチメディア機器に多くの採用実績をもち、その性能・信頼性は実証済みです。イーソルは、NECエレクトロニクスが運営するplatformOViA(TM)パートナープログラムのメンバーとして、EMMA Mobile 1のほか、MP201やNaviEngineなどのサポート実績があり、これまでNECエレクトロニクス社との協業を深めてきました。こうした連携をもとに、イーソルは、EMMA Mobile 1ユーザに、優れたソフトウェアとプロフェッショナルサービスを包括的に提供していきます。」

補足資料

■eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「Memory Partitioning」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。

「eT-Kernel」詳細



■イーソル株式会社と「eCROS」について
  イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
  エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
  日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。



*EMMA Mobileは、NECエレクトロニクス株式会社の日本、ドイツ、米国および
その他の国における商標および登録商標です。
*ARMはARM社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、RealViewは
ARM社の商標です。
*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrUSBはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。


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