イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、ARMR Cortex™-A8を世界で初めて商用搭載したテキサス・インスツルメンツ社(以下TI社)の「OMAP35x™汎用アプリケーション・プロセッサ」を、T-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」がサポートしたことを発表します。eCROSを利用することで、ARM9™コアの約4倍(※)の性能を持つCortex-A8コアの高パフォーマンスとOMAP35xの優れたマルチメディア機能と低消費電力性能を生かした組込み機器向けに、ARM9コア用のソフトウェア資産を再利用しながら、高速・省メモリで高品質なソフトウェアを短期間、低コストで開発できます。民生機器、産業機器、医療機器など幅広い分野のポータブル機器に最適です。
eCROSは、T-Kernel拡張版「eT-Kernel」を中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスから構成される組込みシステム向けソフトウェアプラットフォームです。T-Kernelを基盤にしているため、優れたリアルタイム性能とフットプリントの小ささが特長のひとつです。OMAP35xが誇るマルチメディア機能を利用するのに必要なグラフィック用ミドルウェアや静止画/動画/音声コーデックも含まれています。eCROSの利用により、OMAP35xに必要なソフトウェアとポーティングやカスタマイズ、サポートを含むプロフェッショナルサービスを一元的に入手できるため、開発者はソフトウェアプラットフォーム構築にかかる作業とコストを圧縮し、商品競争力を左右する上位のアプリケーション開発に専念できます。OMAP35x内蔵コントローラをサポートするUSBスタックやFATファイルシステム、SDメモリカード用ドライバ、グラフィック用ミドルウェア、コーデックなどのミドルウェア提供のための環境を順次整えて、さらに利便性を高めていきます。eT-Kernelのプロファイルのうち今回対応したOSは、「eT-Kernel/Compact」です。今後、高機能・大規模なソフトウェア開発に有効なメモリ保護・プロセスモデル対応「eT-Kernel/Extended」、POSIX仕様準拠「eT-Kernel/POSIX」を対応させる予定です。eT-Kernelのスケーラブルなアーキテクチャにより、eT-Kernel/Compactのソフトウェア資産をeT-Kernel/Extended、eT-Kernel/POSIX上で再利用できるため、ハイエンドの後継機種やシリーズ製品を開発する際などに有効です。
今回eCROSが対応したOMAP35xは4つの製品のうち、最上位のOMAP3530プロセッサです。Cortex-A8コアのほか、TMS320C64x+™ DSPコア、OpenGLR ES 2.0準拠グラフィックス・エンジン、マルチメディア機能を実現する各種コントローラが搭載されており、特にHDビデオやイメージング、オーディオなどのマルチメディア機能が強化されています。高機能と低消費電力性を同時に実現するエンターテインメント機器やインターネット機器、医療機器などの幅広いポータブル機器に適しています。
イーソルは、ARM社およびTI社それぞれが運営する「ARM Connected Community」と「TI DSPデベロッパー・ネットワーク」の主要なメンバーとして、両社と緊密に協業してきました。eCROSは、TMS320DM646x、TMS320DM644x、TMS320DM3xなどのDaVinci™ デジタル・メディア・プロセッサにも搭載されたARM9コアやARM11™コアへの対応実績があります。これらの実績やノウハウをベースにし、両社との協業のもと、Cortex-A8コア搭載OMAP35xを使うソフトウェア開発者を引き続き包括的に支援します。
※ARM Cortex-A8 600MHz、ARM926 300MHz時のV2.1 Dhrystone MIPS比です。
アーム株式会社 代表取締役社長 西嶋 貴史様 のコメント 「イーソルのソフトウェアプラットフォームが、Cortex-A8コアをサポートしたことを歓迎します。これまでさまざまなARMコアをサポートし、さまざまなアプリケーションで実績を持つeCROSを利用することで、信頼性の高い高機能システムを効率的に開発できるようになるでしょう。eCROSの開発ツールには、ARM社製のRealViewRコード生成ツールが標準的にバンドルされます。イーソルは、MPCore™マルチコアプロセッサをサポートしたリアルタイムOSをいち早く開発し、マルチコアの分野でもリーダーシップを発揮するなど、ARMの重要なパートナーの一社です。これからもビジネス面、テクニカル面において密な連携を継続していきます。」
Texas Instruments社 Application Processors & Floating Point DSP ジェラルド アンドリュー様 のコメント 「OMAP35xをサポートするイーソルの強力なソフトウェアプラットフォームがリリースされたことを歓迎します。省メモリで高速なリアルタイム性を持つOS環境をユーザにご提供できるようになりました。高性能、低消費電力でマルチメディア機能に優れたOMAP35xを使ったシステム開発には、ハードウェアの機能と性能を引き出す下層のソフトウェアプラットフォームと、魅力的なアプリケーションが重要です。T-KernelベースのeCROSを利用することで、アプリケーションを効率的に開発するための環境が整います。今後もイーソルには、DaVinciプロセッサを含むTI製アプリケーションプロセッサやARMコアの経験とノウハウを生かし、OMAP35x+向けソフトウェア開発者へのトータルな支援を期待しています。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「OMAP35xは、ARMコアの中で最も高い性能と電力効率を持つARMv7アーキテクチャを初めて採用したCortex-A8コアと各種マルチメディア機能が特長のアプリケーション・プロセッサです。OMAP35xの対象アプリケーションは、グラフィックス描画やHDビデオ処理など、膨大な量のソフトウェア開発が必要ですが、eCROSを活用することでソフトウェアプラットフォーム構築にかかる開発者の負担を軽減できるため、開発コストと時間を短縮できます。また、OMAP35xとeCROSの組み合わせにより、μITRON、ARM9コアベースのソフトウェア資産を活用することができるので、さらに効率的な開発が実現できます。今後も、TI社、ARM社との協業の元、Cortex-A9を含むARMコアやTI製組込みプロセッサを利用するソフトウェア開発者を包括的にバックアップします。」
補足資料
■eT-Kernelについて eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「Memory Partitioning」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。
■イーソル株式会社と「eCROS」について イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。 日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。
*OMAP、OMAP35x+、TMS320C64x+、DaVinciは、テキサス・インスツルメンツの商標です。 *ARMはARM社の登録商標です。ARM9、ARM11、Cortex、MPCore、RealViewは ARM社の商標です。 *eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは イーソル株式会社の登録商標です。 *eCROS、eT-Kernel、PrUSBはイーソル株式会社の商標です。 *TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
|