2008年11月18日
報道関係者各位
イーソル株式会社

カーナビや高性能PND向けワンセグ対応アプリケーションプロセッサ「SH-MobileR2」をメモリ保護/プロセスモデル対応リアルタイムOS「eT-Kernel/Extended」がサポート

~プロセスモデルとメモリ保護機能を利用して、高品質のアプリケーションを短期間、低コストで開発~
~組込みソフトウェアプラットフォーム「eCROS」に統合されているため、アプリケーション開発に集中~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、カーナビゲーション機器(以下、カーナビ)や簡易型カーナビであるPND(Personal Navigation Device)に最適な株式会社ルネサス テクノロジ(以下、ルネサス)製ワンセグ対応アプリケーションプロセッサ「SH-MobileR2」を、メモリ保護/プロセスモデル対応T-Kernel「eT-Kernel/Extended」がサポートしたことを発表します。

eT-Kernel/Extendedは、T-Kernel拡張版「eT-Kernel/Compact」をコアとし、T-Engineフォーラムが配布している「T-Kernel/Standard Extension」をベースに機能面、性能面でイーソルが大幅に改良したリアルタイムOSで、カーナビなどで採用実績があります。eT-Kernel/Extendedの独自機能には、複数の物理ファイルシステムをプラグインし、ファイルに透過的にアクセスできる環境を提供するPOSIXベースの論理ファイルシステム、OSだけでなくアプリケーションも含めたシステム全体の高速な起動を可能にする高速ブート機能、ランタイムソフトウェアのシステム障害解析に役立つ例外マネージャ機能など、高い信頼性を求めるシステムや、大規模システム開発に有効な各種機能を搭載しています。また、バージョンアップや製品サポートは、イーソルが責任を持って提供しています。今回SH-MobileR2に対応したことにより、eT-Kernel/Extendedが提供するプロセスモデル、MMUを利用したメモリ保護機能をSH-MobileR2上で使えるようになりました。品質の高いアプリケーションを短期間、低コストで開発できるようになります。

eT-Kernel/Extendedはイーソルの組込みソフトウェアプラットフォーム「eCROS」に統合されているため、開発環境「eBinder」、各種ミドルウェア、保守サービス/カスタマイズ/受託開発などのプロフェッショナルサービスを活用して、上位のアプリケーション開発のみに集中できます。さらに、eCROSではSH-MobileR2をサポートするリアルタイムOSとしてeT-Kernel/Extendedの下位プロファイルである「eT-Kernel/Compact」をすでに用意していますが、eT-Kernel/CompactとeT-Kernel/Extendedはコアとなるカーネルが同じなので、デバイスドライバやミドルウェアなどをカーネルアプリケーションとして、再利用することができます。製品のシリーズによってOSに求める機能が違う場合でも、両OSを使い分けることで、ソフトウェアを再利用しながら効率的に開発を進めることができます。今後、POSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」の対応を進めていく予定です。また、eT-Kernel/Extendedを、SH-MobileR2と同様にSH-4AコアをもつSH7780シリーズへ移植することも容易にできます。

SH-MobileR2は、マルチメディア機能が優れたアプリケーションプロセッサです。最大動作周波数400MHzのSH-4Aコアと、画像や音声処理に有効な浮動小数点演算器(FPU)に加え、64Kバイトの一次キャッシュと256Kバイトの二次キャッシュを備えており、比較的処理が重いマルチメディア処理においてもストレスのない高速なソフトウェア処理が可能です。また、日本の地上デジタル放送ISDB-Tで採用されている動画像圧縮方式H.264/MPEG-4 AVC(以下H.264)に対応したマルチコーデックの高性能な動画像処理IP「VPU5F」が搭載されています。VGAサイズで30fps(frame per second)のエンコード/デコード処理が可能です。H.264に加えて、MPEG-4、VC-1にも対応しているため、ワンセグ放送に加え、ビデオメールやTV電話、ムービー等の様々な動画アプリケーションを実現できます。さらに、地図描画用の2Dグラフィックアクセラレータや地上デジタル放送の高画質表示を可能にする拡大エッジ強調機能、USB2.0ホスト/ファンクション、ATAPIコントローラ、ハイスピード規格対応SDホストコントローラなど、さまざまなマルチメディア機能を実現できる高性能な周辺機能を内蔵しています。


株式会社ルネサス テクノロジ システムソリューション第二事業部 事業部長 茶木 英明 様 
のコメント

「特にSH-MobileR2がターゲットとしているカーナビやPNDは、多くの高度な機能が求められ、ソフトウェア開発の規模が大きいのが特長です。すでに同分野で実績のあるeT-Kernel/ExtendedがSH-MobileR2をサポートしたことで、カーナビ、PNDの大規模なソフトウェア開発を、品質を犠牲にせず、効率的に開発できるようになると考えています。統合されたソフトウェアプラットフォームeCROSを利用することで、さらに開発を加速できるでしょう。特に、車載機器開発でイーソルがもつ経験とノウハウにより、製品サポートや受託開発などのプロフェッショナルサービスに大いに期待しています。イーソルとの協力の下、SH-MobileR2を使ったカーナビ、PND開発をサポートしていきます。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「従来よりSH-MobileR2向けにeT-Kernel/Compactを提供していましたが、今回リリースするeT-Kernel/Extendedにより、カーナビ、PNDの大規模なソフトウェア開発のニーズにより応えることができると考えています。特にeCROSに統合化された開発環境eBinderをあわせて利用することで、大人数での開発や、国内・海外を問わず複数サイトにまたがった分散開発などでも、効率的で連携のとれた開発ができます。今後もイーソルの車載分野での経験を生かし、ルネサスとともにこの分野の開発者を強力に支援していきます。」


補足資料

■eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。

「eT-Kernel」詳細



■eT-Kernel/Extendedについて
eT-Kernel/Extendedは、メモリ保護機能とプロセスモデルを完全サポートしたリアルタイムOSです。高い信頼性が要求されるシステム、大規模システム、大人数が開発に関わるようなシステムに最適です。「T-Kernel/Standard Extension」をベースに多くの機能拡張を行いました。POSIXファイルシステムシステムAPIをサポートした論理ファイルシステムや、CPU例外が発生した時に自動通知する例外マネージャ機能、製品出荷後でもメンテナンスを可能にするターゲットシェル、高速なシステム起動を可能にする高速ブート機能など、様々な拡張機能を搭載しています。

「eT-Kernel/Extended」詳細



■eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」詳細



■イーソル株式会社と「eCROS」について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた3つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。



*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrUSBはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。