イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、イーソルのメモリ保護/プロセスモデル対応リアルタイムOS「eT-Kernel/Extended」が、フリースケール・セミコンダクタ(以下、フリースケール)のマルチメディア・アプリケーション・プロセッサ「i.MX31」(以下、i.MX31)をサポートしたことを発表します。ソフトウェア規模が大きいマルチメディア機器開発において、より高品質なソフトウェア開発を促進し、さらに大人数・複数チームでの開発を容易にする仕組みや機能を提供します。携帯型音楽プレーヤーや携帯型メディアプレーヤー、GPSナビゲーション・デバイスなどの高機能・高性能なマルチメディア機器に最適です。
eT-Kernel/Extendedのメモリ保護機能とeT-Kernel/Extendedのアーキテクチャであるプロセスモデルが、マルチメディア機器の開発者にこうしたメリットをもたらします。MMU(メモリ管理ユニット)を利用したメモリ保護機能は、実行中のプログラムが他のプログラムが管理するメモリ領域やシステムのリソースを誤って破壊しようとすると、事前に検知してそれを防ぎます。このため開発中に不具合を発見しやすくなります。システム稼働中に万が一プログラムが不正動作した場合でも、被害を最小限に抑えます。またプラグインやシステムのアップデートプログラムなど後から動的にシステムに組み込むプログラムを、安全にロードできます。一方プロセスモデルは、OSやプログラムどうしの関係をより粗結合化し、システム全体を機能や処理単位(プロセス)に分けて管理・実行すること可能にします。プロセスごとの開発・デバッグができるため、大人数での開発に容易に対応できます。このほか、エラーが発生した時に自動通知する機能や、製品出荷後でも外部からのメンテナンスを可能にするターゲットシェル、高速なシステム起動を可能にする高速ブート機能など、マルチメディア機器開発時に有効な機能、仕組みを搭載しています。
i.MX31向けにはeT-Kernel/Extendedに加え、T-Kernelベースシステム開発スイート「eBinder」、各種ミドルウェア、プロフェッショナルサービスで構成されるソフトウェアプラットフォーム「eCROS」を用意しています。この統合化したeCROSを採用することにより、プラットフォームの開発・チューニングにコストをかける必要がないので、競争力の源泉となるアプリケーション開発に集中して取り組めます。OSではeT-Kernel/Extendedのほか、高いリアルタイム性能とコンパクトさが特長の「eT-Kernel/Compact」もi.MX31をサポートしています。eT-Kernel/ExtendedとeT-Kernel/Compactでは、ドライバやミドルウェアなどのソフトウェアを共有して使用できるため、適材適所で利用することで、シリーズ製品や後継機種製品の効率的かつ計画的な開発が可能です。またこれらは、ARM11コアをもつ他のプロセッサへの移植が容易にできます。
i.MX31は、ARM11コアを搭載した高性能・低消費電力のマルチメディア・アプリケーション・プロセッサです。内蔵の画像処理ユニット(IPU)により、動画再生や画像、音声の処理などのマルチメディア機能に優れ、VGA(25fps)という高いビデオ品質を実現しています。MPEG-2、MPEG-4、AUI、DivX、H.263、H.264といった、主要な動画標準がすべてサポートされています。また電源管理機能などにより実現された低消費電力により、携帯型の機器でも高機能・高品質なマルチメディア機能を実現できます。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社 プロダクト・マーケティング本部 ジェネラル・マネージャ 伊南 恒志 様 のコメント 「フリースケールのi.MX31プロセッサとeT-Kernel/ExtendedをコアとするeCROSの組み合わせは、高機能化・高性能化のニーズに応えてソフトウェアの大規模化が進むマルチメディア機器にとって、最良の選択です。すでにマルチメディア機器の分野で多くの実績をもつイーソルは、イーソル製品の性能や信頼性の高さと、蓄積された技術とノウハウをもって、i.MX31ベースのマルチメディア機器開発者の強力なパートナーとなるでしょう。」
イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「i.MX31は低消費電力と優れたマルチメディア機能が特長のマルチメディア機器向けアプリケーション・プロセッサです。特にマルチメディア機器の開発においては、高品質の確保やさらなるコスト削減、大人数での連携のとれた開発などが課題になってきています。eT-Kernel/Extendedを含むeCROSを選択することでこうした課題を解決し、i.MX31の性能と機能をフルに引き出したマルチメディア機器の開発が可能になります。」
補足資料
■eT-Kernelについて eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。
■eBinderについて eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。
■イーソル株式会社と「eCROS」について イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。
*FreescaleならびにFreescaleのロゴマークは、フリースケール社の商標です。 *ARMは、英アーム社の登録商標です。 *eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、 イーソル株式会社の登録商標です。 *eCROS、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDは、 イーソル株式会社の商標です。 *TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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