2006 年 6月 20日
報道関係者各位
イーソル株式会社

次世代の宇宙機器開発用プラットフォーム「SpaceCube Ⅱ」に、 イーソルのT-Kernelとソフトウェア開発環境が標準採用


イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した次世代科学衛星向けデータ処理計算機「SpaceCube Ⅱ」用CPUボードの標準OSおよび標準ソフトウェア開発環境として、イーソルのT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と T-Kernelベースシステム開発スイート「eBinder」が採用されたことを発表します。

科学衛星のシステム規模が大きくなり、搭載される機器が多種多様になるにつれて、高い信頼度を確保しながら、開発と試験の効率化を進めることが、科学衛星開発において大きな課題となってきています。JAXAでは、こうした課題を克服するための衛星アーキテクチャの研究を進めており、その一環でSpaceCube Ⅱが開発されました。SpaceCube IIは、小型衛星から大型衛星に至るまで共通に適用可能な「スケーラブルな」アーキテクチャの構築と実証を目指したデータ処理装置です。また、ネットワーク型の衛星アーキテクチャの実現を目的に、IEEE1355をベースとした次世代の宇宙機用ネットワーク規格「SpaceWire」を実装しています。

JAXAのとりくみ



このたびeT-KernelとeBinderが標準採用されたSpaceCube Ⅱ用CPUボードは、縦168mm、幅168mmのコンパクトな外形を 持っており、MIPS 5Kfアーキテクチャを採用した64ビットMPUであるHR5000が実装されています。また、装置内部バスとして CompactPCIバス、外部通信インタフェースとしてSIOのほか人工衛星を構成する装置間接続、モジュール間接続などに利用される SpaceWireが搭載されています。SpaceCube Ⅱ用CPUボードは、JAXAのほか、宇宙関連各社、大学などにおいて、共通プラット フォームの一つとして展開されていく予定です。

eT-Kernelは、T-Engine標準のリアルタイムOSであるT-Kernelを、イーソル独自の技術で改良・チューニングした組込みシステム向けのリアルタイムOSです。システム起動時間の大幅短縮、高速な割込み応答性の確保、サービスコール全般の高速化、メモリフットプリント調整機能など、組込みシステムに必須の機能、性能を実現しています。イーソルの組込みソフトウェア開発における技術とノウハウが詰まったeT-Kernelが、システム全体の根底としての役割を十分に発揮し、宇宙機器のリアルタイム性と信頼性をささえます。また、eBinderが提供する、リアルタイムOSをつかったシステム開発のためにゼロから設計・開発された開発ツール・機能群を使うことで、高品質で信頼性の高い宇宙機器の開発を、低コスト、短期間で実現できます。さらに、複数チーム、複数サイトでの分散開発を支援するプラットフォームパッケージ機能をはじめ大規模なシステム向けのeBinderのツールや機能を使うことで、大規模な宇宙機器をより安全で効率的に開発できます。

イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「SpaceCube Ⅱに、イーソルのeT-KernelとeBinderをご採用いただき、大変光栄です。最も高い信頼性が要求される組込みシステムのひとつである宇宙機器のソフトウェアプラットフォームとしてご採用いただいたことで、eT-KernelとeBinderの信頼性の高さを実証することができたと考えています。今後も、これまで蓄積してきた組込みソフトウェア開発における技術、ノウハウに磨きをかけていくとともに、製品開発と充実したサービス提供に力を入れてまいります。」


■補足資料
eT-Kernelについて

eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、 T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。 システム起動時間の大幅短縮、T-Monitorレスでの動作による高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを 実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた3つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つ μITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」およびメモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」です。

eT-Kernel詳細



eBinderについて

eBinderは、T-Kernelを使ったソフトウェア開発のための開発スイートです。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。また、JTAG ICEとの連携機能や、複数チーム、複数サイトでの分散開発を支援するプラットフォームパッケージ機能など、大規模なリアルタイムシステム開発に必須の機能を提供しています。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

eBinder詳細


イーソル株式会社 について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一 貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernel の拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」 のラインナップがあります。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに 「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。


*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
* eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
 * MIPSは、MIPS Technologies, Inc.の登録商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。