2006年5月11日
報道関係者各位
イーソル株式会社

μITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」がPowerPCTM603eコアをサポート



~既存のμITRON資産を再利用し、PowerPCベースの高性能な組込みシステムを容易に構築~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、イーソル製μITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」がPowerPCTM603eコアをサポートし、「PrKERNELv4 for PowerPC」としてリリースしたことを発表します。今回サポートしたPowerPC 603eコア搭載プロセッサは、フリースケール社製MPC82xx PowerQUICC Ⅱプロセッサです。今後、他のプロセッサへの展開を進めていきます。

μITRONを使った既存のシステムをPowerPCコアへ移行する場合などにこのPrKERNELv4 for PowerPCを使うことで、既存のソフトウェア資産を再利用して効率的に開発を進めることができます。製品が高機能化、大規模化するにしたがって、それまで使っていたCPUやネットワークのパフォーマンスでは十分でなくなり、高性能なPowerPCコアに移行するケースなどに最適です。また現在、μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のPowerPCコアへの対応も進めています。これにより、PowerPCベースのμITRONソフトウェアの開発環境が整うことになり、安価なμITRON環境への移行が容易になります。


このたびPrKERNELv4が対応したMPC82xxは、PowerPC 603eコアとRISCベースの通信プロセッサモジュール(CPM)を統合したデュアルコアアーキテクチャをもつプロセッサです。最大400MHzのCPU周波数、同200MHzのCPM周波数、同100MHzのバススピードを実現する高い性能を持ち、厳しいコスト要求とセキュリティ機能を必要とするネットワークアプリケーション向けに最適化されています。業界標準の暗号化アルゴリズムをサポートした強力なセキュリティエンジンがハードウェア上に実装されています。

PrKERNELv4は、1999年のリリース以来、携帯電話やデジタルカメラなどのデジタル家電、カーナビゲーションシステム、プリンタからFA機器までの幅広い分野で多くの実績を持つ、代表的なμITRON仕様のリアルタイムOSです。μITRON4.0スタンダードプロファイルに完全準拠しており、各種組込みシステムに最適なプログラムサイズで、優れたリアルタイム性能を実現します。また、ミューテックス、可変長メモリプール、資源の動的生成などのさまざまな拡張機能やPrKERNELv4独自の拡張機能を実装しています。カーネル共通部分はMISRA-Cに準拠しています。

PrKERNELv4 for PowerPCは、MPC82xxの評価用ボードであるフリースケール社製MPC8272ADS上で動作することを検証しています。コンパイラは、GNUコンパイラに対応しています。

「PrKERNELv4」詳細


「eBinder」詳細


フリースケール社製「MPC82xx PowerQUICC Ⅱプロセッサ」詳細


フリースケール社製「MPC8272ADS」詳細




イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「組込みシステムの大規模化、高機能化に伴い、使われるCPUもより高性能で信頼性の高いものが使われるようになってきました。パソコン向けを起源とするPowerPCコアは、そうした要求に応えられる有力なCPUのひとつです。このたびリリースしたPrKERNELv4 for PowerPCは、新規のPowerPCベースのシステム開発時に有用なのはもちろんのこと、従来のCPU上に構築した既存のμITRONソフトウェア資産をより高性能なPowerPCへ移行する際に、いちからソフトウェアを開発する手間を省き効率的な開発を実現します。さらに、現在開発中のeBinder for PowerPC(仮称)をあわせて使うことで、短期間、低コストでPowerPCベースのITRONソフトウェア開発を行うことができます。」


■補足資料
eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」詳細


イーソル株式会社 について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」 のラインナップがあります。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。


* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
* eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
*PowerPCは、IBM Corporationの商標です。
* TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
* ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
* μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
* TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。