2005 年 10月 24日
報道関係者各位
イーソル株式会社
株式会社図研

イーソルと図研、図研製 音声・動画のストリーミングプロトコルRTPライブラリ「Z-Core RTP」の販売で協業


~ネットワークカメラやPDAなどの組込み機器に、リアルタイム動画配信機能を容易に実装~
~相互動作検証済みのイーソルのRTOS/ミドルウェア製品をあわせて使用することで開発期間を短縮~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)と株式会社図研(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:金子 真人、以下図研)は、図研が開発した音声・動画のストリーミングプロトコル(RTP)のミドルウェアライブラリ「Z-Core RTP」をイーソルが販売するための代理店契約を締結したことを発表します。「Z-Core RTP」と動作検証済みのイーソル製μITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」および高速TCP/IPプロトコルスタック「PrCONNECT2」をあわせて使用することで、リアルタイム動画配信機能を実装したネットワークカメラやPDAなどの組込み機器を短期間で開発することができます。

RTP(Real-time Transport Protocol)は、音声や映像をストリーミング再生するための伝送プロトコルで、RFC1889(注1)で公開された技術仕様です。最も普及しているストリーミングソフトのひとつであるApple社のQuickTimeやRealNeworks社のRealPlayerは、このRTPに対応しています。

図研では2004年3月から「Z-Core RTP」を販売しておりますが、RTOS、ミドルウェア市場での販売力をより強化するために、同市場で大きな力をもつイーソルと販売提携することとなりました。またイーソルにおいても、イーソル製品と動作が保証されているRTPライブラリを一括して供給して欲しいとの要望がユーザーより多く寄せられており、今回の代理店契約はこうしたニーズに応える有効な手段となります。「Z-core RTP」は、多くの組込みシステムに搭載実績があるイーソル製ITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」と業界最高速クラスを誇る高速TCP/IPプロトコルスタック「PrCONNECT2」上で既に動作が確認されています。これらを組み合わせることで、高速で信頼性の高いストリーミング環境を実現できます。また、動作検証済みであるため、ユーザーはこれらをまとめて使用することで、すぐに開発に取り掛かることができます。このほかにもFATファイルシステム「PrFILE2」と組込み機器向けウェブサーバ「PrHTTPD」をあわせて使用した場合の評価環境も整っています。さらに、イーソル製T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を使って開発することで、開発の効率を向上することができます。

イーソルと図研は、「Z-core RTP」およびイーソル製関連製品のパッケージ販売などで、初年度に2,000万円、3年後には1億円の売上を見込んでいます。

「Z-Core RTP」は、RFC1889、1890に準拠しており、下記の特長を持ちます:

  • 各種コーデック対応(MPEG1/2、MPEG4、MJPEG、G711、G729、MP2/3)
  • 転送ジッタに追随したバッファリング制御、最適な再生遅延の算出機能によりプレイヤ開発が容易
  • システム依存部と非依存部が分離されており、移植が容易
  • μITRON4.0 /Windows/Linux上で動作可能(※T-Kernel対応予定)
  • コンパクトなプログラムサイズ
  • マルチキャスト対応
  • シンプルなユーザインタフェース
  • 選択可能な各種イベント通知機能
  • サンプルソースとしてQuickTime用の簡易RTSP等が提供され、QuickTime Player を使用したストリーミング配信が可能
今後もイーソルと図研は協調関係を継続し、両社製品の販売や技術サポートの提供を行っていくのはもちろんのこと、周辺技術の開発および製品化にも努めていきます。

注1)RFCとは「Request for Comment」の略語で、インターネットに関する技術の標準を定める団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が正式に発行する文書。

図研「Z-Core RTP」ウェブサイト:http://www.zuken.co.jp/soc/doc/sw/rtp.html



株式会社図研 SoC事業部 デザインセンター センター長 横川 隆 のコメント
「図研デザインセンターは、マルチメディア系組込みソフトウェアの開発を数多く手がけていますが、MPEG4方式を使用した画像伝送商品の開発実績から、IETF標準に準拠したRTPライブラリ「Z-coreRTP」を開発、Windows/Linux/μITRON4.0上での動作実績を経て、ユーザーから高い評価を得ています。イーソルの環境との組み合わせで、よりユーザーフレンドリーなソリューションになるものと思います。図研デザインセンターは、これからも、ライブカメラ、ストリーム配信といったシステムを開発するユーザー様に、「Z-coreRTP」をご提供致するとともに、システムの早期組み込み・立ち上げに対するデザインサービスを行ってまいります。」


イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「今後PCだけでなく、様々な組込み機器においてリアルタイムな動画配信機能に対するニーズはますます多くなってくると予想されます。音楽や動画などを扱うコンシューマ製品のほか、監視カメラなどのセキュリティの分野において特に多くニーズがあると見込んでいます。イーソルが得意とするこうした市場に対し、図研殿と協調して、今回発表する「Z-Core RTP」と弊社のリアルタイムOS/ミドルウェア製品を中心に、よりよい製品とサービスを提供していきます。」





■参考資料
PrKERNELv4 について
PrKERNELv4は、μITRON4.0スタンダードプロファイルに完全準拠したリアルタイムOSです。機器の応答性を最大限に高めることができるプリエンプティブカーネル機能を実装しており、優れたリアルタイム性能を実現します。PrKERNELv4は、携帯電話やデジタルカメラ、カーナビゲーションシステム、プリンタからFA機器まで幅広い組込み機器に採用されています。

「PrKERNELv4」詳細


PrCONNECT2 について
PrCONNECT2は、TCP/IPプロトコル使用時の通信で 50Mbps(※注)を超える性能を達成し、業界最高クラスのパフォーマンスを実現した高速TCP/IPプロトコルスタックです。高速通信が要求され、映像/音声を扱うマルチメディア機器、携帯情報端末などのコンシューマ製品に最適で、快適なネットワーク環境を実現できます。PPPをはじめとする各種プロトコルを標準提供します。オプション製品に、IEEE802.11b対応無線LANドライバ「802.11b PRISM Driver for PrCONNECT2」、組込み機器向けウェブサーバ「PrHTTPD」、メールクライアント用送受信ライブラリ「PrMAIL」があります。
※注)ターゲット/ホスト環境などの計測環境により、数値は異なる場合があります。

「PrCONNECT2」詳細


eBinder について

eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」詳細


株式会社図研について

図研は1976年に設立し、エレクトロニクス分野の製造業界に対しEDA(電子回路の自動設計)をはじめ、設計開発から製造までの先進技術で貢献してきました。技術の急速な進化に対応し、スピーディな開発を実現するためのパートナーとして、図研 SoC事業部ではソフトウェア、ハードウェアの設計受託、最新設計ツールのご提供、ASICの製造受託を手がけてまいりました。図研デザインセンターが開発するオリジナルIP製品「Z-core」シリーズの拡充は、お客様の設計効率の向上のために図研が積極的に取り組んでいる課題の一つです。ソフトウェアIPでは、RTPライブラリを始めとして特に画像系、伝送系に注力しております。

イーソル株式会社 について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一 貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。 取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡 張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」 のラインナップがあります。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに 「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。



* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
* AppleおよびQuickTimeは、米国およびその他の国々で登録されたApple Computer Inc.の商標です。
* RealNetworksおよびRealNetworks Real Player は RealNetworks, Inc. の商標または登録商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。