イーソル株式会社（本社：東京都中野区、代表取締役社長：澤田勉、以下イーソル）は、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」がバージョンアップし、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートしたT-Kernel拡張版「eT-Kernel/Extended」に対応したことを発表します。本製品を使うことで、プロセスモデルのリアルタイムOSをベースとした大規模なソフトウェア開発を効率的に行うことができます。

今回のバージョンアップにより、従来からあるタスクレベルでのデバッグ機能に加え、プロセス単位、ローダブルモジュール単位でのデバッグ機能が付加されました。この機能を使うことにより、プロセスの状態遷移を視覚的にとらえたり、あるプロセスに 所属するタスクのデバッグを行ったりすることができ、eT-Kernel/Extendedがもつメモリ保護機能とプロセス管理機能の特長を 最大限に捉えたソフトウェア開発を行えます。また、今後eT-Kernel/Extended以外のメモリ保護機能、プロセスモデルに対応した OSにも、容易に対応できる構造になっています。

今回のバージョンアップでは、eT-Kernel/Extendedへの対応のほかにも、多くの機能拡張や機能改善が行われています。主な項目は下記の通りです。

○デバッガユーザインタフェースの刷新で利便性を更に向上
○重複したシンボルを持つ複数の実行イメージの同時デバッグに対応
○Shellのコマンドを拡充しスクリプト機能を強化、プロジェクトの自動生成、全てのコンフィギュレーションを テキストベースのスクリプトで管理可能
○PackageBuilderを使わずにパーツパッケージ作成に対応、ソフトウェア部品の再利用を促進
○makefileベースのビルド環境との統合機能を強化、既存のビルド環境の移行を容易化し、
大規模プロジェクトでのmakefileベースの構築もサポート

今回eT-Kernel/ExtendedをサポートしたeBinderが対応したのはMIPSコアを持つCPU用です。今後は順次SH、ARMに対応させ、リリースしていく予定です。

このたび発表したバージョンアップしたeBinderとeT-Kernel/Extendedを使ったデモを、6月29日（水）～7月1日（金）に東京ビッグサイトにて開催される組込み開発技術展（ESEC）にて行う予定です。


イーソル株式会社
取締役エンベデッドプロダクツ事業部長　上山 伸幸　のコメント
「車載システムやデジタルコンシューマ機器など、ソフトウェアが大規模になるにつれて、大規模ソフトウェアに最適なメモリ 保護機能とプロセスモデルをサポートしたリアルタイムOSの採用が多くなってきています。今回のeBinderのバージョンアップにより、こうしたメモリ保護機能、プロセスモデルのRTOSを使ったシステム開発のための開発環境を整備できました。 eBinderを使って開発を行うことで、従来から慣れ親しんだユーザインタフェースを通して、プロセス単位やメモリ保護機能を 活かしたローダブルモジュール単位での開発ができるようになり、短期間・低コストでの製品開発を実現できます。」


■補足資料
eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。eBinderが提供する開発ツールや機能群はリアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計されており、これらを使うことでリアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

▽「eBinder」詳細：http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html

eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、 T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、T-Monitorレスでの動作による高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた3つのラインアップがあります。μITRONと近い構成を持つ μITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」およびメモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」です。

▽「eT-Kernel」詳細：http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html

イーソル株式会社について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS／ミドルウェア製品群「eParts」のラインアップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。

*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*TWister、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDは
イーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。