2005 年 6 月 28日
報道関係者各位
イーソル株式会社

メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートしたT-Kernelの拡張版 「eT-Kernel/Extended」をリリース


~大規模システム開発やLinuxなどのプロセスモデルOSからの移行に最適~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートしたT-Kernelの拡張版「eT-Kernel/Extended」をリリースしました。このメモリ保護機能とプロセスモデルに完全対応した「eT-Kernel/Extended」は、大規模化したμITRONなどのOSベースのシステムを構築しなおす際や、Linuxなど他のプロセスモデルのOSでプロトタイプしたシステムを小型化、省リソース化する際に最適です。

eT-Kernel/Extendedは、イーソルのT-Kernelラインアップの下位製品である「eT-Kernel/Compact」、「eT-Kernel/Standard」をベースとし、T-Engineフォーラムで仕様化されている「T-Kernel Standard Extension」を搭載しており、MMUを利用するメモリ保護機能とプロセスモデルを完全サポートしています。eT-Kernel/Extendedの主な特長は、下記のとおりです。

○ メモリ保護機能
eT-Kernel/Extendedは、仮想アドレス空間を用いたメモリ保護機能を提供しています。稼動中のプログラムが、 他のプログラムが管理するメモリ領域やカーネルリソースを誤って破壊することを事前に検知して予防するため、開発中に 不具合を容易に発見できるほか、万が一プログラムが不正動作した場合でも被害を最小限に抑えられます。また、ローダブルな ドライバやサブシステムを安全に追加ロードできます。

○ プロセスモデル
OSをより粗結合化し、プログラムの要素単位(プロセス)で管理、実行できる、UNIXライクな仮想アドレスを用いたプロセス管理機能を提供しています。プロセスごとの開発、デバッグが可能なので、大人数で大規模なシステムを開発する際などに有用です。

○ POSIXファイルAPIのサポート
プロセスアプリケーション、カーネルアプリケーションどちらからも呼び出すことのできる、POSIXファイルAPI準拠の論理ファイルシステム(LFS)を提供しています。

eT-Kernel/Extendedの開発環境として、T-Kernelベースシステム開発スイート「eBinder」の最新バージョンを用意しています。従来からのタスク単位でのデバッグはもちろんのこと、プロセス単位、ローダブルモジュール単位でのデバッグをサポートしています。タスクレベルデバッガのほか、タスクやプロセスなどのRTOSやミドルウェアのリソースの実行ログを取得して解析・表示したり、ソフトウェア部品の管理情報をリアルタイムに参照したりできるシステム解析ツールや、タスクやプロセス生成も可能な関数実行機能を持つ強力なコマンドラインインターフェースを持つシェルなどの充実した開発ツール・機能群を使うことで、eT-Kernel/Extendedを使ったシステムを効率的に開発することができます。

今回eT-Kernel/Extendedが対応したのはMIPSコアを持つCPU用です。今後は順次SH、ARMに対応させ、リリースしていく予定です。

なお、eT-Kernel/ExtendedとeBinderを使ったデモを、6月29日(水)~7月1日(金)に東京ビッグサイトにて開催される組込み 開発技術展(ESEC)にて行う予定です。

▽ 「eT-Kernel」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html


イーソル株式会社
取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント

「カーナビやデジタルコンシューマ機器などの開発は、システム規模と開発に携わる人数が日々大規模化してきているため、 従来の最低限のカーネル機能のみ搭載したリアルタイムOSを使ったシステム開発では、製品の品質維持や開発効率に限界がきている のが現状です。今回リリースしたeT-Kernel/Extendedは、こうした大規模システム開発における課題を解決できるリアルタイムOS です。また、プロセス単位でのデバッグをサポートしたeBinderを使用して開発することにより、より開発効率が高まります。 今後もT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、よりよい製品・サービス提供に努めていきます。」


■補足資料
eT-Kernelについて

eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、 T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、T-Monitorレスでの動作による高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた3つのラインアップがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」およびメモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」です。

▽「eT-Kernel」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html

eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、 C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

▽「eBinder」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html

イーソル株式会社について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」のラインアップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。


*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*TWister、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDは
イーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。