2005 年 4 月 14日
報道関係者各位
イーソル株式会社

μITRON4.0仕様準拠リアルタイムOSの「PrKERNELv4」がバージョンアップ


~移植性が大幅に向上、T-Kernelへの移行が容易に~
  

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、μITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS 「PrKERNELv4」がバージョンアップしたことを発表します。このバージョンアップにより、PrKERNELv4の移植性が大幅に向上し、 ユーザ作成の独自ボードへの移植がより容易にできるようになりました。さらに、将来的にT-Kernelへの移行が容易にできるよう になりました。その他、サービスコールの追加など、いくつかの拡張と改善がなされています。

今回のバージョンアップでは、内部構造をより一層洗練させることで、移植性の向上や他環境への移行の簡便化を図っています。 ハードウェアや開発環境などの環境依存部とその他の共通部間における切り分けの明確化や、アセンブラソースコードの削減など を行い、ユーザの独自ボードへの移植作業がより容易にできるようになりました。さらに、イーソル製T-Kernel拡張版 「eT-Kernel」の環境依存部の構成と共通化することで、PrKERNELv4からeT-Kernelへの移行を容易に行うことができるように なりました。これにより、T-Engine標準デバイスドライバ利用によるソフトウェア資産の流通・再利用の促進や、MMUを使った メモリ保護機能やプロセスモデルの採用といったT-Kernelのメリットを、将来的に少ないコストで得ることができます。また、 μITRON/T-Kernelベースシステム向け開発スイート「eBinder」のハードウェア依存部であるBSP(ボード・サポート・パッケー ジ)とも共通化されているため、開発環境のeBinderへの移行がしやすくなりました。

その他、下記の項目についての拡張・改善が施されています。
○ ランデブーやメッセージバッファなど、μITRON4.0仕様に定義されているがスタンダード
 プロファイルには含まれていない拡張サービスコールの追加
○ カーネルオブジェクトへの名前設定と取得ができるAPIなど、PrKERNELv4独自のAPI追加
○ タスク生成時にスタックを動的確保する機能の追加
○ デバッグ支援のための各種統計情報の拡充
○ コンフィギュレーションの簡便化
○ カーネル共通部分のMISRA-C準拠
※MISRA-Cは、英国の自動車関連メーカーを中心に設立されたMISRA(The Motor Industry Software Reliability Association)が策定した、C言語のコーディングガイドラインです。安全で信頼性の高い自動車関連ソフトウェアを作成する ことを目的としています。自動車関連ソフトウェアだけでなく、他の組込みシステムアプリケーション向けのルールとしても注目が高まっています。

PrKERNELv4は、1999年のリリース以来、携帯電話やデジタルカメラなどのデジタル家電、カーナビゲーションシステム、プリンタからFA機器までの幅広い分野で多くの実績を持つ、代表的なμITRON仕様のリアルタイムOSです。μITRON4.0スタンダードプロファイルに完全準拠しており、機器の応答性を最大限に高めることができるプリエンプティブ・カーネル機能を搭載しています。各種組込みシステムに最適なプログラムサイズで、優れたリアルタイム性能を実現します。また、資源獲得時に発生するタスクの実行優先順の逆転を最小時間で回避するプライオリティ・インバージョン(優先度逆転)の回避機構を標準装備 しています。さらに、システムに必要な機能を実現するのに多様な手段を用意するため、今回のバージョンアップで追加されたランデブーやメッセージバッファなどのほか、ミューテックス、可変長メモリプール、資源の動的生成などの拡張機能も追加されています。

今回PrKERNELv4が対応したのは、ARMコアを持つCPU用で、今後順次MIPS、SHに対応させていきます。

▽「PrKERNELv4」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/prkernelv4.html

イーソル株式会社
取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント

「すべての組込みシステムの核となるリアルタイムOSは、パフォーマンスのよさや機能の充実度と同様、移植性や他環境への 移行の容易さも、重要なポイントになってきます。1997年のリリース以来、多くの実績と定評のあるPrKERNELv4の今回の バージョンアップでは、特にこれらの点をこれまで以上に追求しました。ほとんどのユーザが行う必要がある、独自ターゲット ボードへの移植性の向上や、今後のT-Kernelへの移行を視野に入れたμITRONベースのアプリケーション開発、μITRON/T-Kernel ベースシステム開発向けに最適な環境を提供するeBinder環境への移行の簡便化などが施されたPrKERNELv4を使うことで、ユーザ は将来的に多くの選択肢を持つことができるようになります。」

eT-Kernelについて
eT-Kernelは、T-Engineフォーラム配布のT-Kernelと完全な互換性を保ちつつ、機能拡張・性能改善したものです。 eT-Kernelの最大の特長は、システム起動時間の大幅な短縮を実現したことです。また、ハードウェア依存部のT-Monitorレスで動作し、高速な割込み応答性を確保しています。さらにSystem Managerや使用しないカーネルオブジェクトの取り外しが可能で、メモリ容量を最小限に抑えることができます。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせ、μITRONとの構成に近いモデルから MMUを利用したメモリ保護機能とプロセスモデルを採用したモデルまでの、3つのラインアップがあります。
▽「eT-Kernel」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html

eBinder について
eBinderは、μITRON/T-Kernelベースシステム向けの開発スイートです。RTOSベースのターゲットプラットフォームを構成するモジュール群と開発ツール群が合わせて提供されます。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、タスクごとにデバッグウィンドウを開いて複数のタスクを同時にデバッグできるタスクレベルデバッガ、カーネルやソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態をリアルタイムに参照できるシステム解析ツール、ターゲットのファイルシステム操作やタスクの実行制御、任意の関数実行などのスクリプトをサポートする、強力なシェルを提供しています。これらの機能は、他のリアルタイムシステム開発ツールと異なり、ターゲットシステムを停止させることなく利用できます。カーネルやドライバタスクを停止させず、実システムとほぼ同じ状況下で特定のタスク(群)の検証を行うことができるため、実システム移行時に頻繁に起こる、タイミング要件の狂いやデバッグ時には発生しなかった不具合の発生といった 従来からの問題を解決します。
▽「eBinder」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html

イーソル株式会社について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-Engineおよび T-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRON ベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、 T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群 「eParts」のラインアップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に 子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに 「eBinder」、「eParts」の販売活動を 広げています。

*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
* eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。