イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、ヤマハ株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:伊藤 修二、以下ヤマハ)と、 ヤマハが開発したネットワークLSI「YTD442」用に、ハードウェア、ソフトウェア両面からの包括的な開発環境を提供していくことで合意しました。イーソルは、μITRON/T-Kernelベースシステム向け開発スイート「eBinder」および μITRON4.0「PrKERNELv4」を提供することで、ソフトウェア開発面から開発者をバックアップしていきます。
YTD442は、IP電話機器やネット家電などのネットワーク対応機器向けに最適な、ARMプロセッサ搭載LSIです。リファレンスデザインとして用意されたYTD442評価ボードは、LAN端子、PSTN(公衆電話網)端子を持っており、1チャンネルのVoIPアダプタ(VoIP-TA)として動作します。YTD442評価ボードを含む開発キット「KT-VNP1/TA1」では、 PrKERNELv4をはじめ、IPv4/IPv6/SIP/RTP/HTTPDなどのプロトコルやエコーサプレッサ、電話機制御、電話回線(PSTN)制御、 VoIP-TA呼管理を行うソフトウェアなど、評価ボード上で動作する豊富なソフトウェアがソースコードで提供されます。開発者は、ハードウェア開発と同時にこのソースコードを利用して評価ボード上でソフトウェア開発を行うことができ、大幅な開発期間の短縮が可能です。
さらに、標準ソフトウェア開発環境として用意されているイーソルのeBinderを使うことで、品質の高いネットワーク対応機器の開発が短期間・低コストで可能になります。eBinderは、リアルタイムシステム特有の問題を解決するリアルタイム・デバッグツールやイベントの解析結果をグラフィカルに表示できるイベント解析ツールなどのマルチプログラミングツール、ソフトウェア部品の再利用を促進するソフトウェア部品構築支援ツールなどを提供しており、IP電話をはじめとするリアルタイムOSを使ったアプリケーション開発をあらゆる角度からバックアップします。一方でランタイム側には、PrKERNELv4をはじめ、各種ミドルウェア(オプション)、スレッドセーフCライブラリなどのターゲットプラットフォームを提供するため、それらを使ってすぐに開発に着手することができます。
ヤマハとイーソルは、ハードウェア、ソフトウェア製品の提供のみならず、技術サポートも、密に連携をとりながら開発者に提供していきます。
ヤマハ株式会社 半導体事業部長 小原 辰三 様 のコメント 「YTD442は、需要が高まってきたIP電話機器やネット家電向けLSIです。YTD442開発キットでは、ネットワーク対応機器に必要なソフトウェアモジュールをソースコードで提供するため、ネットワーク対応機器の開発者がそのソースコードを利用して機器を短期間に開発できるものと確信しております。さらに、ソフトウェア開発環境においては、リアルタイムOSや開発環境をはじめ組込みソフトウェアの分野で豊富な実績とノウハウを持つイーソル殿と共同で、開発者の皆様によりよいサービスを提供していきます。」
イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「オフィスや家庭におけるネットワーク環境のブロードバンド化が普及するにつれ、IP電話機器やネット家電への注目はますます高まってきています。これに伴い、こうした機器開発は、製品品質の保持と同時に、開発の効率化が求められていきます。このような開発現場において、このたび発表するヤマハ殿とのネットワーク対応機器向けソリューションがお役に立つものと確信しております。ヤマハ殿のYTD442は、業務用ルーターをはじめとするネットワーク分野での数々のノウハウと実績が詰まった優れた LSIです。加えてイーソルのeBinder、PrKERNELv4を使って開発を進めることで、ハードウェアだけでなく、ソフトウェア開発もサポートできます。ヤマハ殿と協力し、技術サポートを含めた最適なサービスを開発者の皆様に提供していきます。」
■参考資料 YTD442について YTD442はARMプロセッサおよびネットワーク用ソフトウェアを実装するためのFlashROMを内蔵しており、様々な機器を低コストで ネットワーク対応するのに最適なLSIです。YTD442には、内蔵のARMプロセッサがシステム全体を制御する「マスターモード」と、 システムのホストCPUからの命令をAPI経由で受けてネットワーク処理のみを実行する「スレーブモード」があります。YTD442開発 キット「KT-VNP1/TA1」では、「マスターモード」で製品レベルのVoIPアダプタ用プログラムを実装しています
eBinder について eBinderは、μITRON/T-Kernelベースのシステム向け開発スイートです。RTOSベース・プラットフォームと開発ツール群が合わせて提供されます。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、最大8個までのタスクを全システムを停止することなく同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツール、そしてターゲットのファイルシステム操作やマルチコンテキストの実行制御、任意の関数実行などのスクリプトをサポートする、強力なシェルを提供しています。また、他のリアルタイムシステム開発ツールと異なり、これらの機能はターゲットシステムを停止させることなく利用できます。特にアプリケーション開発時においては、カーネルやドライバタスクは停止させずに特定のアプリケーションタスク(群)の検証を行う事ができ、対象となるアプリケーションタスクのみに注力できます。これにより、従来アプリケーションタスクをブレークさせると割り込みもドライバも停止してしまい、実システム動作と異なってしまうという問題や、アプリケーションタスクの検証に下層ソフトの知識が要求されると言った問題を解決し、高品質なソフトウェア開発の検証コストを削減します。特に、PackageBuilder(パッケージビルダ)は、 MWベンダ、あるいはユーザが自由にソフト部品パッケージを作成・追加できる機能を提供し、ユーザのソフト部品管理のプラットフォームを提供しています。
『eBinder』詳細: http://www.esol.co.jp/embedded/
ヤマハ株式会社 について ヤマハ株式会社は1887年に創業、ピアノ・管楽器などのアコースティック楽器、エレクトーンなどの電子・デジタル楽器の開発・製造を行なう世界有数の総合楽器メーカーです。楽器事業で得た技術を活かし、ホームシアターなどのオーディオ製品、ホール用の音響機器、携帯電話用音源LSI事業などへも事業領域を広げています。通信分野に関しては、モデム用LSI、ISDN用LSI等の開発を経て、業界に先駆けてISDNルーターを開発し、現在は信頼性の高い業務用ルーターとして市場で高い評価を受けています。
イーソル株式会社について イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで 一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。 取り扱っている組込みソフトウェア製品には、μITRON/T-Kernelベースシステム向け開発スイート「eBinder」のほか、 T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0準拠「PrKERNELv4」の リアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群 「eParts」のラインナップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。
*eBinder、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは *eBinder、PrKERNEL、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectはイーソル株式会社の登録商標です。 *TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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