イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」を開発中であることを発表します。ARM対応版のリリースは今年度内を予定しています。
「eT-Kernel」は、T-Engineフォーラム配布のT-Kernelソースコードを元に、T-Engineフォーラムが定めるT-Licenseに基づき、機能面と性能面で拡張を施したものです(注1)。 「eT-Kernel」は、T-Engineフォーラム版T-Kernelとの完全な互換性を保持しています。
「eT-Kernel」には、リアルタイムOSベンダーとして、イーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウが注ぎ込まれており、システム規模と用途にあわせた下記3つのラインアップがあります。
●eT-Kernel/Compact ハードウェア依存部のT-Monitorレスで動作し、高速な割込み応答性を確保しています。 さらにSystem Managerや使用しないカーネルオブジェクトの取り外しが可能で、メモリ容量を最小限に抑えることができます。μITRONに近い構成をとっており、μITRONからの移行に最適です。 ●eT-Kernel/Standard T-Kernel/CompactにT-Engine(注2)標準のデバイスドライバが付属します。T-Engineで共通化されたインタフェースに則っており、デバイスドライバの再利用が可能になります。 ●eT-Kernel/Extended MMU(Memory Management Unit:メモリ管理ユニット)を利用したメモリ保護機能を持つプロセスモデルを実現します。大規模化する組込みシステム向けに最適です。
イーソルは、T-Kernelベースの組込みシステム向けの開発環境としてeBinderを提供しています。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された機能群は、リアルタイムシステム特有の問題を解決し、リアルタイムOSを最大限に活用することを可能にします。
また、イーソルは、リアルタイムOS向けのミドルウェア製品群ePartsを順次「eT-Kernel」に対応していく予定です。
T-Kernelは、μITRONをベースに各種拡張機能を備えたT-Engineの標準リアルタイムOSです。組込みシステム用のリアルタイムOSとして、小規模から大規模までのさまざまなシステムをターゲットとしています。各種インタフェースの標準化がなされるなど、μITRONと比較して"強い標準化"がなされており、組込みシステム開発において課題であった、デバイスドライバやミドルウェアなどのソフトウェア資産の再利用性を向上させています。
注1) イーソルは、T-Engineフォーラムが認定する改変版配布者登録済みです(登録番号 TKDMA4001)。 注2) T-Engineは、ハードウェアの規格とOS環境(T-Kernel)の標準化をベースに、デバイスドライバやミドルウェアなどのソフトウェア部品の整備と流通、ネットワークセキュリティをキーワードとしたリアルタイムシステムの標準開発プラットフォームです。将来的なユビキタス・コンピューティングを実現する環境として今最も注目されています。標準化により、ソフトウェア部品の流通が円滑になることによって、ソフトウェア再利用による開発コストと開発期間の短縮を図ります。
イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「組込みシステムの大規模化・高機能化に伴い、特にソフトウェアの開発効率向上が現在の最も重要な課題のひとつです。そういった状況下でソフトウェア資産の再利用を促進できるT-Engineとその標準リアルタイムOSであるT-Kernelは今最も注目されており、今後急速に普及していくことが予想されています。イーソルは、リアルタイムOSベンダーとしてこれまで培ってきた技術を、今回発表した『eT-Kernel』に注ぎ込み、組込みシステムに不可欠な高速性と機能を実現しました。イーソルは今後もT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供により一層努めていきます。」
▽ 「eT-Kernel」詳細: http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html
▽ T-Engineフォーラム公式サイト http://www.t-engine.org/
eT-Kernel 構成図
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eT-Kernelの提供機能
T-Kernel/OS (Operating System) |
T-Kernel/SM (System Manager) |
T-Kernel/SM (System Manager) |
・ タスク制御機能 ・ タスク間同期通信 ・ メモリ管理機能 ・ 例外/割込み制御機能 ・ 時間管理機能 ・ サブシステム管理機能
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・ システムメモリ管理機能 ・ アドレス空間管理機能 ・ デバイス管理機能 ・ 割込み管理機能 ・ I/Oポートアクセス サポート機能 ・ 省電力管理機能 ・ システム構成情報 管理機能
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・ カーネルの内部 状態の参照 ・ 実行のトレース
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■補足資料 イーソル株式会社について イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、μITRON/T-Kernelベースシステム向け開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernel拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとする、RTOS/ミドルウェア製品群「eParts」のラインナップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。
* eBinder、eParts、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PrUSB、PictDirectは イーソル株式会社の登録商標です。 *TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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