イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下、イーソル)、横河ディジタルコンピュータ株式会社(本社:東京都府中市、代表取締役社長:小林龍雄、以下、横河ディジタル)は、2003年9月25日に行われたT-Engineフォーラムと米マイクロソフト社およびマイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)による、Windows CE .NETとT-Engineプラットフォームとの協調を実現するための協力関係に関する発表を受け、実際のビジネスへの展開について技術的・体制的な検討を行ってきました。その成果と今後のロードマップを発表いたします。
イーソルは、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」をWindows CE. NETと密に協調動作させる技術を開発し、『PrKERNELv4 for Windows CE .NET(仮称)』をリリースいたします。本製品の正式リリースは2004年3月を予定していますが、11月12日~14日にパシフィコ横浜で開催されますEmbedded Technology 2003出展ブースにて、実際に実機上で動作するデモを出品いたします。また、現在T-Engineフォーラムとマイクロソフトで仕様策定が計画されているT-KernelとWindows CE .NETの協調仕様が発表され次第、それにいち早く対応させることも表明します。
横河ディジタルは、『PrKERNELv4 for Windows CE .NET』に関しての技術的・営業的サポートと「Windows CE .NET」に対する開発ツールの提供・支援を表明いたします。デバッグツールの「advicePLUS」による製品サポートのみならず、昨今力を入れているハードウェア・ソフトウェアを含めたソリューションビジネスの立場からサポートを行っていきます。このため、『PrKERNELv4 for Windows CE .NET』を動作させるARM搭載ボードを提供します。
『PrKERNELv4 for Windows CE .NET』は、従来のハイブリッドOSと違い、ITRONとWindows CEの特長を高次元で発揮させる統合OSです。特長としては下記の通りです。
1) ITRONのアプリケーションはITRONの開発環境で、Windows CE .NETのOSビルド、対応アプリケーションはマイクロソフトが提供している統合開発環境「Platform Builder」で開発します。イーソルはITRONの開発環境として、「eBinder」を提供しています。横河ディジタルは、両方のOSをサポートする「advicePLUS」を提供します。
2) 2つのOSの割り込み優先度とアプリケーション(タスクとスレッド)の優先度を統合管理します。これによって、Windows CE .NET が持つグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)やマルチメディア機能などの優位性と、ITRONが持つさらに細かい割り込み管理などの優位性をお互いの特徴を損なうことなく連携させることができます。
3) 2つのOS上のアプリケーション(タスクとスレッド)間で同期制御、排他制御、通信を行うことができます。これによって、アプリケーション設計の自由度は飛躍的に拡大します。
これらによって、ITRONを使用されているユーザには、Windows CE .NETの豊富なミドルウエアや機能を提供でき、Window CE .NETのユーザには、ITRONのハードリアルタイム性能を提供することができます。私どもは、この製品によって、高機能とハードリアルタイム性の両方を必要とする組込みシステム開発者のニーズに応えていく所存です。
また、『PrKERNELv4 for Windows CE .NET』の営業、技術サポートにつきましては、ITRONに関して豊富な組込みシステム開発経験をもつイーソルと横河ディジタルがシステムインテグレーターとして補強していく体制を整えていきます。
※ 本来「μITRON仕様OS」と書くべきところを、便宜上「ITRON」と表現している箇所があります。
【アドバイザリゲストのコメント】
ET2003企画委員会正幹事、日本システムハウス技術顧問、 NECエレクトロニクス株式会社 ソフトウェア開発室 シニアソフトウェア戦略プロフェッショナル 門田 浩
ET2003企画委員会 副幹事、 株式会社東芝 ブロードバンドシステムLSIプロジェクトチーム 参事 田丸 喜一郎 「高機能OSに対する要求が高まりつつある組込みシステム分野へ、マイクロソフトが本格的に参入し、そのパートナーとしてITRONとその発展形のT-Engineを選ばれたことを歓迎します。また、今回のITRONとWindowsが統合化されたOSによって、組込みシステムを汎用系の情報プラットフォームとインタフェースする手法が提供されることは、ユビキタスをサポートするOSの一つの解決方法として高く評価します。いろんな場面で各社が協調と競争を繰り返しながら組込み業界を発展させることは、従来のITRONコミュニティの原則であり、そうした意味で世界有数のソフト開発会社であるマイクロソフトが日本の組込み業界に参加したことは、今後の日本の組込みソフトウェア技術の発展にとって喜ばしいことと歓迎します。」
【各社コメント】
マイクロソフト株式会社 ウィンドウズビジネス本部 ニューメディア&デジタルデバイスマーケティング部 部長 御代 茂樹のコメント 「弊社では、日本における組み込み市場への取り組みの一環として、Windows Embedded パートナー プログラムを展開し、パートナー各社様との連携による幅広いソリューション提供に注力しています。 今回のイーソル株式会社様と横河ディジタルコンピュータ株式会社様による ITRONとWindows CE .NETの協調動作は、既存のITRON資産を活用しつつ Windows CE .NETが持つユーザー インターフェースやマルチメディア機能を利用することができる新たなソリューションとして期待しています。この PrKERNELv4 for Windows CE .NETによって新しい組み込み機器が登場し、ユーザーの方々にとって大きな付加価値を提供できることを確信しています。」
モトローラ株式会社 半導体セクター ワイヤレス&モバイル・システム・グループ ジェネラルマネージャ 友眞 衛のコメント 「Windows CE .NET市場とμITRON仕様OS市場との協調を実現するためのソリューションサプライヤーとして、今回弊社の主力製品であるi.MXアプリケーションプロセッサも参加させていただくことができましたことを非常に嬉しく思います。ユビキタス社会を実現していくための今回の協力は、組込み市場にさらなる活性化と一層の発展をもたらすと強く確信しており、我々もその実現のお手伝いができればと思っております。」
NECエレクトロニクス株式会社 ソフトウェア開発推進室 室長 光岡 誠治のコメント 「弊社は従来からハイエンド・アプリケーションを開発されるお客様に対して標準OSとしてマイクロソフト株式会社のWindows CE .NET、イーソル株式会社のeBinder、そして、弊社のRXシリーズのITRONをそれぞれ個別にサポートしてまいりました。今回、イーソル株式会社とマイクロソフト株式会社によって開発されたITRONとWindows CE .NETを密に協調動作させる技術は、数多く開発されたITRONアプリケーションとWindows CE .NETに装備されているインターネット アプリケーションとの融合、橋渡しを可能にするものであり、ユビキタス・システム開発分野における新しい試みとして大きな期待を寄せています。」
株式会社ルネサスソリューションズ ツール技術部 部長 菅原 正彦のコメント 「弊社はCPU(SuperHファミリ、M32Rファミリ)を販売していく上で、OSを中心としたソフトウェアサポートが重要であると考えており、μITRON仕様OSやWindows CE .NETをサポートしています。しかし、昨今、組込み機器の中で両OSの特長を同時に求められるニーズが増加してきており、今回発表された新製品は、このような組込み機器を開発されている顧客に対する1つのソリューションとして期待しています。」
※ Microsoft 及び Windows は、米国Microsoft Corporationの、米国及びその他の国での登録商標および商標です。
■補足資料
(1)eBinder について eBinderは、RTOSを使った組込みシステム向けの開発環境です。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、最大8個までのタスクを、全システムを停止することなく同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツール、そしてターゲットのファイルシステム操作やマルチコンテキストの実行制御、任意の関数実行などのスクリプトをサポートする、強力なシェルを提供しています。また、他のリアルタイムシステム開発ツールと異なり、これらの機能はターゲットシステムを停止させることなく利用できます。特にアプリケーション開発時においては、カーネルやドライバタスクは停止させずに特定のアプリケーションタスク(群)の検証を行う事ができ、対象となるアプリタスクのみに注力できます。これにより、従来アプリタスクをブレークさせると割り込みもドライバも停止してしまい、実システム動作と異なってしまうという問題や、アプリタスクの検証に下層ソフトの知識が要求されるといった問題を解決し、高品質なソフトウェア開発の検証コストを削減します。 eBinderについての詳細は、http://www.ebinder.jp/をご覧ください。
(2)「advicePLUS」について advicePLUSは、システム統合デバッグ、ハードウェア/ソフトウェアのどちらの原因か確定できない幅広い開発フェーズにおいて有効になります。MPUの動作を監視し、トレース機能や特定の変数への書き込みでブレークを発生させるイベント機能が威力を発揮します。また、開発初期段階によくあるハードウェアが不安定な状態(通信部分が不安定、電源が不安定、BSPも動作しない、メモリの確保も不安定)に機械語レベルのトレースを取得したり、イベント、ブレーク機能を提供できますのでよりハードウェアの部分に近いデバイスドライバや、OSのハード依存部、割り込み部分のデバッグをするのにより効率的です。特に最新プロセスASICと、高速対応技術を融合し、ICEの測定機能全体を1チップに集積し、モジュール化することにより150MHzまでのバスサイクル追従を可能にしました。また、システム検証としてプログラムの実行履歴とデータアクセスの履歴を別々にトレースすることができます。microVIEW-PLUSは、MDIを採用したWindowsネイティブデバッガです。組込み開発者の複雑な設定や作業も、マウスを使って[見たまま]に操作が可能です。また、主な機能として、・プロジェクト管理、・レジスタ登録、・ユーザカスタマイズ、・メモリ編集、・シンボルウォッチの各種ウィンドウ、・ファンクションキー登録、・フォント、画面イメージの変更、ログ機能を装備しています。 advicePLUSについての詳細は、http://www.ydc.co.jp/advice/をご覧ください。
(3)イーソル株式会社について イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 取り扱っている組込みソフトウェア製品には、「eBinder」のほか、μITRON4.0準拠「PrKERNELv4」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。
(4)横河ディジタルコンピュータ株式会社について 横河ディジタルコンピュータは、マイクロコンピュータや周辺システム設計、開発に広く関わる事業を展開してきました。特にインサーキットエミュレータ(ICE)分野では、TOPクラスの実績を有し、携帯電話、情報家電、自動車、産業機器など最先端の開発現場で数多く使用頂いています。また、国内ばかりでなく海外でも高く評価されており米国シリコンバレーに支店、韓国、ヨーロッパ等にも販売代理店を置きワールドワイドにて製品提供できるようになっております。常に最新マイコン技術に対応した理想的な開発環境を提供し続けることを実現する為、関連する半導体ベンダー殿との密接な連携を取りながら開発力の強化に日々取り組んでいます。
■ Microsoft, Windows, およびWindows CE .NETは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。 ■ advicePLUSは横河ディジタルコンピュータ株式会社の登録商標です。 ■ microVIEW-PLUSは横河ディジタルコンピュータ株式会社の登録商標です。 ■ eBinder, PrKERNELv4 はイーソル株式会社の登録商標です。 ■ TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 ■ ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 ■ μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 ■ TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。 ■ 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
■ 本発表に関するお問い合わせ先 横河ディジタルコンピュータ株式会社 advice事業部 事業企画室 甲斐 Tel : 042-333-6222 / Fax : 042-352-6107 e-mail : info@advice.ydc.co.jp URL : http://www.ydc.co.jp/advice/
イーソル株式会社 エンベデッドプロダクツ事業部 営業部 マーケティンググループ 村上 Tel : 03-5302-1360 / Fax : 03-5302-1361 e-mail : ep-inq@esol.co.jp URL : http://www.esol.co.jp/embedded/
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