2002年11月15日
報道関係者各位

イーソル株式会社

組込みシステム統合開発環境「eBinder(R)」を人工衛星のソフトウェア開発に採用


~宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS)プロジェクトの実験機器向け~
 

イーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて財団法人 無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)が開発を進めている宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS:Space Environment Reliability Verification Integrated System)プロジェクトの実証衛星2号機の実験機器用搭載ソフトウェア開発にイーソルの組込みシステム統合開発環境「eBinder」が採用されたことを発表いたします。

今回採用された「eBinder」は、同実証衛星2号機に実験機器として搭載される自律フォールトトレラント計算機(注1)の開発を担当するNEC東芝スペースシステム株式会社の委託によりカスタマイズされたものです。VR4000シリーズ(NECエレクトロニクス製)とTX49シリーズ(東芝製)の2種類のプロセッサに対応しており、コンパイラはGNU C、OSはμITRON4.0仕様に準拠したRX4000v4(NECエレクトロニクス製)に対応しています。

SERVISプロジェクトは、先端的な民生部品・民生技術を使用して高性能・低コストな衛星システム実現に向けた知的技術基盤を構築することを目的としています。

同2号機衛星(SERVIS-2)に搭載される自律フォールトトレラント計算機は、NEC東芝スペースシステム独自の耐故障性システム(CRAFTSYSTEM(R))により宇宙等の極限環境で先端的な民生部品・民生技術を使用し、低コスト化、小型・軽量化、高機能化を目指すものであり、低コスト衛星バス(注2)等を実現するための基本技術開発を行うものです。この自律フォールトトレラント計算機上で動作する、自律インテリジェントシステムの開発に「eBinder」が使用されています。自律インテリジェントシステムとは、装置各部の故障を自動検知し、自律的にシステムの再構成を行うことによりシステムの継続的な動作を実現するシステムです。

2001年7月のリリース以来「eBinder」は、30事業所、100ライセンス以上の採用実績があります。今回発表しました高い信頼性が要求される人工衛星システムのほか、コンシューマ向けデジタル機器やFA機器などのアプリケーション開発に使用されています。

注1) フォールトトレランス:コンピュータシステムに障害が発生した場合に正常な動作を継続する能力。耐故障性。
注2) 全ての人工衛星に必要な共通的な構成品。

▽ USEFウェブサイト:http://www.usef.or.jp/
▽ NEC東芝スペースシステム株式会社ウェブサイト:http://www.ntspace.jp/

【イーソル株式会社
取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸のコメント】

「『eBinder』が人工衛星システムのアプリケーション開発に採用されたことは、『eBinder』が高信頼性が要求されるシステムでも充分に威力を発揮できることを証明できると考えています。最近の人工衛星はコンシューマ製品と同じく、大規模化・高機能化の一途を辿っている現状があり、『eBinder』を使うことで、開発期間の短縮・開発コストの低減が実現できます。また、『eBinder』の提供だけでなく、必要なトレーニングからサポートサービスまでのトータルなサービスを提供しており、開発者の方は、安心してアプリケーション開発に注力することができます。」

「eBinder」について
eBinderは、リアルタイム組込みシステム開発環境です。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、最大8個までのタスクを全システムを停止することなく同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツール、そしてターゲットのファイルシステム操作やマルチコンテキストの実行制御、任意の関数実行などのスクリプトをサポートする、強力なシェルを提供しています。また、他のリアルタイムシステム開発ツールと異なり、これらの機能はターゲットシステムを停止させることなく利用できます。特にアプリケーション開発時においては、カーネルやドライバタスクは停止させずに特定のアプリケーションタスク(群)の検証を行う事ができ、対象となるアプリタスクのみに注力できます。これにより、従来アプリタスクをブレークさせると割り込みもドライバも停止してしまい、実システム動作と異なってしまうという問題や、アプリタスクの検証に下層ソフトの知識が要求されると言った問題を解決し、高品質なソフトウェア開発の検証コストを削減します。特に、PackageBuilder(パッケージビルダ)は、MWベンダ、あるいはユーザが自由にソフト部品パッケージを作成・追加できる機能を提供し、ユーザのソフト部品管理のプラットフォームを提供しています。
▽『eBinder』詳細:http://www.ebinder.jp/

イーソル株式会社について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
取り扱っている組込みソフトウェア製品には、「eBinder」のほか、ライセンス & ロイヤリティフリーでソースコードを公開しているμITRON「PrKERNEL」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。

■ eBinder, PrKERNEL, PrFILE, PrCONNECT, PrUSB, PrOSEKはイーソル株式会社の
登録商標です。
■ CRAFTSYSTEMはNEC東芝スペースシステム株式会社の登録商標です。
■ TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
■ ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
■ μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
■ TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
■ 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。