横河ディジタルコンピュータ株式会社(本社:東京都府中市、代表取締役社長:小林龍雄)とイーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉)は、RTOSベースシステム向け開発スイート「eBinder」とJTAGエミュレータ「advicePLUS」の連携動作のための開発作業を共同で進めていることを発表します。「eBinder」の「advicePLUS」対応版のリリースは、2003年1月下旬を予定しています。まずはARMから対応を進めていきます。
今回の対応により、「eBinder」を使ったデバッグ時に「advicePLUS」がターゲットボードとホストコンピュータ間の通信として機能するほか、「advicePLUS」が提供する実行制御機能を利用することができるようになります。JTAG通信機能の連携により、シリアルやUSB、Ethernet等のデバッグ専用のポートがなくても、JTAGポートを使って通信が可能になり、「eBinder」のフル機能が利用できるようになります。また実行制御機能面での連携により、「advicePLUS」が提供するJTAG-ICE機能を利用したデバイスドライバ等よりハードウェアに近いプログラム開発の支援や、ハードウェアブレーク機能を使ったフラッシュメモリ上のデバッグが可能になります。
一方「advicePLUS」ユーザは、「eBinder」とあわせて使うことで、JTAGエミュレータでは提供していないRTOS指向のデバッグが可能になります。複数のタスクを同時に実行制御できるマルチコンテキストデバッグ機能や、RTOSを含むソフトウェア部品の状態遷移をグラフィカルに表示できるトレースアナライザ、RTOSやソフトウェア部品の内部情報をリアルタイムにツリー表示できるブラウザなど、「eBinder」が提供する全ての機能とツールを使うことができるようになります。これらの機能を使うことによってシステムで使われているRTOSやミドルウェアなどの実装にそれほど精通していなくても、システム全体の動作を把握することが容易になります。
本製品は、特にARMを使用した携帯情報機器や携帯端末機器などのコンシューマデバイスの開発現場をマーケットに見込んでいます。大規模化・高機能化するコンシューマデバイスにはRTOSは不可欠であり、RTOS指向開発環境の重要性の認識が高まっています。またカスタムチップ等を利用する場合が多く、その場合にJTAG以外の通信ポートが用意できない、さらにフラッシュ上のプログラムの実行制御が必要、といったニーズがあります。「eBinder」と「advicePLUS」の組み合わせは、こうしたシステム開発現場に強力なソリューションになります。
なお、11月20日から11月22日までパシフィコ横浜で開催されるEmbedded Technology 組込み総合技術展 (旧称:MST)両社ブースにて、本製品のご紹介を行う予定です。
【横河ディジタルコンピュータ株式会社 advice事業部 事業部長 山田敏行殿のコメント】 「“eBinder”と“advicePLUS”の連携により、ハードウエアからRTOSを含めたシステム統合評価までの幅広い評価フェーズにおいて使用可能な、新しい開発環境が誕生します。JTAG接続でかつ、リアルタイムデバックを可能とする新しい開発ソリューションです。“短期開発”と“品質確保”という、相反するキーワードを解決するために、今後も“eBinder”との連携を加速します。」
【イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸のコメント】 「「eBinder」は、ICEをはじめとする各種開発ツールとの連携が容易にできるよう設計されているのが特長です。「eBinder」と「advicePLUS」の組み合わせはJTAG連携の最大のメリットを組込み開発者の皆様にご提供します。製品のご提供にとどまらず、横河ディジタルコンピュータ殿と協力体制を強化し、お客様のシステム要求に応じたカスタマイズ、サポートサービスも提供していきます。」■ 補足資料
(1)「advicePLUS」について advicePLUSは、システム統合デバッグ、ハードウェア/ソフトウェアのどちらの原因か確定できない幅広い開発フェーズにおいて有効になります。MPUの動作を監視し、トレース機能や特定の変数への書き込みでブレークを発生させるイベント機能が威力を発揮します。また、開発初期段階によくあるハードウェアが不安定な状態(通信部分が不安定、電源が不安定、BSPも動作しない、メモリの確保も不安定)に機械語レベルのトレースを取得したり、イベント、ブレーク機能を提供できますのでよりハードウェアの部分に近いデバイスドライバや、OSのハード依存部、割り込み部分のデバッグをするのにより効率的です。特に最新プロセスASICと、高速対応技術を融合し、ICEの測定機能全体を1チップに集積し、モジュール化することにより150MHzまでのバスサイクル追従を可能にしました。また、システム検証としてプログラムの実行履歴とデータアクセスの履歴を別々にトレースすることができます。microVIEW-PLUSは、MDIを採用したWindowsネイティブデバッガです。組込み開発者の複雑な設定や作業も、マウスを使って[見たまま]に操作が可能です。また、主な機能として、・プロジェクト管理、・レジスタ登録、・ユーザカスタマイズ、・メモリ編集、・シンボルウォッチの各種ウィンドウ、・ファンクションキー登録、・フォント、画面イメージの変更、ログ機能を装備しています。 advicePLUSについての詳細は、http://www.ydc.co.jp/advice/をご覧ください。
(2)「eBinder」について eBinderは、RTOSを使った組込みシステム向けの開発環境です。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、最大8個までのタスクを、全システムを停止することなく同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツール、そしてターゲットのファイルシステム操作やマルチコンテキストの実行制御、任意の関数実行などのスクリプトをサポートする、強力なシェルを提供しています。また、他のリアルタイムシステム開発ツールと異なり、これらの機能はターゲットシステムを停止させることなく利用できます。特にアプリケーション開発時においては、カーネルやドライバタスクは停止させずに特定のアプリケーションタスク(群)の検証を行う事ができ、対象となるアプリタスクのみに注力できます。これにより、従来アプリタスクをブレークさせると割り込みもドライバも停止してしまい、実システム動作と異なってしまうという問題や、アプリタスクの検証に下層ソフトの知識が要求されるといった問題を解決し、高品質なソフトウェア開発の検証コストを削減します。 eBinderについての詳細は、http://www.ebinder.jp/をご覧ください。
(3)横河ディジタルコンピュータ株式会社について 横河ディジタルコンピュータは、マイクロコンピュータや周辺システム設計、開発に広く関わる事業を展開してきました。特にインサーキットエミュレータ(ICE)分野では、TOPクラスの実績を有し、携帯電話、情報家電、自動車、産業機器など最先端の開発現場で数多く使用頂いています。また、国内ばかりでなく海外でも高く評価されており米国シリコンバレーに支店、韓国、ヨーロッパ等にも販売代理店を置きワールドワイドにて製品提供できるようになっております。常に最新マイコン技術に対応した理想的な開発環境を提供し続けることを実現する為、関連する半導体ベンダー殿との密接な連携を取りながら開発力の強化に日々取り組んでいます。
(4)イーソル株式会社について イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 取り扱っている組込みソフトウェア製品には、「eBinder」のほか、ライセンス & ロイヤリティフリーでソースコードを公開しているμITRON4.0準拠「PrKERNELv4」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。
■ advicePLUSは横河ディジタルコンピュータ株式会社の登録商標です。 ■ microVIEW-PLUSは横河ディジタルコンピュータ株式会社の登録商標です。 ■ eBinder, PrKERNELv4 はイーソル株式会社の登録商標です。 ■ TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 ■ ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 ■ μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 ■ TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。 ■ 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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