2002年6月21日
報道関係者各位
株式会社アイ・エル・シー
イーソル株式会社

アイ・エル・シーとイーソルが付加価値の高いソリューション提供を目指し、業務提携


~GUI開発環境「GENWARE(R) Ⅱ」がμITRON4.0「PrKERNELv4(R)」に対応~
~「eBinder(R)」への対応も視野に~
 

株式会社アイ・エル・シー(本社:広島市南区、代表取締役社長:大西英作、以下、ILC)とイーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉、以下、イーソル)は、組込み開発コストの軽減・開発期間の短縮を図るためのお互いのソリューションを持ち寄り、さらに付加価値の高いサービスを提供していくことを目指して、幅広い業務提携を行うことに合意したことを発表いたします。具体的な作業として、イーソルの製品であるμITRON4.0準拠OS「PrKERNELv4」とILCが開発中であるGUI開発環境「GENWARE(R)Ⅱ」の対応作業を行い、「GENWARE Ⅱ」ファーストリリースとして「PrKERNELv4」対応版がリリースされます。リリースは、2002年8月を予定しています。また、両社製品の相互取扱いや、μITRON統合開発環境「eBinder」と「GENWARE Ⅱ」の連携動作についても視野に入れています。

「GENWARE Ⅱ」は、業務端末、カーナビゲーションなどのIT電子機器やFA分野における各種HMI機器などあらゆる組み込みGUIソフトウェアに最適な開発環境です。GUI構築ツール「GENSKETCH(R)」と高速でコンパクトなGUIライブラリ「GENIFA(R)」があわせて提供されます。

さらに、ILCとイーソルは、「GENWARE Ⅱ」と「eBinder」の連携動作も視野に入れています。「GENWARE Ⅱ」のGUIライブラリである「GENIFA」を「eBinder」のパーツ化することにより、「eBinder」環境から即時に取り込み可能なミドルウェアとして利用できるようになります。また、「eBinder」のラインナップ製品であるインストラクション・セット・シミュレータ「eB-SIM」との対応も予定しており、ターゲットボード上のGUIシステムを構築するのに、完全なターゲットハードウェアレスの環境で、システム構築が可能になります。

株式会社アイ・エル・シー 常務取締役 FBI事業部長 許斐浩祐 のコメント
「IT電子機器、FA機器などのように信頼性とコンパクト性を強く求められる組込み市場において圧倒的なシェアを有するμITRONに対して強力なソリューションを提供するイーソル社製品と弊社GUI開発環境の組み合わせにより、組込みシステム開発においてもPC+Windowsの開発環境に匹敵するGUI開発環境を提供できるようになると確信しております。PC以上のRICHコンピュータのソフトウェアは残念ながら海外メーカに席巻されているのが現状ですが、ゲーム機やIT電子機器など組込みシステムは日本のお家芸です。日本発の組込みソリューションの提供を今回の提携をトリガーとして今後も展開していきたいと考えています。」

イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部 上山伸幸 のコメント

「イーソルは、OSを含めた開発環境「eBinder」、ミドルウェア「eParts」シリーズ、製品のカスタマイズサービスの3方向からのサービス提供を通じて、高品質で付加価値が高い製品をタイムリーに市場投入できるよう、組込み開発現場と戦略的パートナーになることを目指しています。デジタル家電製品に限らず、FA機器や監視制御機器などの組込み製品においても操作が複雑になるにつれ、マン・マシン間にGUIは欠かせない機能となってきました。組込み業界のエキスパートであるILCとのソリューションが組み合わさることにより、組込み開発者にかかる負担とコストを軽減できることを確信しています。」「GENWARE Ⅱ」について

ILCが開発した「GENWARE Ⅱ」は、ビジュアルなGUIレイアウト機能、C、C++などのソース生成機能、各種リソースのインポート機能などを特徴とする組み込みGUI開発環境です。ILCではさまざまなプラットフォームへの対応や既存のGUIシステムへの適用など、お客様のニーズに応じたカスタマイズ開発ソリューションも合わせて提供します。

「PrKERNELv4」について
イーソルが開発した「PrKERNELv4」は,μITRON4.0に準拠しています。機器の応答性を最大限に高めることができるプリエンティブカーネル機能(※)を実装しています。携帯電話やデジタルカメラ,カーナビゲーションシステム,プリンタからFA機器まで幅広い組込み機器に採用されています。

※プリエンティブカーネル機能
タスク(コンピュータが管理する仕事の単位)が持つ優先度に反して実行順序が逆転するのを防ぐ機能。あるタスク実行中に,ある外部からの刺激によって割り込み処理が発生し,実行中のタスク優先度より高い優先度を持つタスクが実行可能状態になった場合,実行中のタスクの処理途中でも,優先度の高いタスクの処理に実行を移すことができる。この機能により,外部からの応答性を高めることが可能になる。

「eBinder」について
μITRONは、いまやOSが搭載された全家電製品の多くのシェアを持つ、最もポピュラーなカーネルです。その一方で、現在市販されているμITRONの開発環境には、μITRONの特性を生かした十分な機能が提供されていない現状があります。トロン協会の調査では、ITRONの短所として、14.1パーセントの技術者が「開発環境/ツールの不足」を挙げています。(トロン協会、MST2000アンケート結果より)また、μITRONはスケジューリング機能のみを実装したコンパクトなカーネルであるため、必要なソフトウェア部品と組み合わせる必要があります。他社のμITRONやソフトウェア部品の組み合わせは、なかなかスムーズにいかないのが通常です。
 eBinderは、これらの課題を解決するμITRON対応組込み開発環境です。最大8個までのタスクを同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツールなど、リッチなデバッグ機能を提供します。また、μITRONとアプリケーションに必要な最低限のソフトウェア部品を、そのベンダや種類を問わず、自由に組み合わせることができ、コンフィギュレーションからビルド、デバッグ・テストまでの開発工程をサポートします。さらに、ソフトウェア部品とそれらの情報をXMLファイルに記述しパーツ化する手法により、ソフトウェア部品の再利用と流通を促進するほか、開発現場が抱えている開発期間の短縮・品質の向上といった課題を解決します。
 eBinderは、μITRON以外のOSへも対応できるよう設計されており、他のOSへの対応も視野に入れています。

株式会社アイ・エル・シーについて 
ILCは1988年の創立以来、FA(Factory Automation)分野を中心に様々なソリューションをお客様に提供してきました。これら数々の実績の中で培ってきた技術をもとに、GUI/制御/通信に関する開発環境・ミドルウェア製品の開発を続けています。ITが全てを支える基盤となった今、Factory Automationにとどまらず、全てのAutomation分野へソリューションを拡大していきます。


イーソル株式会社について

イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
 取り扱っている組込みソフトウェア製品には、「eBinder」のほか、ライセンス & ロイヤリティフリーでソースコードを公開しているμITRON「PrKERNEL」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。

*eBinder, PrKERNEL, PrFILE, PrCONNECT, PrUSB, PrOSEKはイーソル株式会社の登録商標です。
*GENWARE, GENSKETCH, GENIFA, FACTICSは株式会社アイ・エル・シーの登録商標です。
*TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。