プレスリリース

NEDO委託事業「セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発」に係る共同研究開発を実施

~ 急成長が見込まれるオープンなプロセッサIPであるRISC-Vコア向けの
OS及び開発ツールの研究開発と国内ベンダエコシステムの確立を目指す ~

報道関係者各位 
イーソル株式会社
株式会社ユーリカ
京都マイクロコンピュータ株式会社
株式会社エヌエスアイテクス


イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、株式会社ユーリカ(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:波多野 祥二、以下ユーリカ)、京都マイクロコンピュータ株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:山本 彰一、以下京都マイクロコンピュータ)、株式会社エヌエスアイテクス(本社:東京都港区、代表取締役:新見 幸秀、以下エヌエスアイテクス)と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)により「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発事業/革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」の開発テーマの一つとして2020年7月に採択された「セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発」の委託事業(以下本事業)への取り組みを開始します。

本事業は、既存のRISC-V開発環境に対して国内活用の観点で不足しているOSや開発ツール面での機能を開発すると共にRISC-Vの標準への採用を働きかけ、世界的なオープンアーキテクチャの普及促進を図ります。また、本プロジェクトを国内の有力組込みツールベンダを中心に推進することにより、急成長が見込まれるオープンなプロセッサIPであるRISC-Vの国内ベンダエコシステムの確立を目指します。


本事業では、現存するRISC-Vの開発環境をベースに、ユーザから必要とされている要件を成立させるために現在不足しているOSや開発ツールの開発と実証評価を行います。特に組込みシステムで競争力を発揮するために重要となる処理効率・リアルタイム性を確保することを重視しています。プロジェクト終了後には各企業によりサポートを含むビジネスを展開することで、国内外の組込みシステムを開発する機器メーカー等におけるRISC-Vの利活用を強力に支援していきます。 

イーソルは、組込みシステムに必要とされかつRISC-Vの標準・環境で不足しているRISC-Vに最適化されたマルチコア対応の高性能RTE (OS)の設計・開発を行い、さらに、イーソルの並列化支援ツールであるeMBP®のRISC-V対応開発を行っていきます。具体的にはイーソルがチェアを務めるIEEE Std. 2804で標準化しているSHIM  XML のRISC-V版の開発を行い、このRISC-V SHIM XMLをRISC-Vのオープンソースコミュニティに公開することで、標準化の普及を促進していきます。

ユーリカは、セキュアオープンアーキテクチャに対応したRTEのオープンソース化の実証ならびにPOC システムとしてFPGA を想定した対応評価環境を設計・開発します。また、組込み用途向けスレッドライブラリの研究・開発を実施します。さらにRISC-Vのオープンコミュニティの育成支援を積極的に行うと共に、RTEのオープンソース化によるコミュニティの運営を目指します。

京都マイクロコンピュータは、RTEに対応する、ベクトル化を含むC言語コンパイラ及びツールチェインの研究・開発を行います。コンパイラはLLVM/Clangをベースとし、RTEと連携できる実行時バグ検出機能を実装します。これらの研究・開発により並列化プログラミングの開発効率の向上を目指します。また、これらの研究開発を通してRISC-Vコミュニティの発展に貢献していきます。

エヌエスアイテクスは、マルチコアRISC-Vシステムで必要とされる並列プログラミング環境の開発を行います。具体的には、既存ソフトウェア資産の移行性確保の手段としてOpenMPベースのディレクティブプログラミング環境、及びニューラルネットワークや自動運転等の新しいアプリケーションソフトウェア開発のためにOpenCL, SYCL処理系を実装します。本研究開発を通じて得られた知見を標準規格に採り入れる活動を通じて、RISC-Vコミュニティの発展に貢献していきます。


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*[1] RTE : Runtime Environment(ランタイム環境)の略称
*[2] SHIM : Software-Hardware Interface for Multi-many-core(マルチコア、メニーコア環境向け構造記述仕様)の略
*[3] XML : Extensible Markup Language(拡張可能なマークアップ言語)の略称
*[4] POC : Proof of Concept(概念実証)の略称
*[5] FPGA : Field Programmable Gate Array(現場でプログラム可能なゲートアレイ)の略称
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■補足資料 

イーソル株式会社について

イーソル(TSE:4420)は、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業の、組込み・IoT分野のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。



株式会社ユーリカについて

ユーリカは、オープンソースソフトウェアを主としてハイパーバイザーといった組み込み系のソフトウェアおよび、ハードウェアに深くかかわるソフトウェアソリューションならびにツールC2RGateを提供しています。


京都マイクロコンピュータ株式会社について

京都マイクロコンピュータは、組込みソフトウェア技術を中心に据え、JTAGデバッガ、コンパイラなどの開発環境を軸に時代のニーズにお応えする製品をご提供しています。マルチコアCPUへの対応、組み込みOS環境での効率的なデバッグ等、今求められる技術、製品を開発するエンジニア指向の会社です。


株式会社エヌエスアイテクスについて

NSITEXEは、2017年(株)デンソーの100%子会社として創業し、半導体IPの開発、ライセンス提供を行います。
革新的プロセッサ技術により開発した、CPU、GPUに次ぐ第三のプロセッサであるDFP(データフロープロセッサ)は、電力効率の高い並列プロセッサであり、アプリケーションに依存しない汎用的な用途を実現します。
豊富な車載経験に基づき設計・開発を行い、高効率、高品質な半導体IPにより、幅広いアプリケーションに対応し、次世代の半導体技術の進化に貢献します。



* イーソル、イーソル株式会社、eSOL、eMBPは、イーソル株式会社の日本及びその他の国における登録商標または商標です。 
* エヌエスアイテクス、株式会社エヌエスアイテクス、NSITEXは、株式会社エヌエスアイテクスの日本及びその他の国における登録商標または商標です。
* 記載された会社名および製品名は、各社、各団体の登録商標または商標です。