プレスリリース

東大発ベンチャーのエクスビジョンが開発した高速画像処理プラットフォームにイーソルのマルチコアプロセッサ対応RTOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」が採用(共同リリース)

~世界最速レベルの1,000fpsを実現した画像処理技術にリアルタイム性と信頼性を付加し、FAの高速検査やロボット、自動運転システム、最先端医療機器などに展開~

報道関係者各位 
株式会社エクスビジョン
イーソル株式会社
Detect and Catchの実演の様子

株式会社エクスビジョン(本社:東京都文京区、代表取締役社長:藤井 照穂、以下エクスビジョン)およびイーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、エクスビジョンが開発した高速画像処理プラットフォームのソフトウェア開発キット「HSV SDK(High Speed Vision Software Development Kit)」に、イーソルのマルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」をコアとするソフトウェアプラットフォームを採用したことを発表します。

「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」(会期:2017年5月10日(水)~12日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京・有明))のイーソルブース(ブース番号:西10-1)にて、エクスビジョンの高速画像処理プラットフォームを使って構築した「Detect and Catch」デモを実演します。Detect and Catchデモは、高速移動体を毎秒1,000フレーム(1,000fps)のスピードで検出・解析し、そこから得られる情報に基づいてアクチュエータの高速制御を行います。

エクスビジョンの高速画像処理プラットフォームは、2017年2月に半導体に関する国際会議ISSCC 2017で技術発表された「ビジョンチップ(Vision Chip)」を中核に構成されています。ビジョンチップは、エクスビジョンの母体である東京大学石川渡辺研究室 の技術がベースになっています。現在平均的な30fpsの30倍以上のフレームレートとなる1,000fpsのイメージセンシングに加え、高速移動体の検出を行う並列信号処理をワンチップで実現したこれまでにないハードウェアです。この技術により、工場の流れを止めずに不良品を検出する高速検査や産業用ロボット、自動運転システム、最先端医療機器などの様々なアプリケーションへの展開と、機器の小型化および省電力化への貢献が期待されています。エクスビジョンは、ビジョンチップ搭載センサーボードおよびメインボードからなる評価ボードとソフトウェア開発キットで構成された「HSV SDK」を開発し、様々な画像処理システムの短期間での開発を容易にする標準プラットフォームとして提供していきます。

HSV SDKのランタイムソフトウェアとしてイーソルのeT-Kernel Multi-Core EditionとUSBデバイス側スタックを採用することにより、センサーボードから送られてきたイメージング情報のリアルタイム処理およびアクチュエータの高速制御を可能にする高いリアルタイム性と、SMPのメリットである高いスループットを両立しています。eT-Kernel Multi-Core Editionは、メインボード上のARM®ベースのマルチコアプロセッサを制御しています。独自の「ブレンドスケジューリング」技術により、ひとつのシステム/OS上でSMP型/AMP型プログラムが混在することを可能にします。車載機器やFA・産業機器、コンシューマ機器など、様々な分野での多彩な採用実績により、その高いリアルタイム性と信頼性が実証されています。eT-Kernel Multi-Core Edition上のアプリケーション開発には、eT-Kernel Multi-Core Editionと緊密に統合され、複雑なマルチコアシステムのデバッグや解析を強力に支援する様々なツールを提供する「eBinder」が利用されています。

イーソルは、エクスビジョンの画像処理プラットフォームの応用が見込まれるセーフティクリティカルシステムを支える品質の向上に注力しています。eT-Kernelは、機能安全規格 ISO 26262(自動車)およびIEC 61508(産業機器)ともに最高の安全度水準(ASIL D、SIL 4)のプロダクト認証を取得しています。また、イーソルのリアルタイムOS製品の開発プロセスは、医療機器向け安全規格IEC 62304に準拠していることが認証されています。


株式会社エクスビジョン 取締役 加治佐 俊一 のコメント


「時間分解能を高め1,000fpsに対応した高速ビジョンチップを核とするこれまでにない高速画像処理プラットフォームは、その技術新規性から様々な応用分野への展開が見込まれています。eT-Kernel Multi-Core Editionの車載分野を中心とする豊富な実績に加え、様々な分野の要求にこたえられる製品・サービスのラインアップの幅広さと技術者層の厚さがイーソルを採用した決め手でした。現在取り組んでいる画像処理プラットフォームの製品化およびその後の導入顧客への開発支援までを視野に入れて、パートナーとしてのイーソルの総合力に期待しています。」


イーソル株式会社 常務取締役 上山 伸幸 のコメント


「HSV SDKにeT-Kernel Multi-Core EditionをコアとするリアルタイムOSベースプラットフォームをご採用いただき光栄です。画像処理プラットフォームの応用が期待される分野は、イーソルがこれまで豊富な実績を持つリアルタイム性と信頼性が求められるミッションクリティカルな分野と重なっています。イーソル製品ユーザとしてのエクスビジョン様の開発支援の先に、同じゴールを持つビジネスパートナーシップの構築につながるよう、引き続き取り組んでいきます。」



■補足資料

HSV SDKについて

HSV SDK(High Speed Vision Software Development Kit)は、様々な応用が期待される高速画像処理ソリューションを短期間で開発できるプラットフォームです。高速画像処理技術の中核となるビジョンチップを備えたセンサーボードおよびメインボードからなる評価ボードとソフトウェア開発キットで構成されております。評価ボードでは毎秒1,000フレーム以上のスピードで高速移動体の検出・追跡を含む画像処理を行い、画像処理結果の情報をもとにアクチュエータなどの周辺機器をリアルタイムに制御するアプリケーションを実行することができます。また、画像処理結果の情報と画像は評価ボードに接続したPCに送ることもできます。ソフトウェア開発キットでは評価ボード上のリアルタイム制御アプリケーションとPCで動作するアプリケーション開発するためのAPI群とサンプルコードを準備しているため、短期間での高速画像処理ソリューション開発を実現できます。

HSV SDK詳細


eT-Kernel Multi-Core Editionについて


eT-Kernel Multi-Core Editionは、マルチコアプロセッサを使う組込みシステムのためのリアルタイムOSです。独自の「ブレンドスケジューリング」機能により、ひとつのシステム内で、SMP型およびAMP型が混在した複数個のプログラムを共存させられます。「Single Processor Mode(SPM)」と「True SMP Mode(TSM)」をベースとする4つのスケジューリングモードを用意しています。プログラムによって適切なモードを選択することで、高スループットの実現などのSMP型プログラムのメリットと、リアルタイム性の確保やソフトウェア資産の再利用の容易さといったAMP型プログラムが持つメリットの、両方をひとつのシステム内で実現できます。

eT-Kernel Multi-Core Edition詳細


株式会社エクスビジョンについて


株式会社エクスビジョンは東京大学大学院 情報理工学系研究科 石川・渡辺研究室で研究開発される先進的な高速画像処理技術とその応用となるソリューションを開発、またはビジョンチップを搭載したジェスチャー認識システムの実装など、様々な産業での事業展開に貢献する目的で設立された東京大学発のベンチャー企業です。

エクスビジョン会社情報へ


イーソル株式会社について


イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。

イーソル会社情報へ


*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

報道関係者向けPDF形式ファイルはこちら