モデルベース設計を利用したソフトウェア並列化ツールを開発
~設計意図を反映した、高信頼・高性能のマルチ・メニーコア環境向け並列コードを自動生成~
報道関係者各位
イーソル株式会社
イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、マルチ・メニーコアハードウェア環境向けのソフトウェア開発を支援する、モデルベース並列化ツール(Model Based Parallelizer、以下eSOL MBP(仮称))のプロトタイプを開発したことを発表します。機器のインテリジェント化が進み、コンピューティングパワーに優れたマルチ・メニーコアプロセッサまたはマルチチップ構成の採用が増えています。モデル図を使うことで、設計意図を適切に反映した、信頼性および実効効率が高いソフトウェアの並列化を実現します。
eSOL MBPは、2017年4月にリリースを予定しています。それに先立ち、「第19回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」(会期:2016年5月11日(水)~13日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京・有明))のイーソルブース(ブース番号:西5-32)にて、eSOL MBPのデモを実演します。
ソフトウェア開発の大規模化にともない、設計品質と最終システムの信頼性を向上させる、モデルベース開発(MBD)手法の導入が進んでいます。自動車のECUや航空・宇宙分野など、厳格な安全性が要求されるシステム開発では、すでに幅広く活用され大きな効果を上げています。一方、こうした安全性が求められる分野でもインテリジェント化が進み、性能と電力効率に優れたマルチ・メニーコア技術の導入が必要になってきています。既存のMBD支援ツールや並列化ツールでは、並列性の抽出、並列プログラムの最適なコア割り当て、ならびに安全性とリアルタイム性の保証などのハードルがあり、マルチ・メニーコア環境向けに最適化されたコード生成が難しい状況でした。
eSOL MBPは、国内外でトップシェアを持つMathWorks®社のモデルベースデザインツール「Simulink®」で設計された制御モデルから生成されるCソースコードを並列化します。Cソースコードに加えて、Simulinkで作成したブロック線図を解析することにより、図の信号線からデータフローを正しく把握し、Cソースコードの解析だけでは難しい制御アルゴリズムの並列化を設計者の意図通りに実現することが容易になります。ブロック線図のブロックを単位として並列性を抽出した後、実装するマルチ・メニーコアプロセッサのアーキテクチャや性能情報をもとにした実行性能の見積もりを行います。それらの情報をもとに分割されたブロック群の各コアへの割り当てを行い、並列コードを自動生成します。性能見積もりには、米Multicore Associationが策定したXML形式のハードウェア構造記述仕様「SHIM」(※) を利用しています。さらに、現在ルネサス エレクトロニクス株式会社のRH850マルチコアマイコンに対応するPILS(Processor In the Loop Simulation)環境自動構築ツール「Embedded Target for Renesas CS+」(開発中)のサポートを進めており、連携部分を「Renesas RH850 PILS Package」(仮称)としてリリースする予定です。PILS環境を利用することで、性能見積もりに加え、実際のコア割り当て後の性能評価も行えます。
本ツールは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の支援を受け、イーソルと名古屋大学枝廣研究室によって研究開発された成果を実用化したものです。
イーソルは、eSOL MBPに加え、マイコンからシングルコア、ヘテロジニアスなマルチ・メニーコア環境までスケーラブルにサポートしたリアルタイム「eMCOS」の開発・提供、Multicore Associationや組込みマルチコアコンソーシアムを含む国内外の標準化団体での活動などを通して、マルチ・メニーコア向けソフトウェア開発を強力に支援していきます。
※SHIM(Software-Hardware Interface for Multi-many-core)とは、多様なマルチ・メニーコアプロセッサを抽象化する記述方式の標準仕様。プロセッサコアや各種アクセラレータ、メモリ/キャッシュ、コア間通信など、ソフトウェアの設計・開発に必要なハードウェアアーキテクチャ情報と性能の情報が含まれる。
eSOL MBPは、2017年4月にリリースを予定しています。それに先立ち、「第19回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」(会期:2016年5月11日(水)~13日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京・有明))のイーソルブース(ブース番号:西5-32)にて、eSOL MBPのデモを実演します。
ソフトウェア開発の大規模化にともない、設計品質と最終システムの信頼性を向上させる、モデルベース開発(MBD)手法の導入が進んでいます。自動車のECUや航空・宇宙分野など、厳格な安全性が要求されるシステム開発では、すでに幅広く活用され大きな効果を上げています。一方、こうした安全性が求められる分野でもインテリジェント化が進み、性能と電力効率に優れたマルチ・メニーコア技術の導入が必要になってきています。既存のMBD支援ツールや並列化ツールでは、並列性の抽出、並列プログラムの最適なコア割り当て、ならびに安全性とリアルタイム性の保証などのハードルがあり、マルチ・メニーコア環境向けに最適化されたコード生成が難しい状況でした。
eSOL MBPは、国内外でトップシェアを持つMathWorks®社のモデルベースデザインツール「Simulink®」で設計された制御モデルから生成されるCソースコードを並列化します。Cソースコードに加えて、Simulinkで作成したブロック線図を解析することにより、図の信号線からデータフローを正しく把握し、Cソースコードの解析だけでは難しい制御アルゴリズムの並列化を設計者の意図通りに実現することが容易になります。ブロック線図のブロックを単位として並列性を抽出した後、実装するマルチ・メニーコアプロセッサのアーキテクチャや性能情報をもとにした実行性能の見積もりを行います。それらの情報をもとに分割されたブロック群の各コアへの割り当てを行い、並列コードを自動生成します。性能見積もりには、米Multicore Associationが策定したXML形式のハードウェア構造記述仕様「SHIM」(※) を利用しています。さらに、現在ルネサス エレクトロニクス株式会社のRH850マルチコアマイコンに対応するPILS(Processor In the Loop Simulation)環境自動構築ツール「Embedded Target for Renesas CS+」(開発中)のサポートを進めており、連携部分を「Renesas RH850 PILS Package」(仮称)としてリリースする予定です。PILS環境を利用することで、性能見積もりに加え、実際のコア割り当て後の性能評価も行えます。
本ツールは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の支援を受け、イーソルと名古屋大学枝廣研究室によって研究開発された成果を実用化したものです。
イーソルは、eSOL MBPに加え、マイコンからシングルコア、ヘテロジニアスなマルチ・メニーコア環境までスケーラブルにサポートしたリアルタイム「eMCOS」の開発・提供、Multicore Associationや組込みマルチコアコンソーシアムを含む国内外の標準化団体での活動などを通して、マルチ・メニーコア向けソフトウェア開発を強力に支援していきます。
※SHIM(Software-Hardware Interface for Multi-many-core)とは、多様なマルチ・メニーコアプロセッサを抽象化する記述方式の標準仕様。プロセッサコアや各種アクセラレータ、メモリ/キャッシュ、コア間通信など、ソフトウェアの設計・開発に必要なハードウェアアーキテクチャ情報と性能の情報が含まれる。
名古屋大学大学院情報科学研究科情報システム学専攻 教授 枝廣 正人 様 のコメント
「共同で研究開発を行ったモデルベース並列化ツールが、イーソルによって実用化されることで、実際に開発現場で広く、有効に活用されるようになると期待しています。既存の並列化ツールと違い、モデルが持つ情報を利用できるようにし、設計者の意図を反映し、開発効率と品質の向上を計れることが本ツールの特長です。eSOL MBPがマルチ・メニーコア技術の組込みシステムへの導入をさらに加速し、人工知能やロボット技術などを活用した最先端の優れたシステムが市場に多く、タイムリーに出てくることを願っています。」
ルネサス エレクトロニクス株式会社 コア技術事業統括部長 近藤 弘郁 様 のコメント
「当社の車載ECU向け32ビットマイコン『RH850ファミリ』の多くのお客様は、自動車向けの機能安全規格ISO 26262でも推奨されているMBDを活用したマルチ・メニーコア向けソフト開発環境を望まれています。eSOL MBPは、こうしたニーズにお応えするツールで、お客様にとって優れた選択肢と言えます。RH850マルチコアの性能を活用したエコカー/燃費改善の実現に向けて、マルチコアマイコン向けの新しいMBD連携環境に期待しています。」
イーソル株式会社 執行役員 ソフトウェア技術統括責任者 兼 技術本部長 権藤 正樹 のコメント
「IoTの普及にともなって、自動車や産業機器をはじめとする高機能な組込みシステムも一端末として構成され、さらにインテリジェント化が進んでいます。一方で、従来のシステムと同様に、高いリアルタイム性と信頼性が要求されることは変わりありません。イーソルは、2012年に商用では世界初のマイコンからマルチ・メニーコアプロセッサまでをサポートしたリアルタイムOS「eMCOS」を開発し、これらの高信頼システムのマルチ・メニーコアを利用したソフトウェア開発を支援しています。今回実用化したeSOL MBPにより、人による作業では時間がかかるプログラムの並列化の高効率、高性能な自動化を実現します。これによりソフトウェア設計やアーキテクチャの側面をカバーし、マルチ・メニーコア向けソフトウェア開発支援を強化していきます。」
■補足資料
イーソル株式会社について
イーソル株式会社は「Inside Solution」をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
イーソル会社情報へ
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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