プレスリリース

一般道向け自動運転システム実用化に向けて、スケーラブルRTOS「eMCOS」の拡張を加速


~NEDOの委託事業として採択~

報道関係者各位

イーソル株式会社

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)が公募を実施した次世代スマートデバイス開発プロジェクトに関連した「IoT社会の実現に向けた電子・情報分野事業の周辺技術・関連課題における小規模研究開発」の委託事業として、イーソルが提案した「一般道自動運転システム用メニーコアOSの研究開発」の採択が決定し、研究開発を開始したことを発表します。イーソルは、商用では世界初のシングルコアからメニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートしたリアルタイムOS(RTOS)「eMCOS」の拡張を加速することにより、トランクに積んだ大型ワークステーションに代えて、高い性能と電力効率を誇るメニーコア技術を利用して自動運転システムを組込みシステム化し、複雑な走行環境の一般道に向けた実用化に貢献します。

eMCOSは、従来のリアルタイムOSとはまったく異なる分散型マイクロカーネルアーキテクチャと、独自のスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許第5734941号 取得)を実装しています。組込みシステムに特化したこれらの技術により、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性の両立を実現できます。シングルコアプロセッサから、キャッシュコヒーレンシ機能を持たない、数百個のホモジニアスおよびヘテロジニアス両方のメニーコアプロセッサ、マルチチップ構成まで、コア数を問わずスケーラブルにサポートします。

本研究開発では、eMCOSに対し、自動運転システムに最適化されたタスク配置およびスケジューリングアルゴリズムの考案と実装、オープンソースのロボット用アプリケーションフレームワーク「ROS」の実装やレーザースキャナを含む各種センサとの接続などに必要となるソフトウェアドライバとライブラリの開発、さらに複数の異種のハードウェアを組み合わせた場合を想定したマルチチップ資源管理機構の実装を行います。ハードウェア環境には、Kalray社の256コアが搭載されたプログラマブル・メニーコアプロセッサ「MPPA®-256」を利用します。本研究開発は、立命館大学、名古屋大学および名古屋大学発のベンチャー企業である株式会社ティアフォーの協力を得て行われます。立命館大学および名古屋大学は、ROSの研究から導出された自動運転システム向けスケジューリング理論の研究と技術支援およびeMCOSの性能評価を行います。また、ティアフォー社は、自社の自動運転システムを利用した公道実験を行い、eMCOSの有効性と性能の評価を行います。

システム設計、実装から評価までを終えた本研究開発の成果は、イーソルが参加するインターネットITS協議会の「アーバンドライブワーキンググループ(WG)」にも還元される予定です。自動運転技術の実用化と市場創出に向けて公道実証実験を実施する同WGを通じ、自動運転システムのプラットフォーム技術の発展に貢献していきます。

イーソルは、2005年に世界初のARM社ARM® MPCore™向け商用RTOSの開発、そして2012年にシングルコアからメニーコアまでサポートした世界初の商用スケーラブルRTOSの発表を行ったマルチ・メニーコア技術のリーディング企業です。米国Multicore Associationでは、Software-Hardware Interface for Multi-many-core(SHIM)ワーキンググループのチェアを務めています。また、国内外の主要メーカ、スタートアップ企業、名古屋大学や立命館大学等との共同研究を通じて、自動運転システムの性能要求を満たすRTOSの技術開発にも積極的に取り組んでいます。

※1 NEDO「IoT社会の実現に向けた電子・情報分野事業の周辺技術・関連課題における小規模研究開発」に係る実施体制の決定について


イーソル株式会社 執行役員 ソフトウェア技術統括責任者 兼 技術本部長 権藤 正樹 のコメント

「世界的に自動運転技術の研究開発が加速しています。現在多くの実験用車両に積み込まれた大型コンピュータと同等のコンピューティングパワーを1チップで実現できるメニーコア技術は、量産や実用化に適した有望な技術です。その中で、システムの基盤となるOSは、厳格な安全性と品質が求められます。イーソルは、高い信頼性とリアルタイム性をもち、シングルコアからマルチ・メニーコアまでスケーラブルにサポートするリアルタイムOS技術を核とし、国内外の車載システムメーカに加え、マルチ・メニーコア技術、ロボティクス技術などに関連する企業や政府・学術機関と協調しながら自動運転システムの発展に寄与していきます。」

■補足資料

eMCOSについて

eMCOS(イーソル エムコス)は、商用では世界初のシングルコアからメニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートした組込みシステム向けリアルタイムOSです。メニーコアプロセッサは、サイバーフィジカルシステム、画像認識やネットワーク通信、車載、医療、交通システム、エネルギー、ロボットなど、消費電力を抑えながらより高度な制御が求められる高度なシステムで採用が見込まれています。eMCOSは、これまでのリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用することで、数十、数百のコアを持つメニーコアプロセッサの性能を最大限に引き出します。さらに、イーソルの独自技術「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許第5734941号 取得)を搭載することで、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性を両立しています。また、シングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用した、従来の方法でアプリケーションを開発できます。
eMCOS詳細

イーソル株式会社について

イーソル株式会社は「Inside Solution」をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
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*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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