eMCOS® POSIXは、シングルコアMCU、マルチコアSoC、最大256CPUコアの真のメニーコアプロセッサで動作する世界初の商用POSIX リアルタイムOSです。Kalray社のプロセッサ であるCoolidgeは、80コアの第3世代MPPA(Massively Parallel Processor Array)であり、開発者は高性能と低消費電力を実現するこのメニーコアプロセッサを既存のマルチコアプロセッサと同じ条件で利用することができます。
ヘテロジニアス・コンピューティング
この自動運転開発プラットフォームは、ヘテロジニアスなハードウェア構成に対して拡張性の高いリアルタイムOSが適していることを示しています。
eMCOSは、POSIX、ハイパーバイザなど幅広いOSプロファイルをサポートしています。主に自動運転、産業システム、ロボティクス、医療機器やエッジコンピューティングなどのアプリケーションに適しています。その他の応用分野としては、データセンターで行われるハイパフォーマンスコンピューティングや機械学習などが挙げられます。
自動運転開発プラットフォームは、ヘテロジニアスプロセッサや最先端のメニーコアプロセッサをベースとした、安全でセキュアな高性能なコンピューティングハードウェアを提供します。ミックスド・クリティカルなアプリケーションで構成された自動運転向けシステムでは、高いエネルギー効率を持つコンピューティングパワーとともに、リアルタイム処理能力、安全性・セキュリティの高さが求められます。
安全でセキュアなメニーコアプロセッサをサポート
eMCOSはマルチカーネルアーキテクチャをベースにしています。従来の多くのリアルタイムOSは従来のシングルコアOSをベースとしたマイクロカーネルアーキテクチャを採用していますが、メニーコアプロセッサではそれが性能に影響を及ぼすボトルネックとなる可能性があります。
eMCOSは、ハードウェアの拡張性が高いため、異なる複数のSoC内のCPU で動作しますが、独自のプロセス間通信により、単一のリアルタイムOSシステムとして動作します。これは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の好例であり、ユーザはすでに確立されたPOSIXインターフェース標準を引き続き使用できます。
また、パートナーであるイーソルとKalray社は、最適化済みのeMCOS POSIX for MPPAソフトウェア開発キットを提供しています。この開発キットは、MPPA Coolidge向けに複数のPOSIXプロセスで構成された高度なアプリケーションを構築するために必要なすべての機能を備えています。
機能の概要
- Kalray社のメニーコアプロセッサMPPA Coolidge(80コア)が知覚用のAIアクセラレータ の処理する一方で、NXP Semiconductors社のマザーボードBlueBoxがAutowareプロセスを処理します。
- eMCOSのメッセージパッシング機能により、プロトコルスタックやハイパーバイザを利用せずにBlueBoxのチップ間の高速通信が可能です。
- アプリケーションをリアルタイムOSの構成に全く依存せず開発することができます。リアルタイムOS通信はチップ内のコア間だけでなく、チップ間でもシームレスに行われます。eMCOS POSIXは、POSIXプロファイルPSE53に準拠しており、マルチプロセス実行に対応しています。
- イーソルが特許を取得しているスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」により、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性、およびeMCOSを使用したロードバランシングによるハイパフォーマンスが保証されています。
BlueBox
NXP Semiconductors社のBlueBoxは、NXPのプロセッサを安全に集積したセントラルコンピュータモジュール、高度なI/O接続、高性能拡張機能を、Kalray社のMPPAプロセッサ・ベースPCIeカードと組み合わせて、ヘテロジニアスなアクセラレーションを実現しています。BlueBoxは、システム開発サイクルと製品化に要する時間の短縮を実現します。
機械学習では、Kalray社のCoolidge MPPAプロセッサ(80コア)が知覚、予測、経路探索機能、新しいネットワークサービスに使用されています。このメニーコアプロセッサは、機械学習やその他のアルゴリズムの負荷軽減や高速化に最適なヘテロジニアスなマルチプロセッシング機能を有するMassively Parallel Architecture(MPA)を備えています。また、卓越した計算性能と高度な安全性(空間分離、干渉回避、決定性)、プログラマビリティ、電力効率を実現しています。
今後の展望
現在、CES2021で正式発表されたNXP BlueBox基準プラットフォームの最新世代BlueBox 3.0の開発が進んでおり、今後、将来のハイパフォーマンスコンピューティングアプリケーション向けトータルソリューションとして、最新版のソフトウェアとハードウェアに対応可能となることが期待されます。
Products
POSIX APIを搭載したマルチカーネルRTOS
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