2007年5月9日
報道関係者各位
イーソル株式会社

POSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」をリリース

~pthread、シグナル、プロセス間通信をサポートした本格的なPOSIX仕様準拠リアルタイムOSをイーソルが独自開発~
~T-Kernel上で、Linuxを含むUNIX系OSの豊富なソフトウェア資産やエンジニアリソースの活用が容易に~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、 POSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」をリリースしたことを発表します。eT-Kernel/POSIXは、イーソルが開発・販売しているT-Kernel拡張版「eT-Kernel」の新プロファイルとして、eT-Kernelをベースに、イーソルが独自に開発しました。POSIXはLinuxを含むUNIX系OSの標準インターフェースを規定した仕様で、海外でも広く普及しているため、市販/オープンソースのソフトウェアが豊富に揃っています。またUNIX系OSは、組込みシステム以外の基幹系システムなど幅広い分野でも広く採用されているため、国内外のエンジニアが豊富です。 eT-Kernel/POSIXを選択することで、こうしたリソースを活用しながら、 eT-Kernelの持つ優れたリアルタイム性能をシステムに取り入れることができます。大規模、高機能で高性能な組込みシステム開発の効率化に貢献します。

eT-Kernel/POSIXは、The Open Base Specifications Issue 6/IEEE Std 1003.1, 2004 Editionに準拠しており、この中で規定されているほぼすべてのPOSIX APIをサポートしています。pthread、シグナル、プロセス間通信(IPC)をプロセスおよびシステムレベルで完全サポートした、本格的なPOSIX仕様準拠リアルタイムOSです。 UNIX系OSベースのソフトウェア資産を再利用することを目標に設計、開発されました。単なるラッパーライブラリではなく、eT-Kernelコア内部に手を入れてチューニングすることで、性能を損なわずに本格的なPOSIXの機能を実現しています。これまでUNIX系OSを利用してきた開発者は、既存のソフトウェア資産に大きな変更や調整をする必要なく、高機能、高性能で開発環境が整ったeT-Kernel/POSIXへ移行することができます。

またeT-Kernel/POSIXでは、POSIXベースのアプリケーションとT-Kernelベースのアプリケーションをひとつのシステム内に共存させることができます。 T-Kernelアプリケーション開発者は、ネットワーク系ミドルウェアをはじめとするPOSIXベースの市販/オープンソースの豊富なソフトウェアを、T-Kernelへ移行させる手間をかけずにそのままeT-Kernel/POSIX上で利用できます。既存のT-Kernelアプリケーションに新しい機能を追加したい場合などに有用です。

eT-Kernel/POSIXは、開発環境、リアルタイムOS、ミドルウェア、そしてプロフェッショナルサービスから構成される、統合化されたソフトウェアプラットフォーム「eCROS」(イークロス)に統合されています。これまでのリアルタイムOSのラインアップには、μITRON仕様準拠リアルタイムOSと、 3つのプロファイルを持つeT-Kernelがありましたが、今回のeT-Kernel/POSIXのリリースにより、大規模で高機能なシステム開発向けにリアルタイムOSの選択肢が広がりました。eCROSの導入により、さらなる開発効率化と高品質の確保を両立できます。

なお、5月16日~18日に東京ビッグサイトで開催される第10回組込みシステム開発技術展 ESEC2007の弊社ブース(ブース番号:40-36)にて、本製品のデモを展示します。

「eT-Kernel/POSIX」詳細



イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント

「eT-Kernel/POSIXにより、LinuxやUNIX系OS向けに開発された市販/オープンソースの豊富なソフトウェアをT-Kernel上で容易に利用できるようになったことで、開発期間の短縮やコストの削減を実現できると考えています。また組込みソフトウェアの開発現場では、エンジニア不足が深刻化していますが、 UNIXプログラミングの経験がある海外のエンジニアや組込み系以外のエンジニアも活用することができます。 eT-Kernel/POSIXは、イーソルのソフトウェアプラットフォームeCROSに統合化されていますので、プラットフォームとして導入することで、さらなる開発効率化を期待できます。」

■補足資料

eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、 T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。 eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた4つのプロファイルがあります。 μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、 eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。

eT-Kernel詳細


イーソル株式会社と「eCROS」について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。 eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。

*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectはイーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
*UNIXは、The Open Groupの登録商標です。
*POSIXは、The IEEEの登録商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。