イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、イーソルのメモリ保護/ プロセスモデル対応T-Kernel「eT-Kernel/Extended」が、MIPSアーキテクチャをベースにしたNECエレクトロニクス製 64ビットCPU「VR5701A」を搭載した標準T-Engineボード(T-Engine/VR5701)に対応を完了し、同製品をリリースしたことを発表します。同時に、実際にeT-Kernel/Extendedを使用して開発を進めているユーザの意見を元に、多数の機能追加と性能改善を行いました。今回のリリースは、先日発表したμITRONとの構成が近い「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」に続いてのリリースになります。
組込みシステムの大規模化、高機能化を背景に、従来のタスクスケジューリングを主なサービスとするμITRONや T-Kernel単体では現在の組込みソフトウェアの要求を満たせず、組込みOSにもPCやサーバ用OSに近い機能が求められるようになりました。こうしたニーズを元に開発されたのが、T-Engineフォーラムで仕様化されたT-Kernel/Standard Extensionです。 eT-Kernel/Extendedは、T-Kernel/Standard Extensionをベースに、イーソルの組込みソフトウェア開発の経験、ノウハウを元に、独自の機能追加と性能改善を追及した成果です。eT-Kernel/Extendedは、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートしたリアルタイムOSです。MMUを利用したメモリ保護機能により、実行中のプロセスが、他のプロセスが管理するメモリ領域やカーネルリソースを誤って破壊してしまうことを事前に検知して予防するため、開発中に不具合を容易に発見できます。システム稼動中に万が一プログラムが不正動作した場合でも、被害を最小限に抑えることができます。ローダブルなドライバやサブシステムを安全に追加ロードすることもできます。また、プロセスモデルのサポートにより、組込みシステムで実現する機能をプロセスに分け、プロセスごとの開発、デバッグができますので、大人数での大規模なシステムに最適です。このほか、POSIXファイルシステムAPIをサポートした論理ファイルシステム(LFS)を搭載しています。
今回リリースされたeT-Kernel/Extendedに追加された機能の一部を、下記に示します。
・CPU例外の発生を検知できる例外マネージャ機能 ・デバッグや製品化後のシステムメンテナンスに効果を発揮するターゲットシェル ・2度目以降のシステム起動時に、高速ブートできる機能 ・POSIXのファイルマッピングのサポート
このたびeT-Kernel/ExtendedがサポートしたNECエレクトロニクス社製「VR5701A」は、内部動作周波数333MHzのVR5500 CPUコアを CPUコアとする、MIPS命令セットアーキテクチャ準拠の高性能64ビットRISCマイクロプロセッサです。高速メモリ、システムバス (PCI)、通信(UART/CSI)、ストレージ(IDE)、I/O(USB)、サウンド(AC-Link)などのインタフェースを搭載しています。 特に大容量のデータを蓄積できるハードディスクやCD/DVDドライブとのインタフェースであるIDEインタフェースが搭載されている ので、カーナビや携帯音楽/メディアプレーヤーをはじめとする大容量データを扱うマルチメディア機器に適しています。 また、T-Engineボードの標準化のメリットにより、標準化されたデバイスドライバを使うことができるので、いちからドライバを 開発する必要なく、アプリケーション開発に注力することができます。
eT-Kernel/Extendedの開発環境として、T-Kernelベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。 eT-Kernel/Extendedのプロセス内の個々のタスクをタスク単位でデバッグできるほか、プロセス単位のデバッグもサポートしています。また、システムプログラムや共有ライブラリ、DLLなど、eT-Kernel/Extendedが取り扱うすべてのプログラムのデバッグができます。JTAG ICEとの連携機能や、複数チーム、複数サイトでの分散開発を支援するプラットフォームパッケージ機能など、大規模なリアルタイムシステム開発に必須の機能を提供しています。eT-Kernel/ExtendedとeBinderを組み合わせることで、効率的なソフトウェア開発を実現します。
なお、2006年6月28日から30日の3日間の日程で東京ビッグサイトで開催される、第9回組込みシステム開発技術展「ESEC 2006」のイーソルブースにて、本製品のデモを展示します。
NECエレクトロニクス株式会社 第四システム事業本部 第二マイコン事業部 グループマネージャ 小野 洋彦 様 のコメント 「T-Engine/VR5701に搭載された高性能なVR5701A組込みプロセッサと、メモリ保護/プロセスモデルをサポートする eT-Kernel/Extendedとの組み合わせは、高機能で大規模なシステムで最も効果を発揮します。短期間、低コストでの開発を実現する eBinderを使ったソフトウェア開発を使うことで、効率的に優れた製品を開発できることを期待しています。」
イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント 「このたびのVR5701A搭載T-EngineボードをサポートしたeT-Kernel/Extendedのリリースにより、大規模なシステム向けの eT-Kernelが揃いました。先日VR5701A搭載T-Engineボード対応版をリリースした、μITRONとの構成が近い「eT-Kernel/Compact」、 eT-Kernel/CompactにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」をコアとしているため、 eT-Kernel/Compact、eT-Kernel/Standard上に構築したソフトウェアの再利用も行えます。プロダクトラインを利用して、製品のシリーズによって利用するOSを変えたい場合などに、ソフトウェアを再利用しながら効率的に開発を進めることができます。」
■補足資料 eBinderについて eBinderは、T-Kernelを使ったソフトウェア開発のための開発スイートです。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。また、JTAG ICEとの連携機能や、複数チーム、複数サイトでの分散開発を支援するプラットフォームパッケージ機能など、大規模なリアルタイムシステム開発に必須の機能を提供しています。eBinderは、 C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。
イーソル株式会社 について イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一 貫したサービス、トータルソリューションを提供します。 イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernel の拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」 のラインナップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに 「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。
*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは イーソル株式会社の登録商標です。 * eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。 * VRは、NECエレクトロニクス株式会社の商標です。 * MIPSは、MIPS Technologies, Inc.の登録商標です *TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、 特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。 *記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
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