モトローラ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:北川尚)とイーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉)は, μITRON4.0準拠「PrKERNELv4」が,マルチメディア機能とBluetooth機能を搭載した「ドラゴンボールMX1」プロセッサへの対応を完了し,イーソルのホームページ上にてソースコードの無償公開を開始することを発表します。4月25日に http://www.esol.co.jp/embedded/DLindex.htmlにて公開を開始します。またイーソルは,これに合わせて「PrKERNELv4」と「ドラゴンボールMX1」プロセッサを組み合わせたソフトウェア開発を強力にバックアップするμITRONシステム統合開発環境「eBinder」の「ドラゴンボールMX1」対応版をリリースします。
ARM9コアをベースにした初のドラゴンボール製品であるドラゴンボールMX1 は、 ワイヤレスコミュニケータや2.5G/3Gワイヤレス・モバイル製品、スマートフォン、高性能情報機器、 ウェブブラウザ・タブレットなど、高機能マルチメディア機器をターゲットとしています。 低消費電力と200MHz以上の動作周波数を特徴とするARM920コア、Bluetoothベースバンド、 CMOSセンサ・インタフェース (CSI)、マルチメディア・アクセラレータ (MMA) が組み込まれ、 非常に効率の高いマルチメディア処理機能がオンチップに統合されています。
両社は,開発者が「ドラゴンボールMX1」プロセッサをプラットフォームとする μITRONシステムを低コスト且つ短い期間で開発することを可能にするため,包括的な開発環境を提供していきます。「eBinder」の「ドラゴンボールMX1」対応版は,「PrKERNELv4 for DragonBall」を含むほか,ARM ADS Coretools(ARM純正コンパイラ)をバンドルして提供されます。「PrKERNELv4 for DragonBall」は,ライセンスおよびロイヤリティとも無料です。
イーソルが開発した「PrKERNELv4」は,μITRON4.0に準拠しています。機器の応答性を最大限に高めることができるプリエンティブカーネル機能(※)を実装しています。携帯電話やデジタルカメラ,カーナビゲーションシステム,プリンタからFA機器まで幅広い組込み機器に採用されています。
「eBinder」は、ソフトウェアの高機能化・複雑化に伴う組込みシステム開発者の負担を軽減することを目的として開発されました。ミドルウェアやライブラリ、デバイス・ドライバなど開発者が使用したいソフトウェア部品を「パーツ」化する手法により、ソフトウェア部品単位のシステム構築を容易にし、豊富なデバッグ機能を提供します。この手法は、「ドラゴンボール MX1」 に搭載されている優れたマルチメディアデバイスを最大限に生かしたソフトウェア開発に大きく貢献します。
※プリエンティブカーネル機能 タスク(コンピュータが管理する仕事の単位)が持つ優先度に反して実行順序が逆転するのを防ぐ機能。あるタスク実行中に,ある外部からの刺激によって割り込み処理が発生し,実行中のタスク優先度より高い優先度を持つタスクが実行可能状態になった場合,実行中のタスクの処理途中でも,優先度の高いタスクの処理に実行を移すことができる。この機能により,外部からの応答性を高めることが可能になる。 モトローラ株式会社 半導体セクター日本 ワイヤレスブロードバンドシステムグループ ジェネラルマネージャー 佐藤 清 のコメント 「今回のイーソル社との協業により、日本、アジアにおける組み込みOSとしてデファクトスタンダードであるuITRON OSと、当社のワイヤレス・アプリケーション・ソリューションの中心的組み込みアプリケーションプロセッサ、ドラゴンボールMX1の組み合わせが可能となりました。これにより、今までにないパワフルな組み込みアプリケーションプラットフォームをご提供することができると確信します。またイーソル社のuITRON OS開発支援ツールであるeBinderは、高機能かつ柔軟性にとんだ開発支援環境であり、システム開発者にとっては、ドラゴンボールのハードウェアの能力を最大限に引き出し、且つ非常に短期間でシステム開発を行うことができるようになります。このようなトータルソリューションを皆様にご提供できることを非常にうれしく思います。」
イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部 上山伸幸 のコメント 「モトローラ社との協業により,ドラゴンボール向けの初のμITRONシステム開発をサポートできる仕組みができました。ドラゴンボールはARMコアを持つ汎用アプリケーション向けプロセッサです。ドラゴンボールをプラットフォームとするμITRONシステム開発者にeBinderを中心とするトータルなソリューションを提供します。モトローラ社と協力して,ソフトウェアのカスタマイズなど開発者のご要望にも柔軟にお応えしていきます。」 「ドラゴンボール MX1」について
ドラゴンボールMX1は、3000万個以上の出荷実績を誇るドラゴンボールファミリの ARM9コアをベースとした第5世代の製品です。ドラゴンボールファミリはハンドヘルドコンピュータアプリケーション向けのプロセッサとしては最も出荷台数が多く、全世界で約75%のマーケットシェアを持っております。その中でドラゴンゴールMX1はもっとも最新の製品であり、クラス最高レベルのパフォーマンスと低消費電力を実現し、同時にマルチメディア・アプリケーションの機能を強化しております。ユーザーは、システムの電力消費を最小限に抑えつつ、動画などのマルチメディアアプリケーションを実現する上で、最大限の性能を引き出すことが可能になります。 「eBinder」について μITRONは、いまやOSが搭載された全家電製品の80パーセントのシェアを持つ、最もポピュラーなカーネルです。その一方で、現在市販されているμITRONの開発環境には、μITRONの特性を生かした十分な機能が提供されていない現状があります。トロン協会の調査では、ITRONの短所として、14.1パーセントの技術者が「開発環境/ツールの不足」を挙げています。(トロン協会、MST2000アンケート結果より)また、μITRONはスケジューリング機能のみを実装したコンパクトなカーネルであるため、必要なソフトウェア部品と組み合わせる必要があります。他社のμITRONやソフトウェア部品の組み合わせは、なかなかスムーズにいかないのが通常です。 eBinderは、これらの課題を解決するμITRON対応組込み開発環境です。最大8個までのタスクを同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツールなど、リッチなデバッグ機能を提供します。また、μITRONとアプリケーションに必要な最低限のソフトウェア部品を、そのベンダや種類を問わず、自由に組み合わせることができ、コンフィギュレーションからビルド、デバッグ・テストまでの開発工程をサポートします。さらに、ソフトウェア部品とそれらの情報をXMLファイルに記述しパッケージ化する手法により、ソフトウェア部品の再利用と流通を促進するほか、開発現場が抱えている開発期間の短縮・品質の向上といった課題を解決します。 eBinderは、μITRON以外のOSへも対応できるよう設計されており、他のOSへの対応も視野に入れています。 モトローラ株式会社について
モトローラの半導体セクターは、エンベデッド・プロセッサの世界ナンバーワン・ベンダとして、 DigitalDNA Rシステムオンチップ・ソリューションを提供しています。ワイヤレス通信とネットワーキングには特に注力し、お客様が個人、ワークチーム、家庭、自動車業界を対象としてスマート、シンプル、高速、同期化された製品を開発することを支援しています。2001年の世界各地における半導体セクターの総売上は、49億ドルでした。 http://www.motorola.com/semiconductors/
モトローラ・インクは、ICソリューションおよびエンベデッド・エレクトロニクス・ソリューションのグローバル・リーダーです。2001年の売上は295億ドルに達しています。 http://www.motorola.com/
*モトローラ、モトローラのロゴマークおよび R 表示された商標は、モトローラの登録商標です。その他、記載されている会社名、製品名等は、各社の商標または登録商標です。 イーソル株式会社について イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、μITRON対応統合開発環境「eBinder」のほか、ライセンス & ロイヤリティフリーでソースコードを公開しているμITRON「PrKERNEL」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。
以上
*DragonBallはモトローラ株式会社の登録商標です。 *eBinder, eParts, PrKERNEL, PrKERNELv4はイーソル株式会社の登録商標です。 *PackageBuilderはイーソル株式会社の商標です。 *TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 *ITRON は "Industrial TRON" の略称です。 *μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。 *TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。 *その他すべての名称は、各社の登録商標、商標、またはサービスマークです。 |