2001年12月12日
報道関係者各位

イーソル株式会社

イーソル、ユビキタス・コンピューティングのためスーパー標準開発プラットフォーム「T-Engine」プロジェクトを強力にバックアップすることを発表

~ 組込みシステム統合開発環境「eBinder(TM)」 、ソフトウェア部品群「eParts(R)」を対応予定~
 

組込みシステムエンジニアリング技術と製品を提供するイーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉)は、東京大学教授、坂村健先生がリーダを務めるTRONプロジェクトで新規に発足した「T-Engine」プロジェクトを強力にバックアップすることを発表しました。イーソルが開発・販売するμITRON対応組込み統合開発環境「eBinder」、およびソフトウェア部品群「eParts」を、スーパー標準開発プラットフォーム「T-Engine」に対応することで、組込みソフトウェア開発手法に革命を起こします。

12月13日から15日まで開催される「TRONSHOW2002」(第18回トロンプロジェクトシンポジウム)にて、「eBinder」と「T-Engine」の連携をご紹介します。

「T-Engine」プロジェクトは、OSから一歩踏み込み、ハードウェアの仕様を標準化することで、これまで解決されなかったミドルウェアの流通の促進を目指すものです。
 一方、組込みシステム統合開発環境「eBinder」は、ミドルウェアやライブラリ、ドライバなどユーザが使用したいソフトウェア部品を「パーツ」化する手法により、システム構築を容易にし、部品単位の豊富なデバッグ機能を提供します。これにより、ソフトウェア部品の再利用を強力に促します。
 このようにソフトウェア部品の流通の促進といった同じ方向を目指す「T-Engine」と「eBinder」の連携により、日本の組込みシステム開発手法に革新を起こし、開発者にかかる負担とコストを大幅に削減します。

イーソル株式会社 代表取締役社長 澤田勉 のコメント
「PCでのソフトウェア流通成功の大きな要因として、各社のPCのハードウェアが全く同じ構成であることが挙げられる。 PC後の産業を牽引するユビキタス・コンピューティングにとっても、ミドルウェアなどの基本ソフトウェアやパッケージの流通は必要不可欠である。ソフトウェアの流通を促進するには、できうる限りのハードウェアの統一が望ましい。しかし、提供機能も使用方法も異なる各種の機器でPCのような淘汰が行われることは考えられない。
 そこで、実際の機器では無理にしても、機器の開発に先だっていろんなミドルウェアの評価や、実製品のプロトタイプを稼動させ、システムの機能評価など各種評価を行う評価ボードでの標準化が望まれる。
 「T-Engine」はこのような事情を背景に"スーパー標準開発プラットフォーム"として産声を上げたが、単に評価ボードの標準化に止まらず、ユビキタス時代に向けた標準化の嚆矢と考えている。 ITRONによるカーネル標準化の実績の上に、さらに大きな標準化が行われ、ユビキタス・コンピューティングを日本の産業が牽引する時代が到来することを深く願う次第である。
イーソルは「T-Engine」を真の"スーパー標準開発プラットフォーム"とするべく、「eBinder」と「eParts」をいち早く対応させる。「T-Engine + eBinder」によって、組込みソフトウェア開発手法に革命を起こしたいと考えている。」

eBinderについて
μITRONは、いまやOSが搭載された全家電製品の80パーセントのシェアを持つ、最もポピュラーなカーネルです。その一方で、現在市販されているμITRONの開発環境には、μITRONの特性を生かした十分な機能が提供されていない現状があります。トロン協会の調査では、ITRONの短所として、14.1パーセントの技術者が「開発環境/ツールの不足」を挙げています。(トロン協会、MST2000アンケート結果より)また、μITRONはスケジューリング機能のみを実装したコンパクトなカーネルであるため、必要なソフトウェア部品と組み合わせる必要があります。他社のμITRONやソフトウェア部品の組み合わせは、なかなかスムーズにいかないのが通常です。  eBinderは、これらの課題を解決するμITRON対応組込み開発環境です。最大8個までのタスクを同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツールなど、リッチなデバッグ機能を提供します。また、μITRONとアプリケーションに必要な最低限のソフトウェア部品を、そのベンダや種類を問わず、自由に組み合わせることができ、コンフィギュレーションからビルド、デバッグ・テストまでの開発工程をサポートします。さらに、ソフトウェア部品とそれらの情報をXMLファイルに記述しパッケージ化する手法により、ソフトウェア部品の再利用と流通を促進するほか、開発現場が抱えている開発期間の短縮・品質の向上といった課題を解決します。  eBinderは、他のOSへも対応できるよう設計されており、現在注目されている組込みLinuxなども視野に入れています。

ePartsについて
「eParts」は、イーソルが提供している各種ソフトウェア部品を総称したブランド名です。ライセンス&ロイヤリティフリーでソースコードを提供しているμITRON「PrKERNEL」をはじめ、 TCP/IPプロトコルスタック「PrCONNECT」、FAT12/16/32、VFAT対応ファイルシステム「PrFILE」、組込みUSBデバイス側スタック「PrUSB」、組込みWEBブラウザ「PrBROWSER」、 OSEK SB2対応リアルタイムOS「PrOSEK」のラインナップがあります。

以上

*eBinderはイーソル株式会社が商標登録を出願中です。(出願番号:商願2000-51411)
*ePartsはイーソル株式会社の登録商標です。
*TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。
*その他すべての名称は、各社の登録商標、商標、またはサービスマークです。