イーソルのスケーラブル リアルタイムOS「 eMCOS 」の仮想化機能を開発、 Linux / Androidの制御を実現
イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、イーソルのスケーラブルリアルタイムOS「eMCOS」(エムコス:以下eMCOS)をベースに仮想化機能を組み込んだ「eMCOS Hypervisor(仮称)」(エムコスハイパーバイザー:以下 eMCOS Hypervisor)を2020年3月末にリリースすることを発表します。
eMCOSは、優れたスケーラビリティと卓越したパフォーマンスを提供するリアルタイムOSとして設計されています。標準のプログラミングAPIを使用して、小さな32ビットコントローラーで実行でき、メニーコアまで拡張することができます。
このeMCOS HypervisorはPOSIX互換であるeMCOS POSIXの拡張機能として実現されています。そのため、eMCOS POSIXのリアルタイムアプリケーションはそのままに、Linux/Androidを統合して制御することが可能になりました。これはeMCOSのスケーラビリティの新たな方向性であり、お客様はシステム内の関連機能をさらに統合し、Linux や Android ベースの既存のプラットフォームを最小限の変更にてeMCOS Hypervisor上で活用できます。これにより更に高機能で多彩なシステムを柔軟に構築することが可能になります。イーソルのリアルタイムOSプラットフォームは自動車分野、産業分野、医療分野など、高いリアルタイム性や信頼性、安全性が求められる分野で幅広く利用されていますが、近年、自動車分野では自動運転車やコネクテッドカー、産業分野ではスマートファクトリーへの対応や産業用ロボットの自律制御などをはじめとして、システムに求められる要件が複雑化、大規模化しています。また、従来からリアルタイム性が重視されてきた分野においても他システムとの協調動作やシステムの統合がこれまで以上に重要になっています。
eMCOSは、CPUコア一つ一つにカーネルを配置し、それらをカーネルレベルの高速メッセージパッシングによって連携させるアーキテクチャを採用したリアルタイムOSです。これにより、ヘテロジニアスマルチコアやメニーコアなどの複雑な構成を持つSoC全体をeMCOS一つで制御することが可能となり、また、信頼性の異なるアプリケーションを空間的・時間的に完全に分離しつつ、分離したアプリケーション同士を密に連携させることも可能となっています。
eMCOSは、これらの特長により、従来から複数システムの統合に最適なリアルタイムOSでしたが、eMCOSに仮想化機能を組込むことにより、高いリアルタイム性や安全性を確保しながらLinuxなど汎用OSも組み合わせた更に柔軟なシステム構築が可能になります。
「eMCOS Hypervisor(仮称)』の主な特長は以下の通りです。
・異なる安全性を持つシステムを1台のハードウェアプラットフォーム上で完全に分離することができます。
・eMCOSの高度なスケジューリング機能(セミプライオリティベーススケジューリング、時間保護)を利用したアプリケーションとゲストOSを1台のハードウェアプラットフォームで実行できるため、高いリアルタイム性を確保できます。
・eMCOSに組込む仮想化機能を最小化、最適化することで、eMCOSの高い堅牢性をそのまま確保できます。
・安全系およびリアルタイム系の決定性を犠牲にすることなく複数のゲストOSを協調させ、かつ必要に応じて負荷分散を行いながら実行することが可能です。