プレスリリース

POSIX仕様準拠スケーラブルリアルタイムOS「eMCOS POSIX」をリリース

~自動運転やROSなどのLinuxベースオープンソースを活用した、高い信頼性・リアルタイム性をもつ自律分散システムの研究・開発を加速~

報道関係者各位 
イーソル株式会社

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、シングルコアプロセッサからマルチ・メニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートする世界初の商用リアルタイムOS「eMCOS」のPOSIX仕様準拠プロファイル「eMCOS POSIX」をリリースしたことを発表します。ロボット制御用フレームワーク「ROS(Robot Operating System)」や自動運転システム用ソフトウェア「Autoware」などのオープンソースソフトウェア(OSS)を含む、Linuxのソフトウェア資産とエンジニアリソースの活用を容易にし、製品開発期間の短縮や研究開発の促進に貢献します。人工知能(AI)やディープラーニングを含むコンピュータビジョン技術を利用した、自動運転システムや先進運転支援システム(ADAS)、インダストリアルIoTなど、高いコンピューティングパワーを要し、自律分散型で動作する組込みシステムで、優れたリアルタイム性と信頼性を実現します。

eMCOS POSIXはPOSIX 1003.13 PSE 53に準拠しており、マルチプロセス/マルチスレッド、ローダブルプロセス、共有ライブラリを完全サポートした、本格的なPOSIX仕様準拠リアルタイムOSです。別スケジューリングクラスタとハードウェアクラスタ間の通信にはPOSIXのプロセス間通信(IPC)を利用でき、マルチ・メニーコアの分散メモリ環境におけるマルチプロセス環境を提供します。分散マイクロカーネルベースのPOSIX仕様リアルタイムOSの堅牢性を確保しながら、パフォーマンスを最適化する設計を実現しています。

eMCOS本体は、一つのカーネルで複数のコアを扱う従来のリアルタイムOSと異なり、すべての各コアにマイクロカーネルを配置する分散型マイクロカーネルアーキテクチャを採用しています。これにより、コア数の違いに加え、オンチップフラッシュマイコンやGPU、FPGAなどアーキテクチャが異なるヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートするスケーラビリティを実現しています。eMCOSは、eMCOS POSIXに加え、AUTOSAR仕様準拠プロファイル「eMCOS AUTOSAR」をはじめとする各種プロファイルで構成しています。システムのニーズに合わせてプロファイルを選択し、別のプロセッサで動作するPOSIXアプリケーションとAUTOSARアプリケーションを分散システムとして構築することも容易です。組込みシステムで数多く採用されている各種ARMコアをはじめ、Kalray社のMPPA®-256、ルネサス エレクトロニクス社(以下ルネサス)のRH850シリーズに対応しています。プロセッサのアーキテクチャや命令セットを限定しないため、今後これ以外のプロセッサもサポートしていく予定です。

イーソルは、2016年4月にAUTOSARのプレミアムメンバーとしての承認を受け、次世代のAUTOSAR仕様「Adaptive Platform」を含むAUTOSAR仕様策定に参加しています。イーソルはPOSIX系OSの利用を前提としているAdaptive PlatformへのeMCOS POSIXの適用も視野に入れています。

アプリケーション開発には、イーソルのリアルタイムOSベースシステム開発スイート「eBinder」を利用できます。これには、eMCOSに特化した各種システム解析ツールやユーティリティが含まれています。さらに、モデルベース並列化ツール「eSOL MBP」や豊富な車載システム開発経験から得た技術や知見をバックにするコンサルティングサービスを組み合わせて、マルチ・メニーコア環境の車載ソフトウェアの設計・開発を強力に支援します。

ルネサスが主催する「Renesas DevCon Japan 2017」(開催日:2017年4月11日(火)、会場:ザ・プリンス パークタワー東京)にて、マイコンからヘテロジニアスマルチコアなどルネサスの各種MCUをスケーラブルにサポートするeMCOS POSIXをテーマに、講演とデモ展示を行います。


イーソル株式会社 ソフトウェア技術統括責任者 兼 技術本部長 権藤 正樹 のコメント


「eMCOSがPOSIX仕様に準拠したことにより、LinuxやUNIX系OS向けに開発された市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産を組込みシステムに容易に流用できます。自動運転システムやADAS、ロボット、医療用カメラ、IoTデバイスなどのシステムには、人工知能やディープラーニング、センサーフュージョンが組み込まれるようになってきています。これらの高い演算性能を必要とするシステムにおいて、高い信頼性と優れたリアルタイム性の確保を可能にし、R&Dや製品の市場投入期間の短縮化を強力に支援します。」



■補足資料

eMCOSについて

eMCOS(エムコス)は、シングルコアからマルチ・メニーコアプロセッサまでをサポートした商用では世界初の組込みシステム向けスケーラブルリアルタイムOSです。従来のリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用することで、コア数の違いに加え、マイコンやGPU、FPGAなどアーキテクチャが異なるヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートするスケーラビリティを実現しています。さらに、イーソルの独自技術「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許 第5734941号、第5945617号)を搭載することで、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性を両立しています。また、シングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用した、従来の方法でアプリケーションを開発できます。

eMCOS詳細

イーソル株式会社について

イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています

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