大きな夢を持って「世界のイーソル」をめざそう。 大きな夢を持って「世界のイーソル」をめざそう。

特集

キーマン対談企画①

今回のキーマン

nobuhide nakaido

中井戸 信英

社外取締役

プロフィール

取材当時

1971年 住友商事株式会社入社。
2005年 同社代表取締役副社長執行役員に就任。
2009年 住商情報システム株式会社代表取締役会長兼社長に就任後、
2011年 SCSK株式会社代表取締役社長、
2013年 同社代表取締役会長、
2016年 同社相談役に就任。
2019年 当社 社外取締役に就任。
見どころ

長年に渡ってイーソルと関わって来た中井戸社外取締役。
イーソルに出会った時の印象、グローバルな視点から見たイーソルの魅力とは何か?今後イーソルはどうあるべきか、、、など、
社外取締役ならではの独自な視点でイーソルという会社を分析して頂きました。

01イーソルとの出会い

社外取締役に就任して実感したイーソルの圧倒的なポテンシャル

 イーソルとの最初の出会いは、私が前職のIT企業(SCSK(株)代表取締役会長)で経営を任されていた頃にさかのぼります。社内で進めていた抜本的な「働き方改革」に目処がつき、会社の規模及び業績的にも弾みがついたことから、当時わが国のIT業界が出遅れていた車載組込みソフトウエアの要となる、BSW(Basic SoftWare)の自社開発プロジェクトを立ち上げました。多額の投資を決断し、対象市場の広がりや大きさ等を考慮して業界内で開発パートナーを募集したところ、積極的に協業を申し出て頂いた企業の一社がイーソルでした。

 そこで初めて長谷川社長にお会いして、車載組込みソフト分野におけるイーソルの技術力の高さとその歴史に、強い感銘を受けたことを今でもよく覚えています。また、私が推進していたIT業界における働き方改革についても、同じ志を持っていることを知りました。

 その後、私が前職を任期満了で退くことが決まった際に、長谷川社長から慰労の会食にお招き頂き、その席で「今度はイーソルのさらなる企業価値・株主価値の向上とグローバル市場における飛躍のために協力してほしい」という、魅力的なお誘いを頂いたのです。そこでしばらく顧問としてお世話になった後、2019年3月に社外取締役に就任させて頂きました。

 その間イーソルは、2018年10月に東証マザーズ市場に上場しました。その後も順調に業績を伸ばし、あまり時間を置くことなく1年という短期間で2019年10月に東証一部へ市場変更を果たしたことは特筆に値する快挙だと思います。

 イーソルは連結で500人弱の規模であり、比較的大企業が多いITソリューション会社群の中ではやや小ぶりの上場企業で、あえて言えばあまり目立たない地味な会社であることは否めません。

 しかし、顧問および社外取締役として接してみて、実は組込みソフト分野で40年強の経験と実績に裏打ちされた、他の企業の追従を許さない世界レベルのコア技術を有しており、日本のIT企業では稀有な存在だということがわかりました。近年注目を集めている自動運転分野で基盤となるソフトウエアを提供できる、世界的にみても極めてエッジの効いた高度な技術をもつ企業として、「キラリ!」と光る小さな巨人であることを実感しました。

 自動車業界のグローバル開発パートナーシップである「AUTOSAR」のプレミアムメンバーに、名だたる世界的企業と肩を並べて選ばれている事実も、そのことを証明しています。

 そうであるが故に、これから将来に向けてイーソルに課せられる社会的責任はますます大きくなり、本格的な成長へのシナリオ作りが否応なしに問われるステージに来ていると考えられ、またそれだけの圧倒的なポテンシャルを秘めた会社であると私は認識しています。

02社外取締役から見たイーソルという会社

将来の発展に向けてガバナンス体制のさらなる強化を

 イーソルのコーポレート・ガバナンスに対する基本的考え方として、創業以来築きあげられてきた経営理念「『eSOL Sprit』を『コンプライアンス基本方針』に則り実践すること」が謳われています。社外取締役としてこれまで見てきた範囲では、この考え方を上手く実践されており、正直なところ現在の体制および事業規模から判断する限り「合格点」だと私自身は判断しています。また、忌憚なく意見を言える透明性の高い取締役会であることも評価しております。

 ただし、これからイーソルが目指すべき未来像を、例えば私が期待しているような「一流の大企業、さらにはグローバル基準での一流企業」に置くとすれば、コーポレート・ガバナンス体制についてもそのための「将来を見据えたプログラムの延長線上」になければならないと考えます。東証一部上場を果たし、さらなる飛躍に向かって歩き出したイーソルにとって、目先の課題をクリアしてこなしていくだけでは決して十分とは言えません。ガバナンス体制の構築についても経営資源を今から積極的に投入し、「マイルストーン」をきちんと設定した厳格なロードマップを作成したうえで、PDCAサイクルをしっかり回して実践していくことが重要です。グローバル市場での拡大を目指す企業には、こうした観点が必要であり絶対避けては通れない道であると思います。

 そのための第一歩として、まずは取締役会について今まで以上にガバナンスの効いた体制づくりや運営方法、評価基準のブラッシュアップから始めていくことになります。また、多様性という意味では、これから女性取締役の登用等も進めていかねばならないでしょう。

 日本の大企業において、コーポレート・ガバナンスが重要視されるようになってから、歴史的にもまだ時間がそれほど経過しておらず、理想像には程遠い企業が実は大半ではないかと思います。そうした中で、私自身も拙い経験をもとに試行錯誤を繰り返しながら、イーソルが歩むであろうチャレンジングなロードマップの作成・実践に際して、取締役会の末席に位置するものとして可能な限り貢献していけたらと考えています。

03イーソルはこれからどうあるべきか?

世界標準で業界をリードするグローバル企業へ

 日本企業が歴史的に抱えてきた課題として、技術立国を志しながらも、グローバルに刺さる一手をなかなか打つことができなかったということがあります。個人的にやりきれなかった想いもある中、イーソルにはその果たせなかった夢が実現できるポテンシャルがあると感じています。

 自動車がガソリン駆動やハイブリッド型から、仮に将来100%EV(電気自動車)に移行するとしても、駆動系デバイスが変わるだけで基本的にはイーソルの技術の守備範囲には影響がなく、長期的観点での役割は重要かつエッセンシャルであるという位置づけは変わらないと考えられます。むしろ自動運転のソフト開発・システム構築という「車内」の概念を超えて、「車内」と「車外」を結ぶ多岐にわたる通信やセンシング機能の開発、GPSとの連携、クラウド上で広く展開される自動車業界での様々なサービスとの連携といった技術がより求められるようになるでしょう。

 私はこうした観点から、イーソルはこれから自動車の世界でMaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる概念の実現において、キーとなる「車載組込みソフトのファンダメンタルとなるプラットフォーマー」として業界を牽引する存在になり得る企業であり、この分野で名実ともに世界標準のグローバルなリーダーとして活躍しなければならない星の下に生まれた企業ではないかと考えています。今後はM&A等も含め、さらなる企業規模の拡大を進めて行くことになるであろうと予想しています。

 私は、イーソルのトップから従業員の方々全員に対して、常々申し上げたいと思っていたことがあります。「人が『夢』だと言うなら、それでも構わない。『夢』をもって一流企業を目指し、『世界のイーソル』になりませんか!」ということです。ある人は、東証一部上場を果たしたばかりの小規模会社にとって「『夢物語』にすぎない」と一言で片付けるかもしれない。それでも、最初は「夢」として置いておけば良いのです。

 私はかつて20年以上前、アメリカ西海岸のシリコンバレー駐在時代に、当時その名がほとんど知られていなかった、まだ未上場の小さなベンチャー企業「Google」に投資する機会がありました。それが今では独自開発技術に裏打ちされた世界企業として「知らない人はいない」ほどの存在になり、現在ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の一角を占める時価総額「100兆円」規模の超巨大企業に成長しています。

 残念ながら日本の企業には、こうしたシリコンバレーに見られたような若々しい夢と大志があまり感じられません。またそれを応援しサポートするような仕組みや環境、企業風土も育っていません。今後も「技術立国」として立ち振る舞わなければならないわが国において、さまざまな産業分野・業界を見回しても、世界標準に深く絡んでいる企業・団体がどれだけあるでしょうか。

 言うまでもなく、今は「自動車=走るコンピューターの時代」です。その自動車産業界における、先端電子技術のプラットフォームの基本独自技術を持ち、世界標準に絡みつつある日本で数少ない企業として、イーソルは非常に良いポジションにいます。

 私はイーソルにこそ「日本発のGAFA」を実現して欲しい。現状に満足することなく、決して小さく小器用にまとまらず、グローバル基準での一流企業へと発展することを目指して、社員がそれぞれの持ち場で、自らリードしてパラダイムシフトを起こしてどんどん進化していってもらいたいし、またそれだけのポテンシャルを持った会社であると確信しています。

 長谷川社長もホームぺージ上で、「世界標準への挑戦」と題して「『Made by eSOL』、『Made in Japan』を世界に」という言葉を記されています。長谷川社長のその言葉の底流にあるお気持ちとも、きっと相通じるところがあるのではないかと、私自身はイーソルの長期ビジョンを読み解いています。

 従業員の皆さんには、大きな夢をもって『世界のイーソル』となることをめざして頂きたい。それだけの圧倒的なポテンシャルを秘めた企業であると確信していますし、社外取締役として微力ながら少しでもお役に立って貢献できればと考えています。

長谷川社長のコメント

IT業界のさまざまな知見や経営に関する姿勢等を 教えて頂きたく、
社外取締役をお願いいたしました。

 当社に対する高い評価とご期待を頂き、ありがとうございます。中井戸様には、これまでのご経験によるIT業界のさまざまな知見や経営に関する姿勢等のアドバイスを頂きたく、社外取締役をお願いいたしました。

 取締役会については最初に「自由に忌憚なく意見を言える会社である」というご感想を頂きましたが、これは当社の自由闊達な社風も反映しており、評価を頂いてうれしく思う一方で、やはり私どもでは気づかないようなグローバルな視点や大局的な見地からさまざまなご意見を頂戴し感謝しております。また、将来的に企業規模を拡大していくためには、どのようなガバナンス体制が必要かといった具体的な助言も常に頂けるので大変助かっています。

 また「みんなで『夢』を持とう」というご提言については、私自身も同じ志を持っております。社員に向けて呼びかけたこともあり、機関投資向けの説明会等でも、同様の趣旨の話をしたことはあります。これからも世界市場において存在感のある大企業を目指して、一丸となって前進していきたいと思います。

 中井戸様もご指摘のとおり、今後ガソリン車からEV等へ、世界レベルで急速に移り変わっていくと予想されますが、当社が作っている車載ソフトウエア製品群やサービス等は、無くなるどころかより重要なものとなり、増加していくと考えられます。その変化にキャッチアップすべく成長スピードを加速するためには、資本の力が必要だったり、他企業とのアライアンスやコラボレーションが求められる場面も出てくるでしょう。当社が世界に向けて事業展開を進めていく上で、中井戸様の知見やご経験を活かして頂くことがあると思いますが、引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。

代表取締役社長 長谷川 勝敏
  • ・新型コロナウイルス感染症防止の観点から、オンラインで実施いたしました。
  • ・今後、本対談企画はシリーズ展開を予定しております。
    長谷川代表取締役社長と様々なゲストとの対談を通して、株主の皆様に当社へのご理解をより深めていただければ幸いです。